Index
- この記事でわかること
- はじめに
- 1.株式移転計画書に記載する内容は?
- ①新設会社の基本事項
- ②新設会社の定款で定める事項
- ③新設会社の取締役氏名
- ④新設会社の会計参与や監査役の氏名
- ⑤新設会社の株式に関する事項
- ⑥⑤の株式の割当に関する事項
- ⑦新設会社の社債等に関する事項
- ⑧⑦の社債等の割当に関する事項
- ⑨新設会社の新株予約権に関する事項
- ⑩⑨の新株予約権の割当に関する事項
- ⑪そのほか
- 2.計画書はどのタイミングで作成する?株式移転の大まかな流れ
- ①株式移転に関する事項を策定する
- ②株式移転計画書を作成する
- ③株主総会で承認を得る
- ④各種手続きを行う
- ⑤新設会社設立の登記申請を行う
- 3.株式移転を実行したら登記申請を忘れずに
- ①会社設立で事前に決めておくべきこと
- ②必要な書類
- まとめ
- おわりに
この記事でわかること
- 株式移転計画書に記載する10の項目とその詳細
- 株式移転計画書を作成しなければいけないタイミング
- 株式移転で不可欠となる会社設立において、決めなければいけないことと必要な書類
はじめに
株式移転は、M&A(買収)における手法のひとつです。既存会社が自社の株式をすべて新設会社に現物出資し、既存会社が新設会社の完全子会社となることを言います。
メリットは、合併と似たようなシナジーを得つつ、合併よりも円滑に統合が図れる点。また、株式譲渡や第三者割当増資より必要資金が抑えられることからも、実務ではしばしば用いられます。
この記事では、株式移転を実行するのに必ず作成しなければならない、株式移転計画書について詳しく解説しています。
記載すべき内容は何か、どのタイミングで作成するのがいいのかなどをご紹介しているので、ぜひお役立てください。
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1.株式移転計画書に記載する内容は?
株式移転を実行する際は、株式移転計画書の作成が必須です(会社法772条)。
会社法773条によれば、主に次の内容を盛り込まなければいけません。
各事項について、補足を加えていきましょう。
①新設会社の基本事項
まずは、既存会社の株主が保有している株式を現物出資として、新たに設立する会社(新設会社)の基本事項です。新設会社の目的、商号、本店の所在地、発行可能株式総数について記載します。
②新設会社の定款で定める事項
この項目は別紙にまとめておき、株式移転計画書には「別紙のとおりとする」と記述する方法もあります。
③新設会社の取締役氏名
株式移転計画書に記載する新設会社の取締役氏名は、設立時に任命された者全員です。④とまとめて箇条書きにするパターンも見られます。
④新設会社の会計参与や監査役の氏名
次のパターンに当てはまる場合は、それに応じて該当者の氏名を記載しなければいけません。
- 新設会社が会計参与設置会社である→設立時の会計参与の氏名
- 新設会社が監査役設置会社である→設立時の監査役の氏名
- 新設会社が会計監査人設置会社→設立時の会計監査人の氏名
⑤新設会社の株式に関する事項
株式移転では、既存会社の株主から保有する株式を回収する代わりに、新設会社が新株を発行して株主に割り当てることになります。
株式移転計画書では、その株式をいくつ発行したのか(あるいはその数の算定方法は何か)を記載しなければいけません。またそれに伴い、資本金や資本準備金についても記す必要があります。
⑥⑤の株式の割当に関する事項
既存会社の株主にどの程度新株を割り当てるのか、詳細を記載します。事前に作成した株式名簿に従い、箇条書きで記すのが一般的です。
⑦新設会社の社債等に関する事項
新設会社が既存会社の株主に対して、保有する株式を回収する代わりに社債等を発行するときは、内容によって以下の事項を明示しなければいけません。
- 社債を発行する場合は、その内容と各社債の金額の合計額(もしくは算定方法)
- 新株予約権を発行する場合は、その内容と数(もしくは算定方法)
- 新株予約権付社債を発行する場合は、その内容と数(もしくは算定方法)
⑧⑦の社債等の割当に関する事項
⑥と同様、社債等についてもどのように割り当てるのか記載します。
⑨新設会社の新株予約権に関する事項
