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この記事でわかること

  • スタートアップ企業の成長と資本政策が必要となるシーン
  • スタートアップ企業が資本政策を立てる上で気をつけるべきこと
  • スタートアップ企業にありがちな資本政策の失敗例とその対策
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はじめに

スタートアップ企業がIPO(株式上場)を目指すとき、重要となるのが資本政策の作成です。資本政策は、目標達成のために必要な資金調達を、段階的かつ具体的に定めた計画を言います。

この記事では、資本政策が必要となるシーンを解説した上で、立案の際に気をつけるべきことや、ありがちな失敗例をご紹介。実務で用いるガイドとしていただければ幸いです。

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1.資本政策とは?


資本政策とは、企業が成長を図るための資金調達戦略です。まずはイメージを掴んでいただくために、それが求められるシーンと、そもそもなぜ重要なのかについて解説します。

①スタートアップ企業の成長と資本政策が必要となるシーン

企業が資金を得る方法には、銀行などからお金を借りるデット(負債)と、投資家に株式を発行し、代わりに資金を得るエクイティ(資本)がありますが、資本政策は主として後者に関わる政策を指します。

必要となるシーンは、以下の4つです。

・事業準備

事業のアイデアをまとめ、立ち上げの準備をする時期です。この時期のことをシードラウンド、それ以前の「事業をやろう」と思い立った時期をプレシードと呼ぶこともあります。

一般的には自己資金でまかなうことが多いですが、投資家に事業化の可能性のあるアイデアを提示し、資金調達を行うケースも少なくありません。また、たとえば試作品の開発で多額の資金がかかる場合などは、ベンチャーキャピタルから資金調達を行うケースもあります。

・事業立ち上げ

アーリーステージシリーズAなどと呼ばれる時期です。シード期にアウトラインを整えた事業を、実際に立ち上げて軌道に乗せていく段階となります。エンジェル投資家やベンチャーキャピタルにより具体化したプランを提示し、エクイティによる資金調達を得るのが一般的です。

・事業拡大

ミドルステージシリーズBなどと呼ばれる時期です。軌道に乗った事業を、さらに拡大するための資金調達を行います。エクイティだけでなく、融資による資金調達が行われる場合もあります。

・IPO(株式上場)準備

レイターステージとも呼ばれる時期です。各株式市場が定めている上場基準を満たすために、資金調達するラウンドとなります。

②なぜスタートアップにとって資本政策が重要なのか?

ここまで見てきたように、スタートアップ企業は、成長に応じて複数回の資金調達を行うのが通例です。

しかし、新たに株式を発行して第三者に割り当てる(第三者割当増資をする)ごとに、発行済株式数に対する経営者の株式の保有率(持株比率)は下がっていきます。次の例を見てみましょう。

資金調達の例経営者及び第三者の持株数と持株比率
シードラウンドで1,000株を発行し、うち100株を投資家Aに割り当てて資金調達をする発行済株式数…1,000株経営者…900株(90.0%)投資家A…100株(10.0%)
アーリーステージで追加で300株を発行し、それを元にベンチャーキャピタルから資金を調達する発行済株式数…1,300株経営者…900株(69.2%)投資家A…100株(7.7%)ベンチャーキャピタル…300株(23.1%)

通常、株式1株につき1つの議決権が与えられます。この議決権の割合(=持株比率)の高さが、会社に対する支配力の強さです。言い換えれば、第三者割当増資によって持株比率が低下するほどに、投資家やベンチャーキャピタルが経営に介入する割合が高くなります。

スタートアップ企業では、特にシードラウンドにおいては赤字となることが多く、成長を目指すために投資家やベンチャーキャピタルに頼るケースがしばしばあります。しかし、一度下がった持株比率は基本的に上がることがありません。従って資金調達の具体的な計画である資本政策が重要になる、というわけです。

・互いの利害調整も資本政策には含まれる

ところで第三者割当増資の際、持株比率の下降を抑える方法として、株価を高めに設定することがひとつ考えられます。

しかし投資家やベンチャーキャピタルにとっては、キャピタルゲインが利益です。そのため、割高な株価が避けられやすい傾向にあります。そうなれば、今度は会社の存続に関わる問題が出てくるでしょう。

資本政策はあくまで目標達成のための手段であり、実行できる可能性がなければ意味がありません。立案する際には「投資家やベンチャーキャピタルが、思わず購入してしまうような株価はどのくらいか」「どこまでなら妥協できるか」など、双方の利害を調整するのも重要です。

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2.スタートアップ企業が資本政策を立てる際に気をつけるべきこと

第1章でお伝えしたことを踏まえて、スタートアップ企業が、資本政策を立てる際に気をつけたい主なポイントをご紹介します。具体的には、次の5つです。

①誰を相手にするのか
②どんな方法を使うのか
③必要な数値をどのくらいか
④株式市場の上場基準を把握しているか
⑤持株比率はどう変動するか

それぞれ、詳しく解説しましょう。

①誰を相手にするのか

まずは、誰を相手にするのかを整理することが大切です。相手によって企業に対して何を求めているのか異なり、取るべき手段も変わってくるためです。

②どんな方法を使うのか

資本政策で利用される手段はさまざまです。決定する前に、特徴や留意点を抑えておきましょう。ここでは、増資の実施、種類株式の発行、ストック・オプションの付与、従業員持株制度の導入の4つをご紹介します。

