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この記事でわかること
- 事業承継で最初に行うこと
- 事業承継をスムーズに進めるためのコツ
- 相続税・贈与税の納税の猶予・免除をしてもらうための方法
はじめに
事業承継では、実行をすると決定してから実際に承継の手続きが完了するまで、いくつかの段取りを踏む必要があります。手続きによっては専門家の知識が必要となり、どのタイミングで何をサポートしてもらうのかも、あらかじめ決定しておかなければいけません。
この記事では、事業承継を実行する前の手続きから、承継後にしなければならない行動について、5つのフェーズに分けてご紹介しています。大まかな流れを掴む参考としていただければ幸いです。
また、KnowHowsの「みんなで事業相談」では、専門家に事業の悩みを無料で相談することが可能です。
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事業承継も含め、お悩みの際はぜひご活用ください。
1.株価算定及び税額の算定
事業承継の第一歩は、事業承継時点での自社の株価がいくらなのか、算定を行うことです。
また、それに伴う相続税・贈与税額がどのくらいなのかを、試算するのも望ましいとされています。事業承継における課題点が明らかになり、具体的なイメージが掴みやすくなるからです。
①株価の評価方法
事業承継における株価評価は、国税庁の財産評価基本通達(評基通)が定める計算方法によって行うのが一般的です。非上場企業と上場企業で異なるので、それぞれ分けてご紹介します。
・非上場企業の場合
非上場企業の場合は、上場企業のように株式市場による客観的な評価がないことから、一定の基準値と評価対象企業の財務数値を用いながら、算出をすることになります。従って、試算の段階では、評価対象企業の貸借対照表や損益計算書の予測バージョンの作成が必要です。
なお、評価方法には、原則的評価方法と特例的評価方法の2種類があり、評価対象企業にあわせて用いることになります。各評価方法の概要は以下のとおりです。
評価方法 | 概要 |
---|---|
原則的評価方法 | 評価対象企業を、国税庁が定める大会社・中会社・小会社に分け、類似業種比準方式や純資産価額方式のどちらか、あるいは併用によって株価を求める |
特例的評価方法 | 評価対象企業の株式を保有する株主が、同族ではないなどの場合に、配当還元方式を用いて計算する方法。基本的には、原則的評価方法より特例的評価方法のほうが、算出される株価は低くなるとされる |
・上場企業の場合
上場企業の場合は、株式市場における株価を利用します。実際の株価評価は課税時期における最終価格を用いるため、試算の段階では、その価格がいくらになるのか予測する必要があります。
なお、非上場企業及び上場企業の株価の、具体的な計算方法については、Knowhowsの別記事で詳しく紹介しています。よければチェックしてみてください。
②相続税・贈与税の計算方法
事業承継時点での株価が試算できたら、次に相続税法に規定されている計算方法を用いて、相続税・贈与税を算定しましょう。
相続税の場合は、まず財産を受け継ぐ全員にかかる相続税の総額を、課税遺産総額から算出します。その後、各人の相続税額を計算し、各人に応じた控除(配偶者控除や未成年者控除など)を引いて求めます。
贈与税の場合は、最初から個別に課税価格を計算します。そこから、基礎控除や各種控除を引いて、税率を掛ければ求めることが可能です。
2.事業承継方法の選択
算定された相続税・贈与税は、基本的に事業承継の相手が負担をしなければならない金額です。その対策として重要となるのが、事業承継方法の選択です。
①親族にするか、第三者にするか
事業承継方法を選択する上では、まず親族に承継するのか、あるいは親族外の第三者に承継するのかを選ぶのが一般的です。なお、前者を親族内承継、後者を親族外承継と言います。
②事業承継における各手法
誰に引き継ぐかを決定したら、具体的な手法を検討しましょう。事業承継には、主に次のような方法があります。
- 同族経営
- 内部昇格
- ヘッドハンティング
- M&A
- 経営統合
- 従業員持株会の導入
各手法の特徴については、「事業承継の概要・目的」で詳しく解説しているのでご覧ください。
3.事業承継チームの組成
具体的な方法まで決まったら、事業承継を円滑に進めるためのチームを組成しましょう。
チームのリーダーは、経営者が主体となることがありますが、事業を引き継ぐ人(後継者)にするのが一般的です。そのリーダーを中心に、株価対策としての経理や、外部の専門家と連携する人物などを採用します。
