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この記事でわかること

  • 企業価値を向上させるための方法4つ
  • バリュードライバーとROICツリー、感応度の概要
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はじめに

企業価値の向上は、企業が目指すべき目標のひとつです。

この記事では、収益性や効率性など多様な角度から、高めるための方法について解説しています。

効率よく向上させるのに有効なバリュードライバーの紹介もしているので、役立てていただければ幸いです。

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1.企業価値を向上させるには

企業価値を向上させる方法はさまざまです。

ここでは、一般的に企業価値に大きく関わるとされる、「収益性」「効率性」「安全性」「成長性」に沿ってご紹介します。

①収益性の向上

収益性は、いかに儲かっているのかを見るものです。代表的な指標にROA・ROE・ROICの3つがあり、収益性を向上させる(=企業価値の向上)には、各指標を高めることが鍵となります。以下、各指標の計算式から、主な向上手段を見ていくことにします。

・ROA(Return on Assets)

総資産利益率のことで、企業全体の収益性を指す指標です。計算式と、そこからわかる主な向上手段は以下のとおりです。

ROAの概要
計算式ROA=営業利益/総資産×100
【補足】
・営業利益ではなく、当期純利益や経常利益で求められるときもある
・国内の上場企業におけるROAの平均値は、5%程度
向上手段・営業利益の向上(例)売上高の向上、売上原価の削減、販管費の削減など
・総資産の削減(例)売掛金・未収入金の整理、不良在庫の廃棄、使っていない固定資産の売却など

・ROE(Return on Equity)

自己資本利益率のことで、株主から集めた資本でどのくらいの利益を生み出しているか、を表す指標です。

ROEの概要
計算式ROE=当期純利益/自己資本×100
【補足】国内の上場企業におけるROEの平均値は、8~10%程度
向上手段・当期純利益の向上(例)売上高の向上、売上原価や販管費の削減、借入金の繰り上げ返済、特別損益の整理など
・自己資本の削減(例)自社株買いなど

・ROIC(Return on Invested Capital)

投下資本事業利益率を言い、事業活動に投じたすべての資本と利益の割合を見る指標です。

ROICの概要
計算式ROIC=NOPAT/投下資本×100
【補足】
・NOPATは、Net Operating Profit After Taxes(税引営業利益)のこと。下記の計算式で求められる。
NOPAT=EBIT×(1-実効税率)
EBIT=経常利益+支払利息-受取利息
・投下資本は、株式価値+債権者価値(有利子負債)で算出。
向上手段・NOPATの向上(例)売上高の向上、売上原価や販管費の削減など
・投下資本の削減(例)借入金の削減、社債発行の抑制など

②効率性の向上

効率性は、保有している資産でいかに効率よく稼いでいるかを見るものです。主な指標に、総資産回転率、有形固定資産回転率、棚卸資産回転率・棚卸資産回転日数などがあります。収益性同様、各指標の計算式から、向上の手段を見出すことができます。

・総資産回転率

効率性の総合的な評価指標です。

総資産回転率の概要
計算式総資産回転率=売上高/総資産
向上手段・売上高の向上
・総資産の削減(例)売掛金・未収入金の整理、不良在庫の廃棄、使っていない固定資産の売却など

・有形固定資産回転率

有形固定資産の活用度合いを見る指標です。

有形固定資産回転率の概要
計算式有形固定資産回転率=売上高/有形固定資産
向上手段・売上高の向上
・有形固定資産の削減(例)使っていない土地や設備の売却など

・棚卸資産回転率・棚卸資産回転日数

棚卸資産回転率は、棚卸資産がどの程度売上に反映されているのかを見る指標です。一方、棚卸資産が企業内にとどまる期間を見るのが棚卸資産回転日数です。

棚卸資産回転率・棚卸資産回転日数
計算式棚卸資産回転率=売上高/棚卸資産
棚卸資産回転日数=棚卸資産/(売上高/365)
向上手段・売上高の向上
・棚卸資産の削減(例)商品・製品、仕掛品、原材料などの削減

