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Index
この記事でわかること
- 資金調達計画を立てるための5つの手順
- 借入、社債の種類と特徴
- 増資、新株予約権の種類と特徴
はじめに
資金調達を計画することは、資金を滞りなく集めるために重要です。また、資金を正しく利用し、事業の発展を促すのが意義ともされています。
この記事では、資金調達の計画を立てるための手順をまとめました。その上で代表的な調達方法についても解説しているので、資金繰りに困らないようにする手立てとしてください。
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1.資金調達計画を立てるための5つの手順
資金調達の計画は、主に以下の5つの手順を経て決めていきます。
①資金使途を明らかにする
資金使途とは、資金の使いみちのことです。「新規事業に必要な○○という設備を購入する」「運転資金の不足を補う」といったことがあげられます。資金使途を明らかにすることは、次のようなメリットがあります。
・資金調達がしやすくなる
何のために資金を調達するのかが明らかになれば、たとえば金融機関に「この資金を○○に使えば利益が生まれるので、返済できる」といった説明ができ、融資を検討してもらいやすくなります。投資家に対しても同様で、出資することで生じるメリットに納得してもらい、株式を引き受けてくれる可能性を広げられます。
・資金の運用効果が明確になる
調達した資金によって、どの程度の効果が現れたのかも見えてくるのもメリットです。次に類似の資金調達をするときに、より適切な必要金額の算出をすることもできるでしょう。
②資金使途に合わせて分類する
資金使途を明らかにしたら、次にそれが運転資金・設備資金・その他資金のいずれに当てはまるのか、分類します。また合わせて、返済方法についても確認をしましょう。
・運転資金
運転資金とは、営業活動の際に必要となるつなぎ資金のことです。
たとえば、5万円の商品を仕入れて10万円の売上を得るとします。このとき、もし仕入れた商品の代金を、売上が発生する前に支払わなければならないとしたら、売上とは別に5万円を用意しなければいけません。この5万円が、運転資金です。
運転資金には、事業を継続するための経常運転資金や、売上向上などに必要な増加運転資金、在庫保有にかかる在庫資金などがあります。いずれも1年以内に返済が来る短期資金でまかなうのが基本です。
・設備資金
設備資金とは、事業の拡大や生産能力の効率化のために、必要な器具を揃えたり建物を建設するときなどにかかる資金のことです。関連子会社への出資や、金融商品の購入なども含まれます。運転資金と異なり、多額の資金が必要になることから、通常は返済期間が1年超の長期資金でまかないます。
・その他資金
社員に支払う賞与のための資金(賞与資金)や、決算によって確定した配当金や役員賞与などを支払うための資金(決算資金)などです。いずれも短期資金で返済を行い、次の時期までに完済できるように計画するのが理想とされています。
③必要な資金調達額を出す
必要な資金がどれに当てはまるのか確認したら、必要な資金調達額を出しましょう。
・運転資金
運転資金は、次の公式から求められます。
運転資金=(売掛金+受取手形)+在庫-(買掛金+約束手形)
・設備資金
設備資金は、設備資金に必要な金額と、資金を投入したときに得られるであろう利益と比較し、計算を行うのが一般的です。
・その他資金
その他資金のうち、賞与についてはケースバイケースです。たとえば賞与資金は、社員のモラールアップ効果と、次の支払時期までに得られる期間利益を加味して算出を行われることもあります。一方、税金については、決められた計算式を用いて算出をすることができます。
④資金調達方法を決める
必要な資金調達額を出したら、それを得るための方法を選びます。方法はさまざまですが、いずれを選択するにしても特徴やリスクを事前によく把握することが大切です。この記事では、第2章以降で、銀行借入、社債発行、増資、新株予約権の付与について解説しています。
⑤資金調達計画表を作成する
最後に決定事項を、Excelなどに落とし込んで表を作成しましょう。それによって、ひと目で今必要としている資金調達が何か、金額はいくらかなどを確認できます。時系列にして返済時期を加えれば、資金繰りが苦しくなるタイミングを見つけ出すことも可能です。
2.銀行借入や社債発行で資金を調達する
ここからは、資金調達の具体的な方法を紹介していきます。
本章は銀行借入や社債発行による調達についての解説です。
①調達時に留意したいポイント
