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中小企業診断士の岡野です。
コロナでの影響で資金繰りが苦しくなり、金融機関へ融資の相談に行くと「セーフティネットを区役所で取ってきてください」と言われ、内容はわからないけどとりあえず取りに行くか・・・という経営者がよくおられます。
中身を知らなくても問題無いといえば無いのですが、会社として取得するものですし意味は理解しておくと良いかと思い記事にしました。
取得方法も併せて解説します。
1.セーフティネットとは
1-1.一般保証の枠が使えなくても融資を受けられる制度
金融機関から借入を行う際に保証協会から保証してもらうことがあるかと思いますが、通常時に受ける保証を「一般保証」と呼びます。
コロナウイルスの影響等により経営が傾き融資を受けたいが、一般保証は既に使っており使えない・・・そんな時に使えるのがセーフティネット保証です。
経営の安定に支障をきたしており、市区町村からその認定を受けることで一般保証とは別枠として保証を受けられる制度となっています。
1-2.4号・5号の違い
コロナ関連では4号保証や5号保証という言葉を聞きますが、この「●号」というのは根拠となる法律の号数(中小企業信用保険法第2条第5項●号)を指しています。列挙すると下記の通りです。
- 1号:連鎖倒産防止
- 2号:取引先企業のリストラ等の事業活動の制限
- 3号:突発的災害(事故等)
- 4号:突発的災害(自然災害等)
- 5号:業況の悪化している業種(全国的)
- 6号:取引金融機関の破綻
- 7号:金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整
- 8号:金融機関の整理回収機構に対する貸付債権の譲渡
4号は台風等がメインですが、今回はコロナウイルスによる業績悪化も「自然災害等」に含まれるとして4号保証が使えることになりました。
また、コロナウイルスの影響はほぼ全ての業種に影響していることから、5号もほとんどの業種で取得出来ることとなっています。最新の指定業種一覧は下記から確認出来ます。
中小企業庁HP
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_5gou.htm
認定内容の違いに加え、4号と5号では保証率や認定条件が異なります。
4号 | 5号 | |
---|---|---|
売上高条件 | ▲20%を上回る対前年減少率 | ▲5%を上回る対前年減少率 |
その他の条件 | 指定地域において1年以上 | |
継続して事業を営んでいる | 不況業種を営んでいる | |
保証率 | 100% | 80% |
その他の条件については、4号の指定地域は今や日本全国ですし5号の不況業種もほとんどが当てはまるため基本的には売上高条件のみとなります。
なお、詳細は後述しますが、現在は一部緩和がされており4号保証の「1年以上」は「3ヶ月以上」でも認められます。
この「売上高」というのは直近月を指すため、4月は▲20%以上減少していたものの、5月には回復したなどの場合取得出来ないことに注意です。こういった事象で認定が受けられなかった、という方もいらっしゃいますので、減少したことを確認出来れば早期に認定を受けた方が良いです。
「直近月」は基本的に前月ですが、月初などで前月の売上が集計出来ていない場合などは前々月でも認められることもあります。所在地の市区町村に問い合わせてみると良いでしょう。
保証率というのは借入の何%を保証協会が保証するのかという割合を意味します。例えば1,000万の借入をしたものの返せなかった場合、4号であれば1,000万円全額を保証協会が金融機関に支払いますが、5号の場合は80%にあたる800万円を保証協会が金融機関に支払います。なので、金融機関の審査としては4号の方が通りやすいでしょう。
1-3.イレギュラーなケース
先に述べた通り、現在は要件が一部緩和されています。
- 業歴が3ヶ月以上1年1ヶ月未満
- 店舗を増やしたなど、前年との単純な売上比較では一見増加しているような場合
これらに当てはまる場合、前年同月の売上と比べる以外の方法で売上比較が出来ます。
- 直近月vs直近月含む3ヶ月間の平均
- 直近月vs2019/12
- 直近月vs2019/10~12の平均
直近月を5月とすると、次のようになります。
- 5月 vs 3~5月の合計÷3
- 5月 vs 2019/12
- 5月 vs 2019/10~12の合計÷3
2.取得方法
2-1.認定は市区町村で行う
基本的には本店登記がされている市区町村に申請します。但し、自宅で登記しているが運営している飲食店は別の市区町村にある場合など、本店登記地と営業地が異なる時は営業地の市区町村でも可能です。こういったケースに当てはまる場合は念のため事前に電話確認しておく方が無難かと思います。
申請方法は市区町村によって異なり、事前予約が必要なところもあれば郵送受付可能なところもありますので、管轄の市区町村ホームページを確認しておきましょう。
2-2.必要書類
!市区町村によって異なる場合があるので必ず市区町村のホームページを確認してください!
