【無料】株式譲渡の基本合意書のひな形と契約時の注意点│弁護士が解説
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株式譲渡は、売り手企業と買い手企業が、基本合意書を締結するところからスタートします。ここで民法改正に対応した無料のひな形を公開しているので、ぜひご活用ください。また、利用するときは、下記に記載した“トラブルなく進めるための解説”に目を通していただければ幸いです。
この合意書の利用シーン、意義概要
株式譲渡を行おうとする当事者どうしが基本的な条件の合意にいたった場合に、その合意の内容の確認、および合意後のスケジュールなどについて定めるための合意書です。
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契約書の一部抜粋
基本合意書
【買い手側】(以下「甲」という。)と【売り手側】(以下「乙」という。)は、乙が甲に対して、株式会社●●(以下「対象会社」という。)の株式を譲渡すること(以下「本件株式譲渡」という。)について、以下のとおり、基本合意書(以下「本合意書」という。)を締結する。
第一条(基本合意の内容)
甲は、20●●年●月●●日までを目処に、乙の保有する対象会社の株式全部を譲り受ける意向を有し、乙はそれを了承した。ただし、本件株式譲渡を実行するか否かは、デューデリジェンスの結果等を踏まえて、甲乙間の協議により最終的に決定するものとする。
本契約は、甲が(乙が)●●●●に伴い、●●●●が必要になったため、●●●●を目的として、本件譲渡を行うに至ったことを背景とする。甲及び乙は、本合意書に従って本件株式譲渡につき最終的な合意が成立した場合、改めて甲乙間で株式譲渡契約(以下「最終契約」という。)を締結する。
(以下、ダウンロードすると全文をご確認頂けます)
この合意書の重要ポイント
このような基本合意書を締結する場合においては、次のような点にご注意ください。
① 本契約の背景(第1条第2項)
民法改正に伴い、契約書において契約の趣旨を明確にすることが重要になりました。
契約の趣旨を明確にする上で、この契約に至った経緯(第1条第2項)を明記することも一案ですが、必須の条項ではありませんので、適宜削除頂くことも可能です。
② 対象株式(第2条)
この合意書では、売り手側の保有する株式が譲渡の対象となっています。
しかし、売り手側の対象会社に当事者以外の株主が存在する場合、買い手側がそれらを含めた対象会社の株式全部の譲受けを希望することがあります。
そのような場合、売り手側は、その他の株主全員も株式譲渡の当事者としたり、他の株主から全ての株式を買取ってから買い手側に譲渡したりするなどして、買い手側が対象会社の100%株主となるように手続きを行う必要があります。
③ 譲渡価格(第3条)
基本合意書段階と言うことを踏まえ、単一価格ではなくレンジ表示での記載とし、デューデリジェンス後に協議の上で確定する構成としています。
金額の下限を明記しないと提示された売手側の会社にとって意味がなく、一方でこの段階で一定の金額に固定されるのは買い手側の会社にとってもリスクとなるため、レンジでの合意にしておくことが一案です。
④ 善管注意義務(第4条)
株式譲渡によって買収を行う場合、売り手側となる当事者は、対象会社の株主であると同時に、対象会社の(代表)取締役である場合がほとんどです。
このため売り手側の当事者は、株主としての責任を負うだけでなく、取締役としての立場からも株式譲渡の実施に悪影響をおよぼさないよう、対象会社の業務を遂行する義務を負うことになります。
⑤ 独占交渉権(第6条)
基本合意書の有効期間中に、他社との間で交渉が進められてしまうと、売り手側から最終的な株式譲渡契約の締結を拒絶されたり、他社からの提示条件を譲渡条件の交渉材料とされたりするリスクがあります。
このため買い手側としては、基本合意書の有効期間内は他社との交渉を行うことができないよう、独占交渉権に関する条項を必ず設けるようにしましょう。
この合意書の前提条件
この基本合意書は、デューデリジェンスの実施前に締結されるものであり、その結果によっては株式譲渡が破談となったり、譲渡価額などの条件が変更されたりする場合もあります。
このため譲渡条件などについては法的拘束力を持たせず、最終的な株式譲渡契約書において定めるよう調整してください。
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