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この記事でわかること

  • 有限会社の株価算定に利用できる3つのアプローチ
  • 国税庁が定める株価算定を利用する際の留意点
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はじめに

2006年の新会社法施行に伴い、これまでの有限会社は、すべて株式会社に統合されました。また同法によって、新しく有限会社を設立することもできなくなっています。

そのため、この記事では、株式会社で使われる株価算定方法を、以下の3つのカテゴリごとに紹介します。

  1. マーケット・アプローチ
  2. インカム・アプローチ
  3. コスト・アプローチ

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1.マーケット・アプローチ

まず、市場の株式価格を参考にしながら算定する、マーケット・アプローチについてご紹介します。

①類似業種比準方式

類似業種の株価平均値を元に算定する方法です。国税庁が定めている評価方式で、多くの場面で使われています。

類似業種比準方式の計算手順

(※)類似業種の株価、平均配当、平均利益、平均純資産については「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」を参照。令和元年分はこちら

(※)評価対象企業の大会社・中会社・小会社の区分は、国税庁・財産評価178(取引相場のない株式の評価上の区分)を参照

②類似会社比準方式

類似の上場企業の株価を元に、算定する方法を指します。上場企業は、業種や規模、地域、収益性、将来性などを基準に選定するのが一般的です。
類似会社比準方式の計算手順

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2.インカム・アプローチ

収益配当を元に算定するアプローチです。ここでは、3つご紹介します。

①エクイティDCF法

株主に対してだけ分配できる、フリーキャッシュフロー(FCFE:Free Cash Flow to Equity)の現在価値から求める方法です。今後獲得するFCFEの予測期間をn年後までとした場合、次のような計算式になります。

エクイティDCF法の計算手順

(※)NOPATは、Net Operating Profit After Taxes(税引営業利益)のこと

(※)EBITは、Earnings Before Interest and Taxes(支払利息・税金差引前利益)のこと

(※)βは株式市場の値動きに対して、評価対象企業の株価がどの程度変化するのかを見た値

②配当還元法

将来の配当金の現在価値から求める方法です。株主が評価対象企業の株式を持ち続けることを想定した場合、計算式は次のようになります。

有限 会社 株価 算定4.png
(※)ROEは、Return On Equity(株主資本利益率)のこと

・今後、株主が株式を売却することを想定した場合

株主が、保有する株式をn年目に売却する場合は、主に次の計算式で求めることが可能です。

項目数式
計算式

③配当還元方式

国税庁が定める方式です。よく似ていますが、先ほど説明した配当還元法とは別の手法となりますので注意してください。経営支配権をあまり持たない株主(同族株主以外)が取得する株式の株価を求める際に、適用することができます。
配当還元方式の計算方式
(※)年配当金額が2円50銭未満、または無配である場合は、2円50銭として計算する

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3.コスト・アプローチ

評価対象企業の貸借対照表の数値から、算定するアプローチです。代表的な3種類を詳しくご紹介しましょう。

①簿価純資産法

貸借対照表に記載されている純資産の数値を使って、算定する方法です。

計算式:株価=簿価純資産額/発行済株式

②修正純資産法

貸借対照表に記載されている項目のうち、主要部分を時価に修正し、改めて純資産を求めてから株価を算定する方法です。主要部分には貸倒引当金、棚卸資産、有価証券、不動産や設備などの有形固定資産などがあります。

計算式:株価=時価純資産価額/発行済株式数

・時価について

修正する時価は、同じものを現在調達した場合の価格を時価とする再調達原価が一般的です。

ただ、非事業用資産や有利子負債については、現時点で売却した場合の原価を時価とする正味売却価額のほうが実態に即している場合もあります。なお、正味売却価額を用いた場合は、法人税等の効果を考慮しなければいけません。

③純資産価額方式

国税庁が定める方式です。貸借対照表上の数値を、相続税評価額に修正して算出します。

計算式:

補足:

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4.国税庁が定める方式について

最後に、国税庁が定める類似業種比準方式、配当還元方式、純資産価額方式を利用する際の留意点をご紹介します。

①一般的な利用方法

国税庁では、原則として次のように定めています。

方式採用する会社
類似業種比準方式大会社と中会社(※)に利用
純資産価額方式中会社(※)と小会社に利用
配当還元方式評価対象企業に対して支配力の弱い株主(同族株主以外)の株価を算定する場合に利用

(※)中会社は、類似業種比準方式と純資産価額方式の併用で求める

②特殊なケース

ただし、一部の会社では、企業の規模問わず純資産価額を用いるように決められています。以下、主なケースです。

  • 比準要素数1の会社の場合
  • 株式保有特定会社の場合
  • 土地保有特定会社の場合

こちら以外にも条件があるので、事前に国税庁の「No.4638 取引相場のない株式の評価・3 特定の評価会社の株式の評価」で確認するようにしましょう。

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まとめ

  • 有限会社の株価算定は、株式会社で用いられている株価算定方法で求めることができる。
  • アプローチの仕方は、類似の業種や企業から行うマーケット・アプローチ、収益や配当から行うインカム・アプローチ、貸借対照表上の数値を元に行うコスト・アプローチがある。
  • 国税庁が定める類似業種比準方式、配当還元方式、純資産価額方式には、一定の利用条件がある。国税庁のウェブサイトで、企業の規模や特例を事前に確認しておこう。
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おわりに

株価の算定方法はいくつかありますが、いずれも大きく特徴が異なります。

買い手と売り手が納得できるように、併用しながら評価するようにしましょう。

また株価算定の試算として、無料で使えるKnowHowsの株価算定ツールも合わせてお役立てください。

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