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この記事でわかること

  • 資本政策表を作るときに、最初に考えるべきこと
  • 基本的な資本政策表の作り方
  • 目標実現のために行っておきたい資本政策表の評価の仕方
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はじめに

資本政策は、株式公開やM&A(買収)に必要な成長のために、資金調達の方法などを具体的に定めた計画です。それを作成するには、どの時点で株式をいくつ発行するのか、経営者の持株比率はどう変化するのかなど、決めるべき項目やチェックすべき数字が多くあります。

そのため、実務においては、一元管理できるように表を用いるのが有効です。具体的な作成方法を3つの手順に分けてご紹介しますので、一緒に見ていきましょう。

またKnowHowsでは、株主構成比率の把握や、株式の移転にともなう議決権の変動などを無料でシミュレートできる資本政策シミュレータ」もご用意しています。

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1.資本政策表に必要な3要素を確認


資本政策表を作成するためには、「誰に」「いつ」「どんな方法を取るのか」を明確に決めておく必要があります。それらが、表を構成する項目のベースとなっているからです。

この章では、その3つの要素を固める手順をご紹介します。

①明確なゴール設定

まずは資本政策のゴールを明確に設定してください。たとえば株式公開を目指しているのなら、JPX(日本取引所グループ)が定めている数値となります。それぞれの市場のリンクは、こちら(一部・二部マザーズJASDAQ)です。

②財務数値を予測する

次に企業の財務数値の予測を行います。過去の実績や類似上場企業の財務数値を参考にしながら、予想損益計算書、予測貸借対照表、予想キャッシュフロー計算書を作成しましょう。

③誰に、いつ、どんな方法を取るのか

予測した財務数値と目標値を比較すれば、現状と目標のギャップが把握できます。「誰に」「いつ」「どんな方法を取るのか」は、その差を埋めるための要素です。もう少し具体的に説明します。

・「誰に」について

「誰に」は、資本政策に関わる相手のことです。投資家、ベンチャーキャピタル、取引先、役員、従業員などがあげられます。

・「いつ」について

「いつ」は、資本政策における具体的な方法を取るタイミングです。資金調達であれば、ベンチャーキャピタルがよく用いる投資ラウンドが目安になります。

投資ラウンド段階の詳細と資金調達する際のポイント
シード起業前の段階を言う。この時期に資金調達をする場合は、明確な構想と事業計画を練る必要がある。この時点で投資してくれるのは、知人やエンジェル投資家が一般的
アーリー起業直後の段階を言う。この時期に資金調達をする場合は、商品やサービスが、今後どの程度利益を得るのかを見せることがあげられる。このあたりから、少しずつベンチャーキャピタルが投資してくれる可能性が出てくる
シリーズA起動に乗る前後の段階。コストが増えて調達する金額が増えていることが大半なため、資金調達する際には資金使途を明確に説明できるようにすることが重要
シリーズB十分な市場を確保できた段階。この時期になると、優秀な人材を確保したり広告を打つなど、先を見据えた戦略が求められてくる。必要な資金調達額の事前計算も、それに合わせて行う
シリーズCIPOやM&Aを目指す段階。目標実現のためにかかるコストと、達成後に必要な資金を見据えて調達を実施する

・「どんな方法を取るのか」について

「どんな方法を取るのか」は、資本政策における具体的な方法の選択です。以下、代表的な方法となります。

資本政策の主な例
第三者増資割当、株式増資割当などの増資
株式譲渡、株式分割、株式交換の実施
剰余金の配当、残余財産の分配などの権利が付いた種類株式の発行
デット・エクイティ・スワップの実施
ストックオプションの付与
財産保全会社の設立
従業員持株制度の導入

・3つの要素を組み合わせて、具体的な方法をリストアップする

以下のように、パズル形式で作るとスムーズです。

誰にいつどんな方法を取るのか
投資家にアーリー期に株主割当増資を行う
ベンチャーキャピタルにシリーズA期に第三者割当増資を行う
従業員に○○月にストックオプションを付与する
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2.資本政策表を作成する


目標実現のための具体的な方法が固まったら、資本政策表を作成します。ソフトはExcelを使うのが一般的です。

①資本政策表に項目の並べる

まずは数字を入れずに、以下の項目を入力しましょう。

項目補足
資金調達時期第1章で紹介したシードステージやアーリーステージなどを参考に、年月日を入れる。横並びに入れるとわかりやすくなる
資金調達手段資金調達時期に合わせて入力
資金調達の相手表の一番左に縦に並べて入力。経営者、投資家、ベンチャーキャピタルなど

②資本政策表に数値を入れる

次に必要な数値を入力します。

数値補足
ゴールの目標値一番右端に入力。株式公開であれば、株主数、流通株式数、時価総額など
必要な資金調達額各資金調達時期ごとに入力
株価各資金調達時期ごとに入力
資金調達相手の持株数各資金調達時期ごとに入力
資金調達相手の持株比率各資金調達時期ごとに、計算式「=資金調達相手の持株数/資金調達相手の持株比率」を入力
発行済株式数各資金調達時期ごとに、起業時の株式数とそれまでの発行済株式数の合計を入力
時価総額各資金調達時期ごとに、計算式「=株価×発行済株式数」を入力
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3.資本政策表を運用する


資本政策表は、ただ作成をして終わりではありません。最後に、資本政策の実現に繋げるための運用方法をご紹介します。

①調整を行う

資本政策表で、最も注目すべきポイントのひとつが経営者の持株比率です。もしこの数値が下がりすぎているようなら、増資時に発行する株式数を見直すなどして調整してください。

持株比率はその会社をコントロールする力の強さを表す指標であり、持株比率が低いと、投資家やベンチャーキャピタルの影響力を強く受けるためです。50%を下回る場合、経営者を解任されてしまう可能性もあります。

②資金調達相手や第三者の意見を取り入れる

持株比率やその他の数字を調整するときには、資金調達相手や第三者の意見を取り入れるのもひとつです。

たとえば持株比率は、株価を上げて必要な発行株式数が減らすことで、下降を抑制することができます。しかし割高な株価は、多くの投資家やベンチャーキャピタルにとって、あまり好ましいものではありません。引き受けた株価と、株式公開などで上昇した株価の差額が、彼らの収益となるからです。

そのため数字を調整する際には、お互いの妥協点を探ることが必要であり、それには相手の意見を取り入れるのが有効な方法となります。冷静な意見を取り入れる意味では、別の投資家や専門家などに頼るのも手です。

③別のパターンを作る

なかなか妥協点が見つからない場合は、資金の調達方法や資金調達相手を見直し、別なパターンを作るのも視野に入れましょう。すべてを出資ではなく、金融機関等からの融資や社債の発行などで補えないかなども検討してみてください。

④KnowHowsの資本政策ツール

KnowHowsでは、資本政策の作成がスムーズにできるツールをご用意しています。持株比率や数字のズレをアラートしてくれる機能など搭載しているので、リスクを未然に防ぐことも可能です。無料で利用できますので、ご検討ください。

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まとめ

  • 資本政策表を作成するときは、まず「誰に」「いつ」「どんな方法を取るのか」を考えよう。
  • 資本政策表はExcelを使うのが一般的。項目を入れてから数字を入れると作りやすい。
  • 資本政策表を作成したら、持株比率をチェックして調整を行う。その際は、資金調達の相手や第三者の意見を仰ぐのも◎。
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おわりに

資本政策表は、資本政策の実現をサポートするツールにしか過ぎません。

もし作成が面倒だったり、正確なものが作れるか不安な場合は、KnowHowsの「資本政策シミュレータ」もぜひ、ご活用ください。
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