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Index
この記事でわかること
- 類似業種比準方式の特徴・算定方法・方式利用時の留意点
- 純資産価額方式や配当還元方式の特徴・算定方法・方式利用時の留意点
- 各方式の関係性
はじめに
類似業種比準方式は、国税庁が定めている株価算定方法のひとつです。
ここでは、その特徴や計算方法などを解説しています。一緒に知っておく必要がある別の方式もご紹介しているので、算定で戸惑わないための道標としてください。
またKnowHowsでは、従来は専門家に依頼していた株価計算を無料で行える「株価算定ツール」もご用意しています。
DCF法・純資産法・競合会社比較法の3つの代表手法を用いて、自社の株価を本格計算。
従来は数十万円のコストが必要だった株価算定を、手軽にご利用でき、税理士監修の株価算定書を出力することも可能です。
株価算定をご検討の際はぜひ、ご活用ください。
1.類似業種比準方式の概要
早速、類似業種比準方式について詳しく見ていきましょう。
①特徴
類似業種比準方式は、財産評価基本通達によって定められた、取引相場のない株式の株価を算定するための方法です。
法律上、相続や贈与によって取得する株式は時価で計算しなければなりません。もし時価と異なる場合は、通常相続税や贈与税が課されます。その点を加味しながら、簡便的に妥当な株価を求められるのがこの方式の特徴です。
②算定方法
評価対象企業とよく似た業種(類似業種)を選定し、その株価などの数値を元に、評価対象企業の株価を求めます。
国税庁のウェブサイトに公開されている「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等」を用いながら、次の計算式に必要な数字を当てはめれば算定が可能です。
③方式利用時の留意点
・計算式の項目について
・業種目の選び方
評価対象企業の業種目は、取引金額全体の50%以上の割合を占めるものとなります(係る業種の数問わず)。
もし50%以上の業種目がない場合は、ケースごとに次のように判定を行います。
ケース | 判定方法 |
---|---|
1つの中分類の中にある小分類の業種目のうち、類似する2以上の事業を展開し、それらの取引金額の合計が50%以上の割合を占める場合 | 当該中分類の中にある小分類の「その他の○○業」とする |
1つの中分類の中にある小分類の業種目のうち、類似しない2以上の事業を展開し、それらの取引金額の合計が50%以上の割合を占める場合 | 当該中分類の業種目とする |
1つの大分類の中にある中分類の業種目のうち、類似する2以上の事業を展開し、それらの取引金額の合計が50%以上の割合を占める場合 | 当該大分類の中にある中分類の「その他の○○業」とする |
1つの大分類の中にある中分類の業種目のうち、類似しない2以上の事業を展開し、それらの取引金額の合計が50%以上の割合を占める場合 | 当該大分類の業種目とする |
上記ケースすべてに当てはまらない場合 | 当該大分類の中にある「その他の産業」とする |
・その他
以下のケースに当てはまる場合、それぞれ個別の計算式に当てはめて対応をする必要があります。
2.類似業種比準方式以外の算定方法
国税庁が定めている方式には、類似業種比準方式以外に純資産価額方式と配当還元方式があります。
実際の株価算定時には、これらも大きく関与するため、あわせて抑えておきましょう。
①純資産価額方式
・特徴
純資産価額方式は、評価対象企業の貸借対照表上に表記されている各資産を、相続税評価額に修正して株価を算定する方法です。
・算定方法
次の計算式に当てはめれば、求めることができます。
A=総資産価額(相続税評価額に算定し直したもの)
B=有利子負債の合計
C=評価差額に対する法人税額などに相当する金額
D=発行済株式数
・計算式の項目における補足
項目 | 補足内容 |
---|---|
総資産価額 | 3年以内もしくは新規に取得した土地などは、課税時期における通常の取引価額で評価する |
評価差額に対する法人税額などに相当する金額の計算方法 | 評価差額に対する法人税額などに相当する金額=(相続税評価額による純資産価額-帳簿価額による純資産価額)×37% |
有利子負債 | 貸倒引当金や退職給与引当金などは含まない |
発行済株式数 | 課税時期における数とする |
・方式利用時の留意点
次のケースに当てはまる場合、個別の計算式に当てはめて求めることとされています。
ケース | 計算式 |
---|---|
取引する株主および同族関係者の株式保有率が、取得後に50%以下となる場合 | 株価=純資産価額×80% |
②配当還元方式
・特徴
配当還元方式は、当該株式に係る配当金から株価を算定する方法です。
・算定方法
主に次の計算式で算定を行います。
A=年配当金額
B=当該株式1株あたりの資本金等の額
・計算式の項目における補足
・方式利用時の留意点
配当還元価額が原則的評価方式(詳細後述)によって算定された価額を上回る場合は、後者を採用すると定められています。
③それぞれの関係性
類似業種比準方式と、純資産価額方式および配当還元方式は、次のような関係性があります。
- 類似業種比準方式だけを用いて株価算定できるのは、大会社のみ。中会社は類似業種比準方式と純資産価額方式の併用、小会社は純資産価額方式だけで求める。
- 大会社や中会社に当てはまる場合でも、少数株主等と取引する株式に関しては、類似業種比準方式などではなく配当還元方式で求める。
なお、1を原則的評価方式、2を特例的評価方式と言います。
まとめ
- 類似業種比準方式は、財産評価基本通達によって定められた株価算定方法。計算は、国税庁が公表している類似業種の数値を使って行う。
- 類似業種比準方式に大きく関わる方式に、同じく国税庁が定めている純資産価額方式と配当還元方式がある。
- 類似業種比準方式か純資産価額方式のどちらかで算定、もしくは併用する方法を原則的評価方式。一定の条件に当てはまる場合、類似業種比準方式などは使わず、配当還元方式を利用する方法を特例的評価方式と呼ぶ。
おわりに
上記で紹介した各方式は、株式の相続等の課税額と大きく関与するものです。
特徴や算定方法、方式の選び方などを身につけ、適切な税金対策ができるようにしていきましょう。
また、KnowHowsでは、複数の計算方式で株価を算定できる「株価算定ツール」をご用意しました。
税理士監修のもと、必要な項目を入力するだけで本格的な株価算定が可能です。
計算は無料でご利用できますので、本記事とあわせてぜひお役立てください。
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