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資本政策とは、株式によって集める資本と、資本の提供者である株主の構成を計画・検討することを言います。
株式会社は会社の株式を発行し、株主から資金を得ることができます。
そのかわり、株主は株主総会などで会社の経営に参加することが可能となります。
そのため、株主が多くなればなるほど、会社運営の意思決定は難しくなっていきます。
また、大量の株式を持つ株主が現れた場合、経営のコントロールを失う場合もあります。
そのため、「調達資金」と「経営の裁量権」の両者のバランスを取ることが、資本政策のポイントと言えるでしょう。
この記事では、資本政策の基本的な考え方や実行までの流れ、達成するためのポイントなどをご紹介しています。
また、KnowHowsでは、オンライン上で資本政策のシミュレーションを行える、「資本政策シミュレータ」をご用意しています。必要な項目を入力するだけで結果の予測を確認することができます。本記事とあわせてぜひお役立てください。
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まずは、資本政策の基本的な考え方を解説します。
資本政策の意義は、IPOやM&Aまでのプロセスを具体的にし、企業が確実にステップアップすることにあります。具体的な目的としては、以下があげられるでしょう。
資本政策の目的のうち、特に重要とされているのが「持株比率を維持しながら株式等を用いて資金調達をする」ことです。
イメージを掴むために、例をご用意しました。次のような状況が前提です。
このとき、10,000円のプロジェクターを買わなければいけなくなったとします。それがないとプレゼンができず、会社は成長することができません。ですがAさんの手元のお金は0円で、会社も売上がそこまで出ていなく余裕がない状態です。そこで、Aさんは投票券を新たに発行し、1枚500円×20枚でBさんに買ってもらうように依頼します。
このBさんは、投票のときは絶対に自分のところにしか入れないと言っていました。しかし20枚であれば、社長存続には影響が及びません。Aさんは「それでもいい」と言い、投票券を販売します。
このとき、全体の投票券の数120枚であり、その内訳は
となっています。
無事にプロジェクターを購入できたのも束の間。続けざまに、今度は50,000円のコピー機が必要になりました。Aさんは今だにお金がありません。今度は1枚500円の投票券をBさんに20枚、Cさんに30枚、Dさんに50枚買ってもらうことにしました。
このときの全体の投票券数は220枚で、その内訳は以下のようになります。
コピー機の購入も終わり、投票時期がやってきます。Aさんは結果を見て愕然としました。Bさんは全部自分に入れたのですが、なんとCさんとDさんも自分の投票券をすべてBさんに入れていたのです。結果Aさんは100票、Bさんは120票となり、Aさんは社長を続けることができなくなってしまいました。
まず大前提として、投票券の枚数を減らし、全体の投票券数に対するAさんの投票券数の割合を半分以上に保つことです。1回目の販売では、Aさんの投票券数の割合は83%以上でした。ところが2回目では45%程度にまで下がってしまっています。
その上で第一に考えられるのは、プロジェクターやコピー機の購入に必要な金額は変わらないとすれば、投票券の金額を上げることです。例えば投票券の金額を2,000円にすれば、必要な枚数は25枚で済みます。Bさんたち3人に割り振っても、Aさんの投票券数の割合は約69%となり、仮に全員がBさんに投票してもAさんは社長を続けられます。
しかしそうなると、Bさんたち3人が購入することを渋る可能性も出てきます。そのとき第二に考えられるのは、この3人以外の人に投票券を販売することです。例えば購入者がAさんに必ず投票すると約束してくれる人であれば、投票券の枚数を減らさずとも(投票券の金額を無理に上げなくても)社長を続けられるかもしれません。
第三に考えられるのは、プロジェクターやコピー機の購入時期を再検討し、資金調達の必要な時期を遅らせることです。その期間中に、Aさんの手元資金や企業の売上でまかなえる可能性も出てきます。
第四に考えられるのは、特別な投票券を発行することです。例えばDさんに「この投票券を買ってくれた分だけ、利益からお金を出すよ。だから1枚2,000円で購入してくれないかな」と依頼します。こうすれば、ただ株価を吊り上げたときよりも、Dさんが応じてくれる可能性が高くなるでしょう。
以上は例えでしたが、投票券を株式に、投票券数の割合を持株比率に置き換えることが可能です。
従って、「持株比率を維持しながら株式等を用いて資金調達をする」ためには、誰にどんな株式をいくら与えるのか、それをいつ実行するのか、などを決める必要があります。この計画こそが資本政策です。なお、この立案の仕方は、資金調達の場面だけでなく他の目的においても基本的には同じです。
次に、資本政策を実行するまでの主な流れをご紹介します。
