株主にはどんな権利がある?株式比率ごとにできることを一覧で解説
株主の持株比率と議決権の関係性は?株式の権利を網羅しながら解説
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この記事でわかること
- 議決権と持株比率の定義と関係性
- 株主が行使できる権利一覧
- 持株比率を注意すべき2つのシーン
はじめに
議決権とは、株主総会で投票を行うことができる権利のことで、株主の持つ権利のひとつです。
また株主がある企業の発行済株式数のうち何割を持っているかという割合は持株比率と呼ばれます。
持株比率が高い株主ほど議決権の数も多く、会社に及ぼす影響は大きくなるため、資本業務提携やM&A契約においてこの持株比率を十分に検討する必要があります。
この記事では、議決権をはじめ、株主の諸権利などについて解説していきます。
またKnowHowsでは、株主構成比率の把握や、株式の移転にともなう議決権の変動などを無料でシミュレートできる「資本政策シミュレータ」もご用意しています。
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1.株主のもつ「議決権」とは?
この章では、まず株主の議決権と持株比率、それぞれを詳しく解説します。その上で双方がどのような関係性を持っているのか、ご紹介していきましょう。
①議決権とは
議決権とは、株主総会に参加し、経営に関する決定について賛成・反対の投票ができる権利のことを言います。
原則として1株に1つの議決権が定められているため、1つでも企業の株式を持っていれば、株主総会で1票を投じることが可能です。
②例外:議決権を持たない株式
ただし、以下のような株式は議決権を持っていません。
・自己株式
自己株式は、発行している企業が保有している株式のことです。敵対的買収を抑制できる、株価の上昇が狙えるなどのメリットがあり、企業がしばしば株主(未上場企業の場合は主に特定の株主)から取得します。
・単元未満株
単元未満株とは、単元株に満たない株式のことです。単元株とは、株式の売買時に決められる最低単位を言い、原則100株と定められています。従って、99株以下の場合には基本的に議決権はありません。
・議決権制限株式
議決権制限株式は、議決権が制限されている株式のことです。種類株式のひとつとされています。発行時は、配当金を多めに支払ったり、企業の解散時に優先的に財産を分配する権利を一緒に付与するのが一般的です。
またこれらとは逆に、株式1つにつき2つ以上の議決権を定めたものもあり、これを多議決権株式、複数議決権株式などと呼びます。
2.「持株比率」とは?
持株比率とは、企業が発行している株式総数のうち、どのくらいの割合を持っているかの比率です。
A社が1000株を発行し、そのうち200株を株主Bが持っている場合、Bさんの持株比率は200÷1000×100=20%ということになります。
①持株比率と議決権の関係性
A社が1株につき1つの議決権を定めていた場合、Bさんは株主総会の投票権の20%を一人で持っていることを意味します。
たとえば、全議決権数の51%以上の賛同が必要な決議があった場合、Bさん一人が賛成票を投じるだけで、可決に必要な賛同数のおよそ半分が得られる形となります。
株主の持株比率(厳密には議決権比率)は、企業への影響力に直結しているのです。
②株主総会の決議の種類
株主総会の決議には、普通決議・特別決議・特殊決議の3種類があります。
・普通決議
普通決議とは、企業の運営に関わることのうち、基本的な部分を実行するための決議です。たとえば、取締役や監査役の選任・解任、剰余金の決定などがあります。
普通決議を可決するための基本条件は、次のとおりです。
- 全議決権数のうち、過半数の議決権数を有する株主が、当該の株主総会に出席していること
- 当該の株主総会に出席した株主が保有している合計議決権数のうち、過半数が賛成していること
・特別決議
普通決議よりも重要な意思決定を行うときにする決議を言います。たとえば、定款の変更や増資・株式交換などの実行などです。
可決するための基本条件は、以下のように定められています。
- 全議決権数のうち、過半数の議決権数を有する株主が、当該の株主総会に出席していること
- 当該の株主総会に出席した株主が保有している合計議決権数のうち、2/3以上(66.7%以上)が賛成していること
・特殊決議
特別決議よりも重要な決議のことです。発行株式全部に譲渡制限をかけるための定款変更、吸収合併や新設合併の承認などがあります。
可決の基本条件は、以下のとおりです。
- 議決権を行使できる株主の半数以上が賛成していること
- 議決権を行使できる株主が保有している合計議決権数のうち、2/3以上(66.7%以上)が賛成していること
そのほかの例として、株式非公開会社が、株主ごとに配当や残余財産配分などの権利内容を定めるための定款変更を行う場合、
全株主の半数以上、かつ全株主が保有している議決権数のうち3/4以上(75%以上)の賛成を得る必要があります。
3.議決権以外の株主の権利と持株比率の関係性
株主は大きくわけて、下記3つの権利を持っています。
- 企業の利益を受け取る権利
- 企業が解散する際に保有資産を受け取る権利
- 企業の経営に参加する権利
1と2は自益権、3は共益権と呼ばれます。これまで解説してきた議決権は、共益権にあたります。
さらに株主の権利は、株式をひとつでも持っていれば行使できる単独株主権と、一定の持株比率に応じて行使できる少数株主権とに分かれており、各カテゴリに応じて、下記表のような権利があります。
持株比率はこれらの権利に影響をおよぼします。順番に解説していきましょう。
①単独株主権と持株比率の関係性
単独株主権であっても、議決権のように持株比率の影響が大きいものがあります。
・利益配当請求権
利益配当請求権は、配当(当該企業の剰余金から分配される金銭)を受け取れる権利です。持株比率が高い(持株が多い)ほど、受け取れる配当も多くなります。ただし、当該企業が赤字の場合は、基本的にゼロとなります。
・新株引受権
新株引受権は、当該企業が新たに発行する株式を引き受けることができる権利です。株主割当増資の場合は、持株比率に応じて新株が割り当てられるため、比率が大きくなればその分、割当数も多くなります。
・残余財産分配請求権
残余財産分配請求権は、当該企業が解散した際に、残った財産を受け取れる権利です。持株比率に応じて財産の配分が決まります。
②少数株主権と持株比率の関係性
少数株主権は、株主の持株比率に応じて、下記のような権利を行使することができます。
(※)株式を6ヶ月間継続して保有した公開会社のみ
③会社側・株主側それぞれから見た持株比率と支配権の変動
以上のように、持株比率は、会社の重要な意思決定に大きく関与します。
会社を運営する側からすると、やはり持株比率はできるかぎり高く持っておきたいもの。特に51%を下回ると、経営権が別の株主に移ってしまう可能性が出てくるので気をつけなければいけません。
一方、株主側も、経営陣の持株比率は注視する必要があります。経営陣の持株比率が高ければ、それだけ意思決定が早く、企業が安定して成長する可能性を見込めるからです。
投資の際には株主構成にも目を配り、判断することが重要と言えるでしょう。
まとめ
- 議決権は、原則として1株につき1つ与えられる株主の権利。持株比率は発行済株式数と保有している株式数の比率で、持株比率(%)=保有している株式数/発行済株式数×100で求められる
- 持株比率がどれくらいか(議決権をどの程度持っているか)によって、与えられる権利が異なる。経営者であれば、51%以上が一般的。
- 持株比率は、資本政策やM&Aで注意すべき要素。安易に増資や株式移動などをすることのないようにする。
おわりに
株主の議決権と持株比率は、経営の行く末に大きく関わる要素です。
増資や株式移転などを行う際は、必ず事前に計算して確認しましょう。
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