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事業承継の概要・目的

この記事でわかること

  • 事業承継の概要と目的
  • 親族内承継の種類と留意すべき問題点
  • 親族外承継の種類と留意すべき問題点
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はじめに

事業承継は、経営者の親族、もしくはそれ以外の人物に事業を引き継がせる行為です。

誰に経営を任せるのか、株式を承継する際に生じる相続税はどのように賄うのかなど、さまざまな問題に対して事前にプランを練ることが、いわゆる事業承継対策と呼ばれています。

この記事では、事業承継の概要と目的についてご説明します。その上で、親族内承継親族外承継に大別し、それぞれの特徴を解説しているので、事業承継の概観を抑える参考としてください。

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1.事業承継の概要・目的

まずは、事業承継そのもののご説明と目的から始めましょう。

①事業承継の概要

事業承継は、経営者がこれまで継続してきた事業を、別の者に引き継いでもらう行為です。別の者は、大きく分けて親族と親族外に分けられ、前者を相手にする場合を親族内承継、後者の場合を親族外承継と言います。

親族内承継でよくあるのは、長男や次男など、子どもに引き継がせるケースです。一方で株式は親族に譲り、経営権は第三者に引き継がせる方法もあります。

他方、親族外承継では、M&A(買収)が一般的です。この他に、同業者との経営統合、従業員持株会の導入などのパターンもあります。

②事業承継を行う目的

事業承継を行う企業には、親族内承継にしろ親族外承継にしろ、通底する目的があります。ここで代表的なものとして、ふたつあげましょう。

・経営者の若返りによる事業の継続

ひとつは、若い経営者に引き継ぐことによって、これまで大事に育ててきた事業を継続させるという目的です。

中小企業庁が平成28年12月に発表した事業承継ガイドラインでも、廃業を予定している企業のうち、約3割が後継者がいないことが原因とし、「廃業予定企業が必ずしも業績悪化や将来性の問題のみから廃業を選択しているわけではないことを示している。」と結論づけています。

「事業承継さえうまくいけば、事業の継続ができるのに」と考えている経営者が、一定数いることの裏返しでしょう。

・ステークホルダーとの関係を維持するため

従業員や取引先、顧客など、企業を取り巻く関係者との関係を維持することも、多くの企業が目的としているものです。

目まぐるしい社会の変遷に伴い、既存のノウハウでは継続することが難しくなってしまった。そのときに、働いている従業員を守る、取引先や顧客とこれまで築いてきた関係を守るために、事業承継が選ばれるケースがあります。

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2.親族内承継の種類と留意すべきポイント

事業承継には、親族内承継と親族外承継のふたつに大別されるとご説明しました。ここからは、それぞれの承継について詳しく見ていきます。まずは、親族内承継からです。

なお、親族内承継を説明するにあたっては、先に「親族とは何か」を明確に捉えることが重要です。

相続税法によれば、配偶者・6親等内の血族・3親等内の姻族と定められています。たとえば経営者の子どもやその配偶者はあたりますが、経営者の兄弟やその配偶者はあたらない、ということになります。

①親族内承継の種類

親族内承継の種類には、次のようなものがあります。

  • 同族経営
  • 内部昇格
  • ヘッドハンティング

順に解説をしましょう。

・同族経営

同族経営は、経営者が親族に事業を承継させる方法です。事業承継の中で、最もスタンダードな選択肢とされています。

同様の手法に、MBO(マネジメント・バイアウト)と呼ばれるものがあります。

親族に株式と経営権を承継させる点では同じですが、後継者が新たに企業を設立し、その企業が対象企業を子会社化する、という点で異なります。株式を買い集める際の資金は、金融機関から調達するのが一般的となっています。

・内部昇格

内部昇格は、親族に株式を承継する一方で、経営権を親族以外かつ社内の人間に承継する手法です。親族に十分な経営手腕がないときに、しばしば用いられます。

・ヘッドハンティング

ヘッドハンティングは、親族には株式を承継しつつ、経営は社外から迎え入れた人に依頼する手法です。ヘッドハンターと呼ばれるヘッドハンティングを専門に行う業者、親密な取引先、金融機関などから選ばれるのが通例となっています。