上述した「誰にどんな株式をいくら与えるのか、それをいつ実行するのか」をベースに、目的達成のための具体的な数値や手段を決定します。
過去のデータや類似上場企業の財務数値から、発行済株式数やEPS(1株あたりの当期純利益)などを算出します。また、合わせて申請する株式市場の受付基準も調査しましょう。必要な数値が揃ったら、エクセルやGoogleのスプレッドシートなどに入力します。
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事前に決めておいた目的達成のための手段や目標値も、エクセルやGoogleのスプレッドシートなどに入力します。それによって社長の持株比率がどのように変動するのか、見てみてください。もし著しく低下しているようであれば、資本政策の練り直しが必要です。
何度かシミュレートを繰り返し、懸念点がないようだったら実行に移します。資本政策は、一度スタートさせてしまうと後戻りできませんが、状況に応じて見直すことも重要です。
資本政策達成のために用いられる手段には、次のようなものがあります。
手段 | 概要 |
---|---|
第三者割当増資の実施 | 第三者に新株を発行。資本政策の資金調達手段としてよく用いられる |
ストック・オプションの導入 | 役員や従業員などに対して、あらかじめ決められた価格で株式が購入できる権利を付与 |
種類株式の発行 | 普通株式とは異なる内容を持つ株式を発行 |
従業員持株会の設置 | 株式を取得または保有している従業員に対して、特別な計らいを行う制度の導入 |
従業員や取引先、ベンチャーキャピタルなどに新株を割り当てることです。今回の例で言えば、資金調達のためにチケットを販売した行為がそれにあたります。
将来において、事前に決められた価格で株式を購入できる権利を、役員や従業員などに付与します。これは、役員や従業員などのモチベーションを上げるために、よく利用される方法です。
例えばあらかじめ決められた価格が500円で、株式公開時に株価が2,000円となった場合、役員や従業員は権利を行使することで、500円で2,000円の株式を購入することが可能になります。その後、購入した株式を売却すれば、1,500円のキャピタルゲインを得られるからです。
種類株式には、配当の優先権や残余財産の分配の優先権が付いたものなどがあります。権利の内容に経済価値があれば、普通株式より高い株価で購入してもらうことも可能です。先程の例で、AさんがDさんに特別な投票券を発行するのが、これにあたります。
従業員持株会を設置すると、奨励金などで従業員の財産形成の一助ができ、従業員のモチベーションを促せます。また、株式の社外流出防止や相続税対策などができるのもメリットです。
最後に、資本政策をうまく実施するための、主なポイント5つをご紹介します。
資本政策では、ステークホルダーの相反する考えが前提としてあります(例:株式を高く買ってもらいたい社長と、安く売ってもらいたいベンチャーキャピタルなど)。従って、達成のためには、各ステークホルダーの立場になり、どういった利害があるのか常に考えるのが重要です。
株価を設定する際は、直接売買に関わる者同士はもちろん、既存の株主などにも配慮した価額にする必要があります。DCF法や純資産法など複数の計算方法を用いて、客観性のある株価を算定しましょう。KnowHowsで、無料の株価算定ツールもご用意しています。
未上場企業が第三者割当増資や株主割当増資など増資を行うとき、次のケースに当てはまる場合は、金融商品取引法で定められた書類を提出しなければいけません。
ケース | 提出書類 |
---|---|
発行価額の総額が1億円以上、かつ勧誘人数50名以上である | 有価証券届出書 |
発行価額の総額が1億円未満、かつ勧誘人数50名以上である | 有価証券報告書 |
募集等開始1年前に同様の募集を行い、発行価額の合計額が1億円以上である | 有価証券届出書 |
募集等開始6ヶ月以内に同様の募集を行い、その合計人数が50名以上、発行価額の合計額が1億円以上(一部を除く) | 有価証券届出書 |
JPX(日本取引所グループ)のウェブサイトに公開されています。必ずクリアしなければならない基準のため、把握するようにしましょう。
資本政策では、第2章で見てきたように、シミュレーションを複数回行って検証するのが大切です。KnowHowsには、それを専門家に頼ることなくできる「資本政策シミュレータ」がありますので、ぜひご活用ください。
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資本政策は、資金調達をしつつステークホルダーとの関係性を良好にしていくなど、考えなければいけない要素が多岐に渡ります。
ただ数字だけを追うだけでなく、こうした要素にも気を配ることも同時に意識していきましょう。
まずは簡易的に持株比率の変動を把握したい……と言う場合は、KnowHowsの「資本政策シミュレータ」もぜひ、ご活用ください。
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