上場準備のスケジュール│経営層なら把握しておきたい大まかな流れ
上場申請年度のスケジュール
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Index
この記事でわかること
- 株式上場申請期におけるスケジュール
- 3か月ごとに区分けした各スケジュールごとに実施すべきこと
はじめに
3年以上の長期にわたる上場準備期間を経て申請年度となり、ようやく上場申請を行うことができます。これまでの準備が引取審査と上場審査で調査され、晴れて上場を迎えられるかどうかがここでわかります。
本記事では申請年度のスケジュールと重要なポイントについて解説します。なお、わかりやすく説明するために、申請期は4月から開始とし、3ヶ月ごとのスケジュールをまとめていきます。
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1.4〜6月のスケジュール
4〜6月で重要なのは、主幹事証券会社による引受審査と、株主総会の開催です。
①主幹事証券会社の引受審査
証券取引所へ上場申請を申し込む前に、主幹事証券会社の引受審査を受ける必要があります。一般的に上場申請を行う3〜6ヶ月前から行われるケースが多いです。引受審査は、日本証券業協会の「有価証券引受などに関する規程」にのっとり、上場会社としての適格性を審査します。
企業の成長性や内部統制、コンプライアンスを重視した審査となります。財務状態や業績の見通し、企業内容等の開示内容も審査対象です。
上場申請会社が適切な企業であることを調査した推薦書を証券会社が証券取引所へ提出することで、上場申請を行うことができます。
②株主総会の開催
上場後の株主総会を想定して、リハーサルを行いましょう。コンプライアンス確保をアピールすることもできます。また、信託銀行などからアドバイスをもらうチャンスです。
③定款の変更
上場申請を行う前に、定款変更が必要かどうか検討しましょう。株式の譲渡制限がないこと、上場時まで制限を行わないことが必須条件です。
株主名簿管理人を設置することを定款に記載することも必要です。上場申請日までに、株式事務代行機関への委託を済ませましょう。
加えて、公告の方法も変更が必要です。全国の一般日刊紙(読売新聞や日本経済新聞など)もしくは電子公告が対象です。公告の変更には莫大なコストがかかるため、タイミングを見極めましょう。上場申請の中止や遅れも考えられるため、申請直前の変更が望ましいです。
2.7〜9月のスケジュール
スムーズにいけば、7月に上場申請を行い、証券取引所による上場審査がスタートします。上場審査に設けられているのは、「形式要件」と「実質審査基準」という2つの基準です。
形式要件は、上場までに満たさなければならない数値基準です。株主数や時価総額、純資産額など、明確な基準が定められています。
それに反して実質審査基準とは、上場会社としての適格性や安定性、収益性などを調査します。書類審査に留まらず、実地調査にてヒアリングなどが行われます。
①上場申請、上場審査
主幹事証券会社による引受審査が通過し、証券取引所へ推薦書が提出されれば、上場申請の完了です。直前期に関する株式総会が執り行われた後に、上場申請を行うことが原則とされています。上場のために必要な書類のほとんどは、申請時に提出が必要です。
証券取引所の審査担当者は、書類をもとに審査基準と照らし合わせ、適合性を判断します。疑問点や確認が必要な部分に関して、質問事項が掲示されます。申請企業は質問事項に対する回答書を作成し、その内容に基づいてヒアリングが行われるので、確認や調査が必要です。この流れは数回繰り返されます。
また、必要に応じて、申請会社の本社、工場や事業所にて実施調査が行われます。事業内容の把握、会計手続きにまつわる書類の確認、業務フローの確認、上場準備メンバー以外の部門責任者へのヒアリングなどが主な調査内容です。ほとんどの場合、実地調査は1日で終了します。
監査を担当して行っている公認会計士へのヒアリングも行われます。会計組織の運用状況、会計処理手続きや監査時の指摘項目などを主に調査されます。
加えて、社長面談、監査役面談も欠かせません。社長面談では経営方針や、情報の開示体制、IR、内部情報の管理体制についてヒアリングされます。監査役面談は、常勤監査役に監査の状況や、想定される課題などをヒアリングし、監査役監査の実効性を確認します。
上場審査は3ヶ月前後の期間を要します。担当者が最も疲労を感じやすい時期です。上場準備の最後の山場といえます。
②財務局への相談
上場承認時には、財務局へ有価証券届出書を提出しなければなりません。提出にあたり、財務局へ相談へ行くことが求められています。社長・監査役面談が執り行われたタイミングで行くとよいでしょう。
上場承認後の公募スケジュールを提出し、財務局が指定する書類提出が必要です。提出書類は財務局によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
3.10月〜12月のスケジュール
取引審査、上場審査が無事に終了すれば、上場が承認されます。報道機関へ上場予定日などが公表となった後、公募価格の指標となるブックビルディングを行いましょう。ブックビルディングでは、投資家の需要と市場の状況を考慮して、主幹事証券会社と発行会社が公募価格を決定します。
また、一般投資家に向けて上場説明会の開催も行います。
①上場承認
7月から行われていた上場審査は、社長面談後に終了となります。上場の可否について最終的な判断が下され、証券取引所で社内決裁手続きが行われます。
証券取引所での社内決裁手続が終われば、上場承認となります。報道機関へ公表されるのは上場会社名、事業内容、上場予定日などです。また、財務局へ有価証券届出書を提出しましょう。
公募または売出を行う場合は約1ヶ月後に上場となります。
②目論見書の配布
証券会社にて目論見書が配布されます。目論見書の内容を参考に、ブックビルディングへの参加を検討する一般投資家がほとんどです。ブックビルディングでは投資家に仮公募価格を提示し、いくらで株式を購入するかを回答してもらいます。このデータをもとに、最終的な公募価格を決めましょう。
③上場
上場日には、証券取引所にて上場セレモニーが執り行われます。自社で盛大な記念パーティーを開催する会社も少なくありません。
おわりに
申請期のスケジュールは、一見余裕があるように見えます。しかし、引受審査や上場審査など長期的に審査が行われるため、実際は上場前の最も慌ただしい期間です。上場時には、2〜3年を費やした準備が報われることでしょう。
しかし、上場はゴールではありません。上場後は、上場会社としてふさわしい姿勢を保つ必要があります。社会的信用や知名度が上がりやすくなりますが、同様に不正行為や財務、会計上の不備があった場合、大きく取り上げられやすくもなります。
取引会社や投資家からの信用を急落させるため、日頃から内部管理体制のさらなる強化や業務フローの把握が必要です。
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