③安全性の向上

安全性はいかに安定しているかを見るもので、高ければそれだけ倒産の可能性が低いということになります。主な指標は、自己資本比率D/Eレシオなど。同じ***れぞれの計算式と、そこからわかる向上手段をご紹介しましょう。

・自己資本比率

企業の全体的な安全性を見る指標のひとつです。

自己資本比率の概要
計算式自己資本比率=自己資本/総資本×100
【補足】50%以上が理想とされる
向上手段・自己資本の向上(例)増資(第三者割当増資)の実施、利益の向上など
・総資本の削減(例)売掛金・未収入金の整理、不良在庫の廃棄、使っていない固定資産の売却など

・D/Eレシオ(Debt Equity Ratio)

負債比率とも言い、自己資本比率同様、全体的な安全性を見る指標です。

D/Eレシオ(Debt Equity Ratio)の概要
計算式負債比率=有利子負債/自己資本×100
補足100%以下が理想とされる
向上手段・有利子負債の削減(例)借入金の削減、社債発行の抑制など
・自己資本の向上(例)増資(第三者割当増資)の実施、利益の向上など

④成長性の向上

成長性は、過去から現在までの成長度合いを見るものです。指標には売上高増加率、経常利益増加率、総資本増加率などがあります。

各指標は、それぞれ同じ式で求めることが可能です。

成長性の概要
計算式Xの増加率=(当期のX-前期のX)/前期のX×100
【補足】Xには売上高、経常利益、総資本などが入る
向上手段売上高、経常利益、総資本などの向上

・複数年度の平均を見る場合

毎年の業績が安定していない企業の場合は、複数年度の平均を見るのが一般的です。その際、CAGR(Compound Average Growth Rate:年平均成長率)を用いることがあります。

CAGRの概要
計算式CAGR.png
補足Xには売上高、経常利益、総資本などが入る
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2.バリュードライバーを利用した企業価値向上

次に、バリュードライバーを利用した企業価値の向上方法をご紹介します。

①バリュードライバーの概要

バリュードライバーとは、企業価値に大きく影響を与える要素です。この優先順位を正確に把握しておくことで、効率よく企業価値を向上させられるようになります。

②バリュードライバーの優先順位を決める方法

バリュードライバーの優先順位を決めるステップは、次のとおりです。

・ROICツリーを利用してバリュードライバーを把握する

ROICツリーは、前章のROICの構成要素を示したもので、バリュードライバーを把握するのに適したツールとされています。

ROICツリーでは、ROICを税引前ROIC実効税率に分けるところから始まります。税引前ROICは、営業利益率投下資本回転率に分かれ、前者は収益性の指標、後者は効率性の指標となっています。

さらに営業利益率は売上原価率・売上高伸び率・販管費率に分かれ、一方で投下資本回転率は運転資本回転率固定資産回転率に分かれます。

・感応度を調査し、バリュードライバーの優先順位を決める

バリュードライバーを把握したら、感応度を調査すれば優先順位を決めることができます。

感応度は、あるひとつのバリュードライバーを変化させたときに起きる、企業価値の変化の度合いです。すべてのバリュードライバーの感応度を調べたとき、最も大きく変化したバリュードライバーが、企業価値向上のために優先すべきものとなります。

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まとめ

  • 企業価値を向上させる方法には、「収益性」「効率性」「安全性」「成長性」の向上がある。
  • 収益性ならROAやROE、効率性なら総資産回転率や有形固定資産回転率、安全性なら自己資本比率やD/Eレシオ、成長性なら売上高増加率や経常利益増加率などの向上があげられる。
  • 効率よく企業価値を向上させるなら、バリュードライバーの優先順位を決めるのが一般的。
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おわりに

企業価値向上の根本的な目標は、利益を獲得することです。

目先の数値だけを追って投資や資金調達などを無理に減らし、事業の拡大を阻害することのないように注意しましょう。

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