【財務分析用テンプレート】数値入力だけで財務指標を簡単予測
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この記事でわかること
- 債務超過時の株価について
- 修正純資産法で算出した価額と清算価値の違い
- 債務超過時の代表的な解消方法(第三者割当増資・DES・M&A)の、手続きの流れと留意点
はじめに
債務超過(資産をすべて売却しても負債を返せない状態)時における、株価の算定方法についてご紹介します。
合わせて財務内容を改善する代表的な方法と、手続きの流れについて解説したので、サポートになれば幸いです。
KnowHowsでは、従来は専門家に依頼していた株価計算を無料で行える「株価算定ツール」もご用意しています。
DCF法・純資産法・競合会社比較法の3つの代表手法を用いて、自社の株価を本格計算。
従来は数十万円のコストが必要だった株価算定を、手軽にご利用でき、税理士監修の株価算定書を出力することも可能です。
株価算定をご検討の際はぜひ、ご活用ください。
1.債務超過時の株価算定
最初に、債務超過時の株価算定について解説します。
①債務超過時の株価について
債務超過時の株価は、ゼロ円と考えるのが一般的です。
・贈与税について
債務超過時の場合、贈与税に関して次のような留意点があります。
債務超過時における贈与税の留意点 |
---|
仮にその株式を購入しようとした場合、贈与の扱いとなる。ただし基礎控除額110万円を越えなければ、基本的に贈与税は課されない |
増資(第三者割当増資)をした場合、債務超過の状態が続けば、通常贈与税は発生しない |
②修正純資産法で念のため計算し直す
賃借対照表上で債務超過であった場合でも、時価に直したら実は違うケースがあります。念のため修正純資産法で資産や負債を計算し直し、もし債務超過でない場合は改めて株価を算定しましょう。
・修正純資産法とは
賃借対照表上の資産や負債の一部分を時価に直し、純資産を計算する方法です。企業価値を求める際の、マーケット・アプローチに該当します。
・修正純資産法における時価
次のいずれかに合わせて、修正をするのが一般的です。
時価の種類 | 補足 |
---|---|
再調達原価 | 修正純資産法で主に利用される時価。当該資産を、再度調達しようとした際にかかる金額を指す |
正味売却価額 | 非事業価値や有利子負債に利用されることが多い時価。売却の扱いとなる(利益が生じるとみなされる)ため、利用する際は法人税などを考慮する必要がある |
・修正項目
以下、修正する主な項目です。
修正純資産法を用い、債務超過ではないと判明した場合は、改めて株価を算定します。次の計算式で出すことが可能です。
修正純資産法による株価の計算式 |
---|
株価=純資産/発行済株式数 |
③清算価値も出しておく
清算価値とは、解散を前提に評価した簿価純資産のことです。
株価がゼロ円とみなされる場合、PBR(株価純資産倍率)が実質ゼロとなり、解散したほうがいいとも考えられています。債務超過が続くようであれば、視野に入れるのもひとつでしょう。
・清算価値の求め方
賃借対照表上の項目ひとつひとつを、処分価値に計算し直すことで求められます。
・清算価値は修正純資産よりも低いのが一般的
次のような理由があげられます。
理由一覧 |
---|
機械設備の処分価値が、ゼロもしくは大幅な減額となるケースが多いため |
無形固定資産や前払費用などの処分価値が、ゼロとなるケースが多いため |
不動産が鑑定評価額よりも安く売却されることがあるため |
取引停止や契約解除による支払い(ペナルティ)が発生する可能性があるため |
従業員に対して、退職金の上乗せしなければならないことがあるため |
精算手続きに関する弁護士などへの報酬が必要なため |
2.債務超過を解消する方法
債務超過は、企業が破産手続きをする原因のひとつとされています。
この章では、代表的な解消方法である①第三者割当増資②DES③M&Aについてご紹介します。
①第三者割当増資
特定の第三者に株式を発行し、純資産を増やす方法です。
・流れ
増資には、主に申込割当方式と総数引受方式の2種類があります。それぞれの手続きの流れは、以下のとおりです。
・留意点
留意点 |
---|
株式の希薄化が起こるため、株価が下がりやすい |
経営難による実施のため、投資家にマイナスなイメージを与えやすく、思うように資金調達ができない可能性がある |
②DES(Debt Equity Swap)
負債(Debt)を純資産(Equity)に交換する方法です。金融機関などの債権者が、融資を現物出資する形で当該企業の株式を取得します。これにより当該企業は、債務超過状態の改善を図ることができます。
・流れ
DESは、基本的に第三者割当増資で行われます。
(※)下記いずれかの場合に当てはまる場合は不要
・募集株式数が発行済株式数の1/10未満
・現物出資額が500万円未満
・現物出資するのが市場価格のある有価証券
・現物出資財産の価格証明を受ける
・弁済期(債務を履行するべき時期)が到来した金銭債権、かつ出資額が債権の額面を越えていない
・留意点
留意点 |
---|
債権者に再建が難しいと判断され、応じてもらえない可能性がある |
時価のほうが債権の額面より下回っている場合、法人税が課されることがある |
法人税や法人住民税の均等割額が増加する |
③M&A(買収)
M&Aによって、業績の良い企業に救済してもらう方法です。
・流れ
ここでは、よく利用される事業譲渡、株式譲渡、第三者割当増資の流れをご紹介します。
・留意点
留意点 |
---|
詐害行為(債務者が故意に財産を減らし、債権者に弁済を受けさせないようにする行為)とみなされる可能性がある |
株式(or事業)の売却価格が低くなりやすい |
M&Aアドバイザーへの相談料など、別のコストが大きくかかることがある |
まとめ
- 債務超過時の株価はゼロ円と考えるのが一般的。その株式を安く購入しようとした場合、贈与とみなされ税金が課されることがある。
- 賃借対照表上で債務超過であっても、時価で計算し直したら違うケースもある。企業価値を求める修正純資産法で、各項目を念のため修正してみよう。
- 債務超過は、企業にとってできれば避けたい経営状態。第三者割当増資、DES、M&Aなどを利用して解消できるように努めるのがベター。
おわりに
債務超過時の株価算定では、注意したいポイントが複数あります。
「債務超過=株価ゼロ円」と覚えるのではなく、複数の視点から評価するようにしましょう。
KnowHowsの「株価算定ツール」は、税理士監修のもと、必要な項目を入力するだけで本格的な株価算定が可能です。
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