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この記事でわかること

  • 株主構成の特徴と一般的に表記されるもの(大株主のリストと所有者別の株式分布状況)
  • 株主構成で表記される持株比率の特徴と注意点
  • 適切な株主構成とするために必要な資本政策の立て方とコツ
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はじめに

株主構成とは、会社の株主とその持株比率を表したものです。発行している株式を、「誰が」「どの程度保有しているか」を示した指標とも言えるでしょう。

この記事では、株主構成の特徴を踏まえた上で、持株比率に関する注意点もご紹介しています。会社運営の基礎知識のひとつとして、ここでおさえていただければ幸いです。

またKnowHowsでは、株主構成比率の把握や、株式の移転にともなう議決権の変動などを無料でシミュレートできる資本政策シミュレータ」もご用意しています。

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1.株主構成とは

株主 構成 と は

株主構成とは、どんな株主がいるのか、その株主の持株比率はどのくらいかを示したものです。

具体的には、大株主(10名程度)の名前と持株比率所有者別の株式分布状況の2つが表記されるのが一般的となっています。

順に解説しましょう。

①大株主の名前と持株比率

大株主とは、当該会社の中で、持株比率が高い株主のことです(一番持株比率が高い株主のことを、筆頭株主と言います)。

株主構成では、基本的に、持株比率が高い順に株主の名前(10名程度)と持株比率の具体的な数字が表で示されます。

・持株比率とは?

持株比率とは、当該会社が発行している全株式数に対して、その株主が保有している株式数がどの程度の割合なのかを示したものです。持株数を発行済株式数で割った数字に100を掛けると求められます。

たとえば、発行済株式数が50,000株で、持株数が3,000株のAさんという株主がいたとしましょう。

このときのAさんの持株比率は、3,000/50,000×100=6%となります。

②所有者別の株式分布状況

所有者別の株式分布状況とは、株主を特定のカテゴリーごとに分け、その持株比率を円グラフで表記したものです。

特定のカテゴリーには次のようなものがあります。

カテゴリー概要
金融機関金融取引業務を行う株主。普通銀行、信託銀行、生命保険会社、損害保険会社など。証券会社やノンバンクは含まれない
金融商品取引業者金融商品取引法に規定された金融商品を取り扱う株主。証券会社や投資信託委託会社、投資顧問会社など
その他の法人日本国内に本店や主たる事務所を有する法人株主(金融機関や証券会社を除く)。事業法人等とも言う
外国法人(個人以外)日本国外に本店や主たる事務所を有する法人株主。外国法人(個人)と合わせて、外国法人等とも言う
外国法人(個人)日本国外に国籍を有する個人株主。日本国外の政府・地方公共団体や、法人格を有しない団体も含まれる
個人・その他日本国内に国籍を有する個人株主。日本国内の法人格を有しない団体も含まれる
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2.要注意!会社を経営すれば持株比率は変わる

株主構成は、大株主や特定のカテゴリーの持株比率を表記したもので、会社の実態を表した指標です。

ところで、この持株比率は、会社を経営することで当然ながら変動します(特に事業を発展させようとして第三者割当増資を行うとき)

以下で、その様子について詳しく見るとともに、変動することによる注意点について解説しましょう。

①第三者割当増資を行うと持株比率が変動する

ある会社を経営者が設立しようとして、投資家Mさんと投資家Nさんからそれぞれ出資してもらったとしましょう。

このとき、会社全体で10,000株発行し、MさんとNさんには資本金の割合に応じて、それぞれ1,000株、500株割り当てたとします。

会社設立時の持株比率は、次のようになります。

株主持株数と持株比率
経営者8,500株(85.0%)
Mさん1,000株(10.0%)
Nさん500株(5.0%)