・増資の実施

第三者割当増資株主増資割当などを行う方法です。第三者割当増資は、資本政策においてメジャーな手段で、投資家やベンチャーキャピタルなどに株式を割り当てます。しかし前章でお伝えしたとおり、持株比率が変動することに注意が必要です。

一方、株主増資割当は、既存の株主のみに追加で割り当てることを言います。株式数は持株比率が変動しないように決められ、発行済株式数や自己資本の増加を目的に実施されるのが一般的です。ただ調達できる資金が少額のことが多く、基本的にはシードラウンドといった初期段階に適した手段とされています。

・種類株式の発行

種類株式とは、普段から発行される株式(普通株式)とは異なる性質を有した株式です。剰余金を優先的に配当する株式、議決権を制限する株式などがあります。

活用方法としては、取締役や監査役が選任できる議決権が付いた株式や、配当を優先する株式にする代わりに割高の株価を発行する、などがあげられます。また高額配当と議決権制限など、それぞれの権利を組み合わせて発行することもあります。

・ストック・オプションの付与

ストック・オプションとは、役員や従業員などに対し、事前に決められた価額(権利行使価額)で将来株式を購入できる権利のことです。権利が付与された人は、権利行使価額と権利行使時点での株価の差額を、インセンティブとして受け取ることができます。

企業側としても、社員のモチベーションを上げられる以外に、現時点での現金流出を抑えつつ優秀な人材を獲得できるなどのメリットがあります。ただ、付与する相手を選ぶ基準に説得力がないと、かえって不満が噴出する可能性があるので、設計は慎重に行わなければいけません。

・従業員持株制度の導入

従業員持株制度とは、従業員が株式を取得もしくは保有する際に、特別な待遇をすることです。従業員の福利厚生が手厚くなることで、従業員のモラールアップ、必要な人材の確保などが期待できます。ただし業績が振るわず、待遇措置がままならなくなると、不信感や不満が募る面もあります。

③必要な数値はどのくらいか

資本政策は具体性が鍵を握ります。相手と方法を定めたら、必要な数値を算出しましょう。

(例)
「設備導入資金として、○○百万円必要。投資家に第三者割当増資を実施する場合、いくらの株をいくつ発行すべきか」
「社員に○○万円くらいのキャピタルゲインを上げたい。ストック・オプションの権利行使価額はいくらにすべきか」

このとき重要なのが、①で考えた相手の利害を考えて調整することです(投資家には高い株価は好まれないから、発行する株式数をもう少し考えよう、など)。場合によっては方法を変え、お互いにとって良い数値を探るようにしてください。

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④株式市場の上場基準を把握しているか

スタートアップ企業にとって、株式市場の上場基準はひとつの大きな目標値です。下記にリンクをご用意しておきます。

⑤持株比率はどう変動するか

③で算出した数値や④で把握した数値をExcelなどに落とし込み、持株比率の変動をチェックするのを忘れないようにしてください。持株比率が下がりすぎるのであれば、手段と数値の算出を行って修正をしましょう。

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3.スタートアップ企業にありがちな資本政策の失敗例とその対策


最後に、スタートアップ企業にありがちな資本政策の失敗例と、その対策をご紹介します。

①人間関係に関わる失敗

第一の失敗パターンは、人間関係にまつわるものです。「投資家の勢いに負けて、株式を与えすぎてしまった」「コンサルタントに高額な料金が求められ、代わりに株式を必要以上に渡してしまった」などがあります。

対策としては、投資家やコンサルタントと対等な立場で取引することが、ひとつあげられるでしょう。そのためには、目先の誘惑に負けないように資本政策を作り込み、必要な株式数や取りたい手段を明確にしておくことが重要と言えます。

②株価に関わる失敗

第二のパターンは、株価にまつわるものです。「低く評価してしまったために思わぬ課税を受けた」、あるいは逆に「高く評価しすぎて追加出資を受けることができなくなった」などがあります。

これは、正しく株価を算定できていなかったことが原因です。不安な場合は、公認会計士や税理士などに依頼するか、専門の計算ツールを使いましょう。KnowHowsにも、無料の計算ツールがありますので、手段のひとつとしていただければ幸いです。

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③株式上場時の失敗

第三のパターンは、株式上場時にまつわるものです。「上場基準を満たしていなかった」「公開時の株価が思った以上に低かった」などがあります。ゴールから資本政策を立てなかったことが原因のひとつなので、作成時に留意しておいてください。

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まとめ

  • 資本政策とは、スタートアップ企業がIPO(株式上場)を目指すときに必要不可欠となる資金調達計画。必要となるシーンは、事業準備、事業立ち上げ、事業拡大、IPO準備の4つある。
  • 資本政策を立てるときに気をつけたいことは主に5つ。特に必要な数値を求めるときは、双方にとって良い落とし所を見つけるのが重要となる。
  • 資本政策を立てる際は、失敗パターンを見て学ぶことも大切。
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おわりに

資本政策は、一度始めてしまうと戻ることはできません。
こちらの記事で紹介したポイントを参考に、問題点がないかシミュレーションを繰り返すようにしてください。

KnowHowsでは、こうした資本政策の結果を予測できる「資本政策シミュレーター」をご用意しています。
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KnowHows 編集部

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