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この記事でわかること

  • 時価総額の算出方法とは
  • 未上場企業の算出方法について
  • 東証一部の上場基準見直しについて
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はじめに

時価総額を算出する場合、誤った方法では正しい時価総額を導き出すことはできません。

正しい方法で算出をすることで企業の価値を適切に判断することが可能です。時価総額を知ることは企業について知ることにもなります。

本記事では時価総額の算出方法について解説していきます。

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1.時価総額の算出について

時価総額は「株価×発行済株式」で算出され、上場企業の価値を把握するために使用されます。

時価総額の大きな企業ほど市場からの信頼性が高いです。時価総額を使用すると企業同士の比較も可能となります。

ここでは、時価総額の算出方法について解説します。

①同業他社との企業価値の比較ができる

時価総額を用いれば、同業他社との比較が簡単です。下記は日本の小売業での上位3社のデータです。

順位企業名株価(10/25日時点)発行済株式数
1ファーストリテイリング68,000106,073,656
2セブン&アイ・ホールディングス4,263886,441,983
3イオン2,198.5871,924,572

上記の図のデータをもとに時価総額を計算した結果は以下の通りです。

・ファーストリテイリング 68,000 × 106,073,656 =7,213,009(百万円)

・セブン&アイ・ホールディングス 4,263 × 886,441,983 =3,778,902(百万円)

・イオン 2,198.5 × 871,924,572 =1,916,926(百万円)

この結果を見るとファーストリテイリングが、セブン&アイ・ホールディングスの2倍近く,イオンよりも3倍近い時価総額を持っていることが分かります。

また、ファーストリテイリングは発行済株式数は少ないものの、株価が他の2社と比較して圧倒的に高いため、そのことが時価総額の差からも読みとれます。

このように時価総額を用いれば、同業他社との比較を簡単に行うことが可能です。

②関連する企業の比較も可能

時価総額を用いれば、関連する企業との比較も簡単に行えます。今回は小売業を取り上げているため、関連する業種である食品企業について取り上げます。

ファーストリテイリングとの関連性はないですが、他の2社とは関連している企業です。食品分野での国内上位2社のデータは以下の通りです。

企業名株価(10/25日時点)発行済株式数時価総額(百万円)
JT2.4712,000,000,0004,942,000
アサヒグループホールディングス5.437483,585,8622,629,256

2社の時価総額を上の小売業のデータと比べてみると、JTはセブン&アイホールディングスを上回っており、アサヒグループホールディングスはセブン&アイホールディングスとイオンの間にランクインされています。

消費者がコンビニやスーパーでよく目にしている食品のメーカーが、大きな規模を持っていることが、時価総額を比較することで確認できます。

③国際的な企業と日本企業との比較もできる

時価総額は、企業の国際間比較を行うことが可能です。

例えば、オンラインショップを運営している楽天とアマゾンの時価総額を比較します。

・楽天 1兆4948億円

・アマゾン 87兆1252億円

 ※どちらも10/25時点での時価総額

この結果からも楽天とアマゾンでは数十倍以上の差があることが分かります。

楽天も知名度の高い大企業ですが、アマゾンは世界的な国際企業であるため、これほどの差があるのでしょう。

このように時価総額を活用することで、日本の企業がどのような立ち位置であるのか確認できます。

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2.未上場企業の時価総額の算出方法

未上場企業の時価総額に関しては、見積もりを行ってから、話し合いを行うことによって決定します。

見積もりがどのような方法で行われているのか解説します。

①収益方式による見積もり

収益方式は、企業が将来獲得することが予測されるキャッシュフローなどを用いて株価を算定する方法です。

主な手法はDCF法と呼ばれる手法であり、フリーキャッシュフローを割引率で割り引いて時価総額を算出します。

例えば、年間1,000万円の利益を生み出す企業の場合、単純計算で5年間の収益は、5,000万円です。

ここで将来的にこの収益を維持できないリスクを年間10%で割り引いて計算を行った場合、下記のようになります。

事業年度割引率(掛け率)計算式予想収益
初年度100%1,000万円×100%1,000万円
2年目90%1,000万円×90%900万円
3年目80%1,000万円×80%800万円
4年目70%1,000万円×70%700万円
5年目60%1,000万円×60%600万円

