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借金が返済しきれなくなってしまった際、返済を免除してもらう手段として「自己破産」があります。裁判所へ申し立て、その許可を得ることで、借金を免責してもらえます。
自己破産の手続きは、破産申立書の作成をはじめ、債務に詳しくない方にはややハードルが高いかもしれません。しかし、借金をなくせる、ある程度の財産を残せる、といったメリットは非常に大きいといえます。
この記事では、自己破産のメリットやデメリット、自己破産を検討した方がよいケースなどについて、解説します。借金の返済方法でお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。
自己破産の種類と条件
自己破産には、
破産管財人事件
同時廃止事件という2つの種類があります。
『破産管財人事件』とは、破産者の財産を借入先銀行などの債権者に配当する手続きを含む破産手続きのことをいいます。
破産管財人事件では、まず破産管財人が届け出された破産債権を調査・確定します。破産者の財産の整理が終わった後、破産管財人によって、優先順位に従った配当がなされます。
一方、『同時廃止事件』は、破産開始の決定と同時に、破産管財人による破産者財産の配当を行わずに破産手続きが終了となることをいいます。
この同時廃止は、裁判所による破産手続きの開始決定時に行われます。同時廃止となる事件は、破産者に配当する財産がないような場合です。
参考:破産法
自己破産のメリット
自己破産には、以下のメリットがあります。
借金がなくなる
自己破産のメリットは、自己破産によって借金がなくなることです。裁判所に許可されて免責を受けることで借金がなくなります。
これによって、破産者は今までの債務から解放され、新たな社会生活のスタートを行うことができます。
もっとも、税金や一定の損害賠償請求権、子供の養育費といった一部の債務は免除されないため、注意が必要です。
ある程度は財産を残せる
そもそも、破産手続きには、債権者にとって債務者の財産を分配する役割があるとともに、債務者が新たな社会生活再開を支援する役割があります。
この破産手続きの趣旨を表す制度として、『自由財産』があります。一定の財産については、債権者に分配されず、自分の手元に残すことができるというものです。
自由財産には、以下のようなものがあります。
- 99万円までの現金
- 債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳および建具
- 農業従事者が農業を営むうえで欠かせない器具、肥料、労役用の家畜とその飼料、次の収穫までに欠かせない種子その他これに類する農産物
- 漁業従事者が漁業を営むうえで欠かせない漁網その他の漁具、えさ、稚魚その他これに類する水産物
- 技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者のその業務に欠くことができない器具その他の物
- 債務者が破産手続開始後に新たに取得した財産
参考:民事執行法131条
自己破産の5つのデメリット
自己破産のデメリットには、以下のものがあります。
就業に制限がかかる
自己破産した場合、法律上、以下の職業に就くことができません。
- 弁護士
- 公認会計士
- 税理士
- 司法書士
- 後見人
- 保険外交員
- 警備員
- 株式会社や有限会社の取締役など
もっとも、以下の場合には当然に復権し、資格制限はなくなります。
- 免責許可の決定が確定したとき
- 破産債権者の同意に基づき、破産廃止が決定されたとき
- 破産手続開始の決定後、破産者が詐欺破産罪について有罪の確定判決を受けることなく10年が経過したとき
このほか、破産者が弁済などの方法によって破産債権者に対する全債務の責任を免れたときは、破産者の申し立てにより、裁判所が復権を決定することで、資格制限はなくなります。
クレジットカードが使えない
自己破産すると、クレジットカードは使えなくなります。
また、自己破産した旨は信用情報機関にも登録されるため、その登録期間中は返済能力がないとして、新たにクレジットカードを作ることも難しくなります。
もっとも、銀行などが発行するデビッドカードや、交通系ICカードなどを含むプリペイドカードなどは作成可能です。
財産が換価処分される
破産管財事件の場合、破産者の財産は、破産管財人の管理下に移動します。
もっとも、前述したように、再スタートに必要な自由財産についてはそのまま残されます。
官報に載る
破産手続きが開始されると、その旨が官報などに記載されます。もっとも、官報を見る人は一定の人に限られるため、官報による破産者公表から受けるデメリットは少ないと考えられます。
一定期間、新たな借入れができなくなる
クレジットカード同様、破産をしたことが信用情報機関に登録されるため、新たに借入れをすることが難しくなります。
【参考】自己破産のデメリットと誤解|破産後の生活へ与える影響
自己破産を検討するなら弁護士に相談
「自己破産を検討する場合には弁護士に相談」しましょう。
自己破産に向いている人・向いていない人
自己破産に向いているか、いないかは、今持っている債務の額や状況など、ケースによってさまざまです。
債務が超過している場合であっても、破産手続きなどの倒産手続きを必ず行う必要はありません。また、倒産手続きには破産手続き以外にもいろいろな手続きがあります。
弁護士に相談すれば、債務などの状況を調査・把握したうえで、どのような方法で倒産手続や債務整理をすべきかアドバイスを受けられます。
自己破産以外の方法の提案
自己破産以外にも、個人再生や民事再生といったさまざまな倒産手続きがあります。状況に応じて、ご自身に合った倒産手続きを選択することが重要です。
確認すべき状況とそれに対応した倒産手続きの一例を、以下に示します。
状況 | はい | いいえ |
---|---|---|
債務額が5000万円を超えているか | 小規模個人再生手続 | 民事再生手続 |
収入または定期収入があるか | 給与取得者再生 | 小規模個人再生 |
住宅ローンが残っているか | 小規模個人再生、給与取得者再生、民事再生手続 | 破産手続 |
免責不許可事由があるか | 小規模個人再生、給与取得者再生、民事再生手続 | 破産手続 |
費用面が不安なら無料相談や法テラス
費用面が不安であれば、無料相談をしている弁護士に相談してみるとよいでしょう。
初回は相談無料としている法律事務所もありますし、このほか国が設置している法テラスでも、一定の条件の下で無料相談が可能です。
まとめ
自己破産にはメリットもデメリットもあります。自己破産以外にも使用できる倒産手続きや債務整理の方法ありますので、ご自身に合った方法を検討するとよいでしょう。
何もしないでいると、借金が超過した状態のまま、長く苦しむことにもなりかねません。借金などの債務でお困りの際は、早めに法律の専門家などの弁護士に相談して、対策の方法を見つけましょう。
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