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この記事でわかること

  • 決議事項の定義
  • 決議に関わる定足数と決議要件について
  • 普通決議・特別決議・特殊決議・取締役会の決議の詳細
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はじめに

決議事項とは、株主総会や取締役会で決められる事項を主に言います。剰余金や株式の取り扱い、役員の選任・解任など、その内容は多様です。

この記事では、決議事項の定義を行った上で、どのようなものがあるのかについて詳しくご紹介しています。会社運営の基礎知識を深める術としてください。

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1.決議事項とは

この章では、決議事項の定義と合わせて、決議の種類やその流れなどについて解説します。

①決議事項の定義

決議事項は、株主総会や取締役会における議案です。株主総会であれば、これに対して当該会社の株主が賛成 or 否認の意思決定を下します。取締役会の場合は、選任された取締役が意思決定を下し、経営方針を固めたり、株主総会の開催などを決定するのが一般的です。

決議事項では、次の3つのポイントを抑えておくといいでしょう。

  • 決議事項は、定足数と決議要件を満たしたときに決まる
  • 決議事項を決めることを決議と言う
  • 株主総会の決議には数種類あり、それぞれで決議事項の内容、定足数、決議要件が異なる

②定足数と決議要件

定足数とは、一般的には、ある議案の賛成・否認を行うときに必要とされる最低出席人数のことを指します。

たとえば、ある会議を開催した際、参加できる人数が全体で1,000人いるはずなのに、50人くらい出席していないことがあったとしましょう。もし、そこで定足数を設けていなかったとしたら、どうなるでしょうか。その場合、会議は何ら問題ないとして開かれることとなり、残り950人の意見を無視して議案を決めることができてしまいます。こうした不当な行為を防ぐのが、定足数の役割です。

一方、決議要件とは、決議を賛成するか否認するか判断するときの条件を言います。

・株主総会は議決権の数がベースとなる

ここで注意していただきたいのが、株主総会の決議の場合、定足数および決議要件が株主が保有する議決権(株主総会における投票券)の数がベースとなっていることです。

そのため極端な例にはなりますが、たったひとりの人が出席し、その人が賛成と言った場合でも議案が成立することがあり得えます。

なぜそのような現象が起きるのかと言うと、議決権が株式1株あたりに1つ与えられる権利であり、ひとりの人が議決権を複数保有できるからです。たとえば300株保有している人は、300の議決権を持っていることになります。そうなった場合、10株ずつ持っている20人よりも、議案の決定権を強く持っていることになるのです。

詳しくは第2章で解説しますが、選挙や学校でのクラス投票のように、人数で決まるわけではないことに留意しましょう。

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2.各決議事項の詳細

決議事項が決められる決議には、普通決議・特別決議・特殊決議の3種類があります。それぞれの決議で決められる決議事項や、定足数、決議要件が異なるのですが、どう違うのか把握しておくと実務もスムーズになるでしょう。この章では、それと一緒に取締役会の決議についても、詳しくご紹介します。

なお、解説するにあたって、具体的にイメージしやすいように次の例をご用意しました。こちらと照らし合わせながらお読みいただくといいでしょう。

X社の株主それぞれの持株数(議決権数)
Aさん(経営者)1,000株(1,000)
Bさん300株(300)
Cさん300株(300)
Dさん100株(100)
Eさん100株(100)

①普通決議

普通決議とは、原則的と呼ばれる株主総会の決議です。

・決議事項詳細

普通決議の決議事項には、以下のものがあげられます。

決議事項詳細
経営権の取得
剰余金の配当
各種計算書類の承認
取締役・監査役の選任・解任
取締役・監査役の報酬額決定

・定足数と決議要件

普通決議の定足数は、原則として議決権を持っている株主のうち、全体の議決権数の1/2超を持っている株主の出席です。決議要件は、出席している株主の議決権数の1/2超となっています。

では、上記X社の場合を見てみましょう。ここでは経営者であるAさんが、会社運営のためにある普通決議を通したいと考えていたとします。

普通決議の開催は、Aさんひとりが出席さえすれば定足数が満たされる(全体の議決権数1,800に対し、Aさんの議決権数が1/2超のため)ので問題ありません。また、Aさんひとりで決議要件も満たしているので、仮にBさん・Cさん・Dさん・EさんがNoと言っても議案を通すことが可能です。