申請書
市区町村によって数枚に分かれていることもありますが、基本的には次の数字を入れて作成します。
-直近月の売上
-翌月・翌々月の売上見込
あくまで見込なので正確性はさほど問われません。直近月で数億売上があるのに見込みは数万円など、大幅に傾向が変わっていれば流石に確認しますが、理由さえ説明出来れば特に問題無いかと思います。
-前年同月の売上
直近月が5月であれば、「2019/5・6・7、2020/5の売上(実績)」「2020/6・7の売上(見込)」を用意することになります。
決算書
直近の決算書です。一式に加え提出の証拠が必要なので、書面提出なら受領印、オンライン提出なら「メール詳細」(受け付けました、等の記述があるもの。e-taxで取れます)が必要です。市区町村や会社の状況によっては2期分を求められることもあるので、用意はしておくと良いでしょう。
売上を確認出来る書類
試算表が一番良いですが、用意出来なければ売上台帳などを提出します。最悪、領収書の束等でも認定されることもありますがあまりお勧めはしません。
前年は決算書の概況表でも確認出来ますが、決算書とは別に試算表等を持っていく方が無難です。
許認可証(あれば)
飲食店であれば営業許可証、中古品販売であれば古物商許可証など、自身の事業に必要な許認可を取っているかの確認です。特に許認可が必要でない仕事であれば勿論不要です。
履歴事項全部証明書(法人のみ)
個人事業主の場合は不要です。よくあるパターンですが3ヶ月以内に取得したものでないといけないため、手元にあるものを使用する際は注意しましょう。
賃貸契約書or固定資産登記(4号のみ)
1年以上事業を継続しているかの確認に使用します。賃貸であれば契約書、持ち物件なら固定資産の登記等になります。最近はチェックも緩和されてきているため、決算書の「地代家賃内訳」「固定資産台帳」などでOKとする市区町村もあります。
また、先述の通り1年以上の事業継続が無くても認定出来るようになっているため、市区町村によってはそもそも提出不要な場合もあります。
実印
訂正があった場合に使用します。印鑑証明書は特に必要ありません。
3.期限は2020/8/31まで
セーフティネットの効力は8/31までとなっています。それまでに売上減少等で経営が苦しい経営者の方は該当する認定書を取っておくと良いでしょう。取って結局使わなかったとしても何か問題になることはありません。
セーフティネットを利用した融資は通常時の融資に比べ金利等の条件がかなり良いです。今無理に我慢して後々になって通常の融資を受けるくらいなら今融資を依頼した方が金利負担はかなり減らせます。
基本的に無駄な借入は反対していますが、状況が状況です。苦難をしのぐために使える融資や助成金はしっかりチェックして使っていくことが会社を存続させるために必要なことではないでしょうか。
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東京の中小企業診断士です。
資金繰りのご相談やビジネスモデルの検討など、幅広い経営のお悩みをワンストップでお応えしております。
【所属等】
東京都中小企業診断士協会 城北支部
AI・人工知能研究会 会員
中小企業庁 経営革新等支援機関
公益財団法人東京都中小企業振興公社
中小企業プロモーション支援事業 専門家
東京商工会議所 板橋支部
一般社団法人エッジプラットフォームコンソーシアム 賛助会員
ニースワーキンググループメンバー
日本管理会計教育協会 会員
【略歴】
1986年 大阪府大阪市生まれ、兵庫県伊丹市育ち
2009年 京都大学経済学部経営学科 卒業
2009年 NTT西日本 入社
支店営業→支店営業企画→本社財務
2014年 NTT持株会社に転籍
グループ全体の事業計画等
2017年 法律事務所の立ち上げに参画【現職】
2019年 中小企業診断士事務所 代表【現職】
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