しかし会社を運営していく中で、さらなる資金調達が必要となり、3,000株を発行することになりました。

このとき、Nさんに500株割り当て、2,000株を新たな投資家であるOさんに、500株を投資家Pさんに割り当てたとします。

すると、持株比率は次のように変化します。

株主持株数と持株比率
経営者8,500株(65.4%)
Mさん1,000株(7.7%)
Nさん1,000株(7.7%)
Oさん2,000株(15.4%)
Pさん500株(3.8%)

第三者割当増資によって経営者やMさんの持株比率が低下している一方で、Nさんの持株比率が上がっていることがわかります。

②持株比率の変動で注意すべき点

持株比率の変動で注意すべきことは、端的に言えば、会社に対する支配力に影響力がある点です。

会社法では、以下のように、持株比率に応じて会社に対してできることが定められています。

(※)株式を発行した会社が公開会社の場合は、株式を6ヶ月前から継続して保有していることが要件となる

たとえば先の例で言うと、会社設立時の経営者は、単独で特別決議を可決することができました。

しかし第三者割当増資したことによって、特別決議を可決するためには、別の株主にも賛成を得なければならなくなっています。

第三者割当増資による持株比率の変動は、特に経営者にとって意識すべきことと言えるでしょう。

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3.綿密な資本政策が適切な株主構成への近道

第2章で見てきたように、持株比率は経営のコントロールに大きく関わる重要な指標です。

下がりすぎればより難しくなるどころか、経営権が別の株主に移動し、経営陣から外されてしまう可能性も出てきます。

そのため、経営権をしっかり握りつつ、事業を発展させるためには計画が必要です。この計画を資本政策と呼びます。資本政策は、その会社にとって適切な株主構成を維持するものとも言えるでしょう。

最後に資本政策で決めること、資本政策を立てるコツをご紹介します。

①資本政策では具体的に何を決めるか

主に以下のことを決めるようにしましょう。

株主 構成 と は

・資金調達の方法

1つ目は、資金調達の方法です。

資金調達方法には、第三者割当増資だけでなく、株主割当増資種類株式(議決権がないもの)の発行などがあります。

必要な資金がどのくらいかを予測した上で、どのタイミングでどんな方法を取るのがベストか検討するといいでしょう。

なお、資本政策で考える資金調達のことをエクイティ・ファイナンスと言います。

・安定株主確保のための策略

2つ目は、安定株主確保のための策略です。

安定株主とは、長期的に会社の株式を保有し、経営者に対して協力的な株主のことを言います。具体的には経営者の親戚、役員、従業員、取引先、金融機関などです。

安定株主を確保すれば、第三者割当増資で経営者の持株比率が下がったとしても、会社の支配力を継続して持ちやすくなります。

資本政策では、こうした株主を確保するために、新株予約権の付与投資家が有利になる種類株式の発行の検討などを行います。

②資本政策を立てるコツ

資本政策は、一度実行してしまうと後戻りすることが基本的にはできません。持株比率を再度上げることが困難なためです。

そこで作成段階において、いくつかのパターンを想定してシミュレーションを重ねることが大切になってきます。エクセルやGoogleスプレッドシートを使って、最適解を探ってみてください。

KnowHowsでも、資本政策の結果を予測できる「資本政策シミュレーター」をご用意しています。

必要な項目を入力するだけで、資本政策におけるリスクをオンライン上で確認可能。作成は無料で行えますので、あわせてご検討いただければ幸いです。

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まとめ

  • 株主構成とは、どんな株主がいるのか、その株主の持株比率はどのくらいか示したもの。具体的には、10名程度の大株主の名前と持株比率、所有者別の株式分布状況の2つが表記されるのが一般的。
  • 持株比率は、第三者割当増資によって低下する。事前に計画を立て(資本政策の立案)、経営者の持株比率が下がりすぎないようにしよう。
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おわりに

株主構成は、会社を運営する上で重要な指標です。

競合他社の株主構成も見ながら、資本政策で理想の形に近づけられるように努めましょう。

まずは簡易的に株主構成を把握したい……と言う場合は、KnowHowsの「資本政策シミュレータ」もぜひ、ご活用ください。

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