外部の専門家は、顧問税理士、会計士、弁護士、不動産鑑定士、保険代理店などがあげられます。チームに組み込む際には、各専門家にどこまでを依頼するのかを事前に決定しておきましょう。
また、各専門家の中でも得意・不得意な分野があるため、あらかじめヒアリングするのが重要となります。
4.関係者への説明
チームを組成し、十分に計画を検討したら、いよいよ事業承継の実行に移ります。
実行では、まず株主や従業員、金融機関、取引先といった各関係者への説明から行うのが一般的です。
彼らにとって、事業を引き継ぐ人(後継者)は、特に第三者の場合は正体不明な人物です。説明を受けたときに、「今までのように事業をうまく回してくれるのか」「友好関係を築けるのか」、といった不安を覚える人は少なからずいるでしょう。
そうした人たちを安心させる意味でも、事業承継を行う事実だけではなく、新しい経営者の人物像や経歴などを伝えることが大切です。
合わせて、具体的な財務数値から課題点を見つけておき、今後どのように解決するのかといった経営方針を説明することも欠かせないでしょう。
5.各種手続きを取る
関係者からの理解が得られたら、事業承継完了に向けて手続きを進めます。
①相続税・贈与税の申告と納付
確定した株価を元に、正式な相続税及び贈与税を算出し、税務署に申告・納付を行います。各税金によって期限が異なるので注意しましょう。
税金の種類 | 申告・納付期限 |
---|---|
相続税 | 相続の開始があったことを知った日(事業承継をする人が亡くなった日)から、10ヶ月後の同じ日まで。(例:4月10日→翌年2月10日までに申告・納付) |
贈与税 | 贈与を受けた日(財産をもらった日)の年の、翌年2月1日から3月15日まで。(例:2020年5月7日→2021年2月1日~3月15日までに申告・納付) |
・事業承継税制
事業承継税制は、相続税・贈与税納税の猶予や免除をしてもらえる国の制度です。
相続税なら事業を引き継ぐ人(後継者)が取得した株式の、80%にあたる分の納税の猶予や免除がされます。贈与税なら、取得した株式に対応する分の猶予及び免除です。
この制度を利用するには、まず会社・事業を引き継がせる人(経営者)・事業を引き継ぐ人(後継者)それぞれが、いくつかの要件を満たさなければいけません。
たとえば、会社であれば、中小企業者であることが要件としてあげられています。中小企業者の判別は、該当する業種目によって異なり、卸売業その他であれば「資本金3億円以下、または従業員数300人以下」、卸売業であれば「資本金1億円以下、または従業員100人以下」となっています。
事業を引き継がせる人(経営者)であれば、会社の代表者であったか。事業を引き継ぐ人(後継者)であれば、相続開始もしくは贈与時点で株式を一定数以上保有かつ筆頭株主であったか。こうしたいくつかの条件があります。
また、以上の要件を満たした上で、所定の手続きをする必要があります。
最も大きな違いは、都道府県知事の認定が必要な点です。相続税は相続開始後8ヶ月目までに、贈与税は翌年1月15日までに、必要な書類を都道府県庁に提出します。そして都道府県庁から認定書を受け取ってはじめて、税務署に申告・納付する流れです。
通常の申告・納付のときよりも、1~2ヶ月程度早く準備をしなければいけない、というイメージを持つといいでしょう。
なお、詳しい要件や手続き、書類については中小企業庁が公開している案内『事業承継と税制』に書かれています。利用を希望する場合は、目を通しておきましょう。
②その他の手続き
事業承継では、税金の申告・納付だけで完了ではありません。株式の移動が行われた場合は株主名簿の書き換え、事業譲渡の場合は各資産・各負債を引継先と確認しながら、個別に手続きを進める必要があります。
このように利用した手法によって異なるので、専門家に指示を仰ぎながら進めるのが無難です。
まとめ
- 事業承継を実行する際には、まず株価算定と相続税額の算定を行う。
- おおよその相場が掴めたら、どの方法で対策を行うのか検討。スムーズに実行できる人材で固めたチームを組成する。
- 実行に移すときには、関係者への丁寧な説明を怠ってはならない。最後の各種手続きも専門家に意見を求めながら、焦らずに進めるのが大切。
おわりに
事業承継は、多くの人が関わる分、予期せぬ出来事が起きることもあるでしょう。
万が一に備えて事業承継の理解を深めるとともに、各専門家にすぐ相談できる体制を整えておくのが大切です。
もし、本記事で解説した内容についてお悩みの場合は、冒頭でもご紹介したKnowHowsの「みんなで事業相談」の利用をおすすめします。
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