株主にはどんな権利がある?株式比率ごとにできることを一覧で解説
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この記事でわかること
- 議決権の基本的な考え方
- 議決権と持株比率の関連性
- 経営者の持株比率を下げ過ぎないようにするための方法
はじめに
議決権とは、株式を取得した際に持つことができる権利です。原則として1つの株式に1つの議決権があり、当該会社の発行済株式数に対する割合によって、経営への影響力が変化します。
この記事では、議決権に関する基本的な考え方をまとめました。また議決権と切っても切れない関係にある持株比率についても、詳しくご紹介しています。
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1.議決権とは何か
最初に、議決権そのものについて解説しましょう。
①議決権の基本的な考え方
議決権とは、1株につき1つ付される株主の権利です。この権利は、会社の意思決定を行う株主総会において行使できます。会社の利益のために用いられる権利であることから、共益権の1つに分類されます。
ところで、この議決権は、株式の取得数によってその数を増やすことができます。たとえばAさんが100株取得していたら、Aさんは100枚分の投票券を持っていることになります。
ある議案があって、株主総会で賛成か反対かを決めることになったとしましょう。そのときAさんが議案に納得して賛成した場合、賛成のほうに100票入ることになります。このように株式を多く保有している人(大株主)は、会社の意思決定に大きく関与することになります。
②種類株式
会社法では、通常の株式とは異なる権利を付けた株式を発行できるとしています。それが種類株式です。権利にはいくつか種類があり、その中には議決権と大きく関係するものが3種類あります。
・議決権制限株式
議決権制限株式は、名前のとおり議決権が制限されている種類株式です。
たとえば普通株式100株を取得しているAさんが、投資によって議決権制限株式を100株取得したとしましょう。その場合、Aさんは200株を取得してはいますが、議決権(投票券)は100しかないことになるため、株主総会での影響力は変わらないことになります。
議決権制限株式では、決議事項の一部を制限するといった設計がされることもしばしばあります。ただいずれにしても、議決権制限だけでは投資家にとって不利なことから、優先配当権や残余財産の優先分配権など、投資家にとって有利な権利をセットで付けて発行されることが大半です。
・拒否権付株式
拒否権付株式は、株主総会の決議を判断する種類株主総会に、参画できる権利が付いた種類株式です。
たとえば、ある議案があげられ、それが普段の投票(株主総会)で可決されたとします。このとき、もしAさんとBさんが拒否権付株式を保有していた場合、このふたりだけで改めて議案を検討する会(種類株主総会)を行うことができます。
そして協議の結果、AさんとBさんが「やはりこの議案はよくない。やめよう」となると、普段の投票結果は覆されることになります。このように、株主総会での決議を拒否できることから、拒否権付株式と呼ばれています。
・役員選任権付株式
役員選任権付株式は、役員を選任する種類株主総会に、参画できる権利が付いた種類株式です。
通常、取締役や監査役といった役員は、株主総会の決議で行われます。しかしこの種類株式が発行されていると、株主総会の決議では行われず、種類株主総会で実施されることとなります。
③議決権行使の流れ
株主が議決権を行使する際の、主な流れは次のとおりです。
- 会社が株主総会の日時・場所・議案を決定
- 会社が株主に対して「株主総会開催の案内」「議決権行使書」「議案に関する参考資料」などを送付(株主総会開催日の2週間前までに発送するのが原則)
- 株主が都合に合わせて行使方法を選択。株主総会への出席 or 議決権行使書の郵送 or 指定のウェブサイトを利用した行使が一般的
- 株主総会の開催。議案の承認 or 拒否
2.議決権と持株比率
冒頭でもお伝えしたように、議決権と深い関わりがあるのが持株比率です。特に会社の経営者は、留意しておく必要があります。以下で、詳しく解説しましょう。
①議決権と持株比率はどんな関係?
議決権とは、株主総会で提出された議案に対して、賛成するか否認するかを決められる権利。そして議決権を持っている分だけ、投じることができる数が増え、会社の経営に大きく関与できるものでした。
ここで注意していただきたいのが、「100株持っていたら○○ができる」「1,000株持っていたら○○ができる」と決まっているわけではないことです。
会社法では、持株比率(会社が発行した株式数に対して、ひとりの株主がどの程度の株式を持っているのかを示す割合)によって、議決権の内容が決められています。つまり100株と少ない株式数でも経営に大きく関与できるときもあれば、逆に10,000株を持ちながらある程度のところまでしか意見を述べることができない場合もある、ということです。
持株比率と議決権の内容は、具体的に次のように規定されています。
(※)株式を6ヶ月間継続して保有した公開会社のみ
たとえば、ある会社の発行済株式数が500株だったとしましょう。そしてそのうちの100株をAさんは保有していました。持株比率は、保有している株式数/発行済株式数×100で計算できるので、Aさんの持株比率は20%です。従って、Aさんは「株式会社の解散を請求できる権利」から上の権利を有していることになります。
②経営者の持株比率を下げ過ぎないことが重要
上表を見てわかるように、持株比率が高ければ高いほど、より会社運営の根幹の部分に関与することができます。これは株主全体に当てはまることであり、経営者も例外ではありません。
逆に経営者としては、株式発行による資金調達を行う際、持株比率を下げ過ぎないようにしつつ行うことが重要となります。
どういうことか、具体的に説明しましょう。
たとえばある会社を、Tさんがひとりで立ち上げたとします。このとき、Tさんの持株数を1,000株としましょう。持株比率は、当然のことながら100%です(Tさんしかいないため)。
しかし会社を大きくしていくためには、自己資金だけでは限界があるとTさんは考えました。そこでTさんは、新たに200株の株式を発行し、投資家Uさんから資金調達を行いました。すると……
持株数 | 持株比率 | |
---|---|---|
会社全体 | 1,200 | 100.0% |
Tさん | 1,000 | 83.3% |
Uさん | 200 | 16.7% |
ご覧のように、Tさんの持株比率は100%から83.3%に下がりました。
今回は、経営をコントロールするのにそこまで支障はありません。しかし今後も資金調達を行っていくのであれば、その都度Tさんの持株比率は下がっていきます。つまりその分、運営の自由度が狭まっていくことになるのです。そのため、経営者は持株比率を下げないように意識することが重要と言えます。
③持株比率を下げ過ぎないようにするための方法
持株比率を下げ過ぎないようにするためには、どの程度の資金が今後必要なのか、そのためにいくらの株をどの程度発行するのか、事前に計画することが不可欠です。そうした計画を資本政策と言います。
資本政策を立案する際には、Excelなどの表計算を用いるか専用のツールを利用するのが一般的です。
またKnowHowsでも、こうした資本政策の結果を予測できる「資本政策シミュレーター」をご用意しています。必要な項目を入力するだけで、資本政策におけるリスクをオンライン上で確認可能。作成は無料で行えますので、ぜひお役立てください。
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まとめ
- 議決権は株式を取得した際に持つことができる権利。会社の意思決定を行う株主総会で行使できる。
- 議決権と深い関係があるのが持株比率。この割合が大きければ大きいほど、会社への影響力が強くなる。
- 経営者としては、持株比率を下げ過ぎないにすることが重要。そのためには、資本政策をきちんと練る必要がある。
おわりに
議決権は、会社の運営に直接関わる権利です。株式を発行する際は、常に持株比率を意識しておくといいでしょう。
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