銀行借入や社債発行は、後ほど返済が必要になる資金調達(デットファイナンス)に属する方法です。従って、資金調達提供者である銀行や投資家に対して、どういった方法で返済するのか、またそれはいつかなどを、明確に説明することがしばしば求められます。
②銀行借入
銀行から資金を提供してもらう方法です。ここでは証書貸付による借入、手形貸付による借入、手形貸付による借入をご紹介します。
・証書貸付による借入
金銭消費貸借証書を用いて、資金を調達できる方法です。主に長期資金の調達用に用いられ、毎月、3ヶ月毎など一定のスパンで返済していくのが一般的となっています。
・手形貸付による借入
銀行に約束手形を差し入れ、記載された金額の融資を受ける方法です。短期資金の調達時にしばしば利用されます。証書貸付による借入より手続きが容易、印紙代が安く済むことなどが特徴。ただ返済できない状況(手形不渡り)が、6ヶ月以内に2回発生した場合すると、銀行取引停止処分となるので注意が必要です。
・手形割引
取引先からもらった受取手形を銀行に渡し、記載された金額から手数料分を引いた資金を受け取る方法です。これによって、支払期日前よりも早く資金を調達することができ、運転資金や賞与資金などにあてることが可能になります。融資の際に、自社だけでなく、取引先の信用力も調査されるのが他の借入と異なる点です。
③社債発行
社債(会社の債権)を発行して、資金を調達する方法です。返済する期間が3年~10年と長く、長期資金を得る方法としてよく用いられます。主なものは、銀行引受私募債、少人数私募債、公募債の3種類です。
・銀行引受私募債
銀行を対象にした社債です。銀行が定める適債基準を満たすことで初めて発行できるため、財務状況が健全であることを他の銀行や企業、投資家にアピールできます。
・少人数私募債
親族や従業員など、特定の投資家を対象にした社債です。発行に審査はありませんが、「勧誘先人数は50人未満」「譲渡制限を付けること」「発行総額は最低券面額の50倍未満」の3点をクリアする必要はあります。
・公募債
不特定多数の投資家を対象にした社債です。発行の資格や手続きが厳しく、上場企業向けの方法となります。
3.増資や新株予約権の付与で調達する
次に、増資や新株予約権による調達方法を解説します。
①調達時に留意したいポイント
増資や新株予約権は、株式の発行等による資金調達(エクイティファイナンス)に属する方法です。従って、特に留意したいポイントは2つあります。
1つ目は、原則として調達した資金の返済義務がないことです。ただし株主には議決権や、持株比率(発行済株式数と保有する株式の比率)に応じてさまざまな権利を有していて、それが行使された場合は誠実に応えなければいけません。
2つ目は、経営者の持株比率です。経営者が会社運営を滞りなくできるように、他の株主にいくつ株式の発行等を行うのか考える必要があります。これは資本政策と呼ばれ、通常、スタートアップ企業やベンチャー企業の成長に不可欠なものです。
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②増資
新しく株式を発行し、それを元に資金調達を行う方法です。返済する必要がないため、長期資金の調達に向いています。ここでは、株主割当増資や第三者割当増資についてご紹介しましょう。
・株主割当増資
既存の株主に新株を割り当てる方法を言います。発行する株式の数が、持株比率が変わらないように調節されるのが特徴です。
・第三者割当増資
新規・既存関係なく、特定の第三者に新株を割り当てる方法です。発行する度に、経営者の持株比率が下がってしまうデメリットがあります。また、割当の対象とならなかった既存株主に不利益が生じる株価で発行する際は、株主総会の特別決議が必要となります。
③新株予約権の付与
事前に設計した金額で将来の株式が購入できる権利(新株予約権)を付与する代わりに、資金を調達する方法です。他にも、社債の返済を株式の払込価額にあてるといった、新株予約権付社債で集める方法もあります。
まとめ
- 資金調達の計画は、資金使途を明らかにことから始まる。具体的な数字が定まったら、Excelなどで表を作成しよう。
- デットファイナンスは、返済が必要になる資金調達方法。返済のスケジュールや方法などを明確に説明できるようにする。
- エクイティファイナンスは、株式等の発行による資金調達方法。原則として返済義務はないが、だからこそ株主の権利にはきちんと対応するのが重要。また経営者の持株比率にも気を配る必要がある。
おわりに
資金調達の計画は現場の状況によって、その都度変化するものです。
事業の現状を定期的に見直し、臨機応変に対応していきましょう。
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