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手法別・資金調達のメリット・デメリット
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Index
この記事でわかること
- デット・ファイナンスのメリットとデメリット
- エクイティ・ファイナンスのメリットとデメリット
- その他の資金調達のメリットとデメリット
はじめに
前回は資金調達の種類について紹介してきました。
資金調達手段の検討には、それぞれのメリットとデメリットの把握が必要となります。
本記事では、外部資金による資金調達を焦点に、デット・ファイナンスとエクイティ・ファイナンス、その他の資金調達方法におけるメリットとデメリットについて解説します。
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1.デット・ファイナンスのメリット・デメリット
デット・ファイナンスとは、負債によって調達する資金のことです。公的機関や金融機関からの融資や、社債の発行がこれにあたります。
①メリット
調達にかかるコストが比較的小さい
金融機関が定めた利息を主たるリターンとするデット・ファイナンスにおいて、また主な資金提供者となる金融機関はローリスク・ローリターンを目指す傾向にあります。
そのため、エクイティ・ファイナンスと比べて、資金調達にかかるコスト(=資金提供者に支払うリターン)が少なくて済むと言うことができます。
また、利息は会社の利益によらず一定であるため、好況時においては利益への圧迫が少ないとみることができます。
経営権に影響を受けない
デット・ファイナンスによる資金調達は、経営権に影響を与えません。融資や社債は株式と異なり、経営に直接参加する権利は付与されていないためです。
返済義務はあるものの、企業の経営方針への介入度を低く抑えられる点がメリットと言えます。
資金調達の選択肢が多い
融資や社債の発行には様々な形態があり、事業の経営状況に即した手法を選ぶことができます。
デット・ファイナンスの手法については下記記事でも詳述していますので、気になる方はご覧ください。
②デメリット
元本の返済が必要
エクイティ・ファイナンスと異なり、デット・ファイナンスには利息の支払いに加え、元本の返済義務があります。
融資の返済期限は、審査を経て決められます。社債に関しては種類にもよりますが、長期だと3年、5年、10年、短期だと1年未満が償還期限の目安となります。
返済が遅れれば契約違反となり、融資を受けられなくなるだけでなく、企業のイメージも大きく損ないます。
特に社債は償還期限の満期と同時に一括で元本の返済を行う必要があるため、返済が可能なだけの資金を準備しておかなければなりません。
業績悪化時のリスクが大きい
先ほど、デッド・ファイナンスは好況時において利益への圧迫が少ないと書きましたが、不況時には逆の状況となります。
返済義務がなく、また配当金も利益がない場合には支払う必要がないエクイティ・ファイナンスと比べ、利息と返済金の支払いが必要となるデット・ファイナンスは、企業の収益への影響が大きいと言えます。
そのため、返済金が収益を圧迫する→取引先への支払い遅れや給与の遅配につながる→さらなる売上の低下を招く……といった負のスパイラルに陥りやすいのです。
③活用する際の注意点
デット・ファイナンスを利用する際には、借入金の返済計画を練ることが大切になります。
特に、企業の業績が悪化した際は、早めに金融機関や債権者に説明し、返済スケジュールの見直しを行うようにしましょう。
2.エクイティ・ファイナンスのメリット・デメリット
エクイティ・ファイナンスは株式を発行し、資本を増やすことで得られる資金調達です。株主からの出資に加え、ベンチャー投資もエクイティ・ファイナンスとして含まれます。
①メリット
返済期限がない
そもそも株式は社債と異なり、返済の義務がありません。利益に応じて配当の支払いが必要となる場合がありますが、利益がない場合はこちらも支払う必要がありません。
財務体質の強化
エクイティ・ファイナンスによって調達された資金は、企業の自己資本として扱われます。
調達によって自己資本を増やすことは、企業の総資産に対する自己資本の割合(自己資本比率)を増加させることに繋がります。
返済義務のない資本の割合が大きいほど、財務状態は健全であるとみなされます。その結果として、企業間の信用を獲得できたり、デット・ファイナンスによる追加の資金調達などが可能になります。
②デメリット
資金調達のコストが比較的高い
エクイティ・ファイナンスによる資金調達は、株主に支払うリターン=資金の調達コストが高くなる傾向にあります。
たとえば配当金は剰余利益金から拠出されるため、利益が多いほど、より高額な配当金の支払いを求められることになります。
また、デット・ファイナンスよりも市場の影響を受けやすく、リターンの増減が激しいこともデメリットのひとつでしょう。
経営の自由度が下がる
株主には議決権が付与され、経営に参加することが出来ます。議決権は保有している持ち株が多ければ多いほど、より多くの権利が与えられます。
そのため、個々の株主の意向も反映したうえで、経営戦略を練らなければなりません。
③活用する際の注意点
エクイティ・ファイナンスは返済の義務こそありませんが、投資家にとって自社の株式が「投資する価値がある」と映るよう、努力をしてゆく必要があります。
経営に関する情報開示を通じて、ベンチャー・キャピタルや一般投資家といった出資者との関係を築いていくことが重要となります。
3.その他の資金調達のメリット・デメリット
①アセット・ファイナンス
まだ回収できていない売掛金などの現金化、在庫の決算セール、売掛債権などの売却により、現預金を増やす調達法です。
メリット
保有資産の売却や、ファクタリング等を通じた資産の流動化などの手法がありますが、どちらも早期資金化が可能です。そのため、効率的に資金を調達することができます。
また、自社が保有している資産の資金化となるため、低コストです。
デメリット
資産がなければ資金調達できません。また、資産を保有していたとしても質が問われるので、調達できる資金額が不明瞭です。
活用する際の注意点
保有している資産を資金化することで、経営に支障をきたさないかを検討する必要があります。
②クラウドファンディング
資金調達したい個人・法人と、お金を提供したい支援者をマッチングさせるサービスがクラウドファンディングです。
メリット
誰でも簡単に資金を募れるため、融資や出資を募るよりも簡単に行なえます。また、インターネットさえあればプロジェクト支援者を募ることが可能なのも大きなメリットです。
支援者が多ければ多いほど市場ニーズがあるといえるため、マーケティングも行えます。
デメリット
歴史が浅く、ルールが未整備です。また、資金が集まるかどうかは注目度に大きく左右されるため、目に留まらなければまったく資金が集まらないというケースもあり得ます。
活用する際の注意点
ベンチャー企業やスタートアップ企業の場合、社会的知名度や信用度が低い可能性が考えられます。支援者に安心して資金を提供してもらえるよう、事業計画書などの作り込みが必要です。
③ICO
株式ではなく、仮想通貨(トークン)の販売によって資金調達する方法です。
メリット
仮想通貨を用いるため、グローバルな資金調達が可能です。また、短期間で資金を集めることができます。
デメリット
世界ではICOを行った企業によって大量の仮想通貨が乱立しており、成功できるのはごく一部でしかありません。
また、価格操縦による仕手筋や、マネーロンダリングのターゲットになるなど、運営側にそのつもりがなくても、犯罪行為に加担してしまうリスクもあります。
活用する際の注意点
日本でもICOの利用を制限する動きが見られます。基本的に非常にハイリスクであるため、現時点ではあまり利用は推奨されません。
4.まとめ
- デット・ファイナンスは返済が必要だが、資金調達のチャンスが豊富。
- エクイティ・ファイナンスは返済不要だが、経営権が脅かされる可能性がある。
- その他の資金調達は法的なリスクもはらむため、慎重に検討を
おわりに
資金調達の手法別にメリットとデメリットを紹介しました。それぞれの内容を把握し、自社の財務状況や事業状況と照らし合わせながら、最適な手段を選ぶ参考としてみてください。
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