上記5年分の収益を合計すると4,000万円です。つまり、DCF法による時価算定額は4,000万円となります。

しかし実際には、何年分計算するか、何%割り引くかは、決まった数値が存在しません。そのため、この方法で時価総額を見積もる場合は、そういった点を考慮する必要があります。

②純資産方式による見積もり

企業の貸借対照表を基に時価総額を算出する方法です。貸借対照表の純資産を基準にすることにより、客観的な評価を行えます。

純資産方式では将来性などは考慮されませんが、未上企業の時価総額の見積もりに活用されています。

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3.東証1部の上場基準見直し

東証1部上場基準の見直しが検討されています。具体的な時期については、示されていませんが、見直しが行われると多くの企業に影響が出るのは間違いありません。

ここでは、東証1部の上場基準見直しについて解説します。

①東証一部の上場基準の厳格化が検討されている

東証一部の上場基準の厳格化が実施が検討されており、数年後には実施されると見られています。

その理由について解説します。

東証一部の企業数が2100社以上となっている

バブル期でも東証1部に上場していた企業は1000社程度でした。

しかし、東証一部へ上場した企業が過去30年で2倍近くの2100社以上となっているため、絞り込み目的と見られています。

2部やマザーズ経由での内部昇格が多い

2部やマザーズからであれば40億円で1部に昇格できるため、東証1部への上場の7割は内部昇格した企業です。

直接上場の時価総額基準である250億円よりもかなり低い基準となっています。

時価総額に大きな差がある

東証1部上場企業の時価総額については、時価総額が1兆円を超える企業もあれば、数十億の企業まで混在しているため、ある程度の基準を設けることが検討されているのです。

②見直しが検討されている基準

時価総額基準の見直し

上場の時価総額基準には、250億円\~1500億円までさまざまな案があります。

現在、具体的な数値は示されていませんが、どの数値になっても上場廃止、降格に追い込まれる企業が出る可能性が高いです。

そのため、今後M&Aなどにより時価総額を高めようとする企業が現れるでしょう。

コーポレートガバナンス基準の見直し

ガバナンスの数値基準の見直しにおいて有力視されているのが社外取締役の比率です。基準については「3分の1以上」が目安となります。

現在、この基準に届いていない企業が多いため、企業は対策を求められます。

③東証一部からの降格による影響

東証1部から降格されると企業には大きな影響があります。

信用が低下する

東証1部上場企業が2部市場への指定替えを通告されるとこれまでの信用が失われることになりかねません。

1部上場は、企業にとって重要なステータスであるため、降格や上場廃止に陥れば格付けや銀行の融資条件などにも影響してきます。

東証一部から外れた銘柄の株価が売られる

東証一部から外れた銘柄に関しては信用性が落ちるため、株が売られやすくなり、時価総額が低くなります。

企業によって下落する額は異なりますが、企業経営に少なからず影響を与えるでしょう。

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4.まとめ

  • 時価総額の算出方法が分かれば他社との比較ができる。
  • 未上場企業の時価総額算出は収益方式・純資産方式を使用する。
  • 東証一部の上場基準見直しは企業の時価総額に影響してくる。
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おわりに

時価総額の算出方法が分かっていれば、同業他社や関連企業との比較も可能です。未上場企業では、収益方式・純資産方式で見積もりを行った後、話し合いが行われて時価総額が決められています。

今後、東証一部の上場基準の見直しによりM&Aなどが増加する可能性があります。時価総額の算出が求められる企業も少なからず出始めるでしょう。

今回解説したことを踏まえて、時価総額の算出は慎重に行いましょう。

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