既存会社の株主が新株予約権を保有しているとき、新設会社はその新株予約権に代わる新株予約権を発行することとなります。株式移転計画書には、その場合の詳細についても記載が必要です。
⑩⑨の新株予約権の割当に関する事項
⑨に当てはまる新株予約権を、既存会社の会社にどのように割り当てるのかを記載します。
⑪そのほか
株式移転計画書には、上記のほかに登記事項や株式移転の変更・中止に関する事項を記すこともあります。
2.計画書はどのタイミングで作成する?株式移転の大まかな流れ
株式移転計画書は、株式移転を実行する上で不可欠な書類です。
そのため作成に時間がかかると、株式移転の実行が遅れてしまいます。以下で、株式移転の大まかな流れをご紹介するので、最適なタイミングで用意できるようにしましょう。
①株式移転に関する事項を策定する
最初に、株式移転に関する重要事項の策定です。基本的には、第1章でご紹介したような、株式移転計画書に記載する事項を決定します。
また、基準日(株式移転の契約が効力を持つ日)についても、同時期に定めます。
②株式移転計画書を作成する
①に基づき、株式移転計画書を作成します。株式移転計画書は株主総会での承認が必要なため、作り終わった段階で株主に対して株主総会開催の通知を行います。
また、株主総会開催前に、事前開示書類(株式移転計画書に記載した内容の書類や、計算書類など)の備置を始めます。
③株主総会で承認を得る
株主総会にて、株式移転計画書の承認を得ます。承認後、株式移転のうち、共同株式移転の場合は公正取引委員会に必要書類の提出が必要です(参考・公正取引委員会・共同株式移転の届出制度)。
④各種手続きを行う
基準日を迎える前に行う手続きには、主に以下があります。
手続き | 補足 |
---|---|
官報への公告および催告 | 債権者を保護するための手続きです。基準日の1ヶ月前までに行わなければいけません |
有価証券通知書の提出 | 新株の発行総額が1,000万円以上で、かつ50人以上に発行する場合は必要となります |
反対株主からの買取請求受付 | 受付期間は、基準日の20日前から基準日までです |
⑤新設会社設立の登記申請を行う
基準日を迎えたら、新設会社設立の登記申請を行います。
3.株式移転を実行したら登記申請を忘れずに
大まかな流れの最後でご紹介したように、株式移転では新設会社設立の登記申請を行わなければいけません。
ただし、会社の設立でも事前に決めておくべきことや提出書類が多くあり、計画して進める必要があります。以下で概説するので参考としてください。
①会社設立で事前に決めておくべきこと
会社で事前に決めるべきことは多岐に渡ります。中でも代表的なものは、基本事項と定款です。
決めるべき事項 | 詳細 |
---|---|
基本事項 | 主に発起人、会社名、事業の目的、資本金の額、機関設計などです |
定款 | まずは絶対的記載事項(目的・商号・本店の所在地・設立に際して出資される財産の価額またはその最低額・発起人の氏名または名称及び住所の5項目)を決定します。その上で相対的記載事項、任意的記載事項で補足するのが一般的です。なお、作成が終わったら、登記申請をする前に公証役場で認証を受けなければいけません |
②必要な書類
登記に必要な書類は、次のようなものがあります。
必要な書類 |
---|
登記申請書 |
登録免許税納付用台紙 |
定款 |
発起人の同意書 |
設立時取締役の就任承諾書 |
印鑑届出書 |
代表取締役の印鑑証明書 |
登記事項を記録した電磁的記録媒体(CD-Rなど) |
上記以外にも、取締役会を設置する場合は代表取締役以外の役員の本人確認証明書、現物出資があるときは調査報告書や財産引継書などが必要になります。
まとめ
- 株式移転では、株式移転計画書の作成が必要不可欠。会社法773条に従い、抜け漏れがないようにしよう。また、実行に遅れがでないように、作るタイミングをきちんと把握することも重要。
- 株式移転では、会社の登記申請手続も行わなければいけない。設立で決めるべきこと、必要な書類についても確認を忘れずに。
おわりに
株式移転は、迅速なシナジーが期待できるなどメリットがある反面、手続きが煩雑というデメリットがあります。
KnowHowsで公開している関連記事にも目を通していただき、実務に備えていただければ幸いです。
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