②特別決議

特別決議とは、普通決議よりも会社運営のより深いところに関わる部分の決議です。

・決議事項詳細

代表的な決議事項をご紹介しましょう。

決議事項詳細
定款の変更
増資、事業譲渡、株式交換などの承認
自己株式の取得
相続人への株式売渡請求
会社の解散・合併

・定足数と決議要件

特別決議における定足数は、普通決議と同じく議決権を持っている株主のうち、全体の議決権数の1/2超を持っている株主の出席が原則です。一方、決議要件は、基本的には出席している株主の議決権数の2/3以上と定められています。

さて、このときのX社はどうなるでしょうか。同様に、Aさんが特別決議を通したい場合を考えてみます。

定足数に関しては、普通決議と同じなので、Aさんさえ出席すればクリアです。しかし決議要件は、Aさんだけでは満たすことができません。Aさん以外にBさん(or Cさん)、もしくはDさん・Eさんの両名からの賛成を得ることが最低条件となります。

③特殊決議

特殊決議は、特別決議よりも、さらに重要な決議事項を扱う株主総会の決議です。

・決議事項詳細

以下のものがあります。

決議事項詳細
発行した株式すべてに譲渡制限をかけるための定款変更
吸収合併契約承認(吸収合併時に消滅する公開会社の株主に対して、譲渡制限株式を発行しているとき)
株式交換契約承認(株式交換完全子会社が公開会社の株主に対して、譲渡制限株式を発行しているとき)

・定足数と決議要件

特殊決議には、定足数の定めはありません。しかし、決議要件は、議決権を持っている株主の1/2以上の頭数、出席している株主の議決権数の2/3以上となっています。

従ってX社のAさんが特殊決議を通す場合、まずAさん以外に誰か2名以上、株主総会に出席する必要があります。その上で、Bさん(or Cさん)、もしくはDさん・Eさんの両名からの賛成を得なければいけません。

④取締役会の決議

会社には、株主総会とは別に取締役会があります。こちらは株主総会と異なり、日々の業務に関する議案を中心に行われる会議です。株主総会の決議と同様、扱える決議が決まっているので、合わせてご紹介します。

・取締役会決議詳細

以下、代表的なものです。

取締役会決議詳細
株式の分割
譲渡制限株式の譲渡
社債の金額や募集に関する事項
代表取締役の選任・解任
支配人及び使用人の選任・解任

なお、これらの決議事項については、株主総会で扱うことも可能となっています。

・定足数と決議要件

取締役会の定足数は、議決に参加できる取締役の1/2超の出席です。他方、決議要件については出席している取締役の1/2超となっています。

X社の場合を考えてみましょう。前提として、Aさん・Bさん・Cさんが取締役であるとします(そもそも取締役会を設置する会社は、取締役が3人以上必要なため)。このとき、取締役会を開くには、最低でもBさん(or Cさん)の出席が不可欠です。そしてもし、Aさんが決議事項を通したいと考えているなら、Bさん(or Cさん)の賛成も必須となります。

ただし、ひとつ留意点があります。それは、特別利害関係を有する取締役(競業取引の承認や利益相反取引の承認における取締役など)は、定足数にカウントしてはいけないことです。そのため、Aさんが特別利害関係を有する取締役に該当する場合は、BさんとCさん両名に出席、賛成をしてもらわなければいけません。

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まとめ

  • 決議事項は、株主総会や取締役会で取り扱われる事項。それを決めることを決議と言う。
  • 決議事項は、定足数と決議要件を満たしたときに決まる。株主総会の決議では、株主が保有する議決権の数がベースになっているので注意。
  • 株主総会の決議には普通決議・特別決議・特殊決議の3種類があり、それぞれの決議で決められる決議事項や、定足数、決議要件は異なる。
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おわりに

決議事項は、定足数や決議要件と一緒に覚えておくのがベストです。

各決議の注意点や議決権の考え方は、「経営のお悩みを解決するプラットフォーム」KnowHowsの他記事でも紹介しているので、合わせて参考にしてみてください。

また、もし本記事で解説した内容についてお悩みの場合は、冒頭でご紹介したKnowHowsの「みんなで事業相談」の利用もおすすめします。

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