②留意すべき問題点

親族内承継では、親族という見知った人に事業を譲る点から、スムーズな承継が期待できます。しかし一方で、親族だからこそ解決し難い問題が伴うのが実状です。

たとえば、兄弟がいるような場合、どちらにどの程度、株式や経営権を承継するのかが鍵となってきます。後々の運営で、兄弟同士で揉めてしまう可能性がゼロではないからです。

また親子間の関係が芳しくなければ、子どもが提示した条件になかなか納得してくれないことも十分考えられます。

他方、親族に株式は承継しつつ、経営は第三者とする場合も慎重になる必要があります。株主と経営陣が分かれることになり、意見の相違が生じるケースが増えてしまうからです。

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3.親族外承継の種類と留意すべきポイント

次に親族外承継について、詳しく解説をしましょう。同様に種類をまず見ていき、その後留意すべき問題点についてご紹介します。

①親族外承継の種類

親族外承継には、主に次のようなものがあります。

  • M&A
  • 経営統合
  • 従業員持株会の導入

こちらも、順に見ていきましょう。

・M&A

M&Aは経営者の株式、および経営権を別の会社に引き継いでもらう手法です。具体的な方法としては株式譲渡、事業譲渡、合併などがあります。

株式譲渡は、売却先の企業の株式を、買収先の企業が引き受ける方法です。売却先の企業は、買収先の子会社となり、対価として現金を受け取ります。

事業譲渡は、売却先の企業の事業(一部または全部)を買収先の企業が引き受ける方法です。こちらも、対価は現金で行われることが一般的となっています。

合併は、複数の企業がひとつの法人格となる手法を言います。吸収合併と新設合併の2種類があり、前者は合併対象となるどちらか一方の会社が解散、後者は合併対象となるすべての会社が解散して新しい会社を設立します。対価は、相手企業の株式となります。

・経営統合

経営統合は、統合する会社が協力して持株会社を設立し、運営の体制を移行する方法を言います。統合対象となる企業がいずれも解散せず、残るのが合併と異なる点です。多くの場合、保有する株式の割合は、統合した企業同士の企業価値によって決まります。

・従業員持株会の導入

親族外承継では、このほかに株式と経営権の両方を、社内の人間に引き継いでもらう手法もあります。そのうち、従業員に受け持ってもらうために行われるのが、従業員持株会の導入です。

他方、役員持株会や取引先持株会などの設置が行われることもあります。

なお、持株会に株式の過半数を持たせ、経営権を握らせることをMEBO(マネジメント・エンプロイー・バイアウト)と言います。

②留意すべき問題点

M&Aや経営統合といった場合、一番大きな問題となってくるのが相手先をいかに見つけるかです。

たとえばM&Aであれば、買収先の企業が、自社を引き継ぐことによって得られるメリットを見いだせなければ難航する可能性が高くなります。事前に経営状況や財政状況を整え、デューデリジェンスに備えることが大切です。

一方、従業員持株会を設置した場合は、従業員が株式を保有することによるメリットが少なければ、従業員のモチベーションが低下してしまう恐れがあります。

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まとめ

  • 事業承継は、親族もしくは第三者に株式や経営を引き継いでもらう行為。親族に引き継いでもらう場合を親族内承継、第三者の場合を親族外承継と呼ぶ。
  • 親族内承継には、同族経営や内部昇格などがある。親族ならではの問題が生じるため、株式と経営権のバランスをうまくとることが重要。
  • 親族外承継にはM&Aや従業員持株会の導入などがある。特にM&Aは事業承継の主流と言われているので、どのような手法があるのか知っておくようにしよう。
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おわりに

事業承継においては、親族内承継と親族外承継に大別しても、そこからさらにさまざまな手法があります。

どの手法がふさわしいのか的確に選択するためには、何をもって事業承継を行うのか明確にすることが不可欠です。

もし、本記事で解説した内容についてお悩みの場合は、冒頭でもご紹介したKnowHowsの「みんなで事業相談」の利用をおすすめします。

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