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この記事でわかること

コスト・アプローチとは、企業の資産から負債を差し引いた「純資産」をもとに企業価値を評価する手法です。

・その具体的な手法として①簿価純資産法、②修正簿価純資産法、③時価純資産法の2つがありますが、多くの場合②の修正簿価純資産法が使用されます。

・純資産を元にしたコスト・アプローチは、資産として計上されない企業の収益性を評価できないため、これらをのれん営業権などと呼ばれる項目として別途求め、合算する場合もあります。

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はじめに

このページでは、企業価値を評価する方法のひとつである「コスト・アプローチ」の特徴や計算方法などを解説していきます。

またKnowHowsでは、今回紹介する手法を用いた株価算定ツールも提供しています。企業価値評価を考えている事業者の方はぜひ、あわせてご活用ください。

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1.コスト・アプローチの概要と主な手法

コスト・アプローチは、企業の資産から負債を引いた「純資産」をベースとして企業価値を評価する方法です。

貸借対照表上の資産額・負債額のみが基準となるため、誰が計算しても結果は大きく変動することがありません。このように、客観性に優れている点が特徴となります。

一方で、コスト・アプローチはあくまで貸借対照表のみをベースとするため、企業の収益力(キャッシュを生み出す力)は考慮の対象になりません。

そのため、たとえば工場・設備などの資産を持たないITベンチャー企業などは、実際の価値よりも低い評価となるおそれがあります。

逆に、在庫や工場設備などを資産として保有する製造業や、保有資産そのものが収益源となる不動産業などにおいては、評価と実態のギャップは比較的少なくなるでしょう。

ギャップが比較的小さいケースギャップが比較的大きいケース
保有資産の多い製造業・不動産業など保有資産の少ないITベンチャーなど
年間利益が小さい、あるいは赤字の企業年間利益が資産額よりも大きい企業
事業が安定フェーズにある企業事業が成長フェーズにある企業

ここでは、コスト・アプローチの手法の例として、下記の3つを紹介していきます。

  • 簿価純資産法
  • 修正簿価純資産法
  • 時価純資産法
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2.簿価純資産法の特徴

簿価純資産法は、貸借対照表の純資産額から企業価値を評価するものです。

シンプルで分かりやすい点が特徴ではありますが、賃貸対照表の数字をそのまま用いるため、企業の分析・評価はほとんど行われません。

そもそものベースとなる簿価が正しいものかどうかは確認する必要があるでしょう。

この手法で明らかになるのは、企業が持つ資産をすべて売却したときの価格です。

そのため、M&Aの取引額の下限を決める場合や、事業の清算価値(これ以上事業を続けないと仮定した場合の価値)の算定などに用いられます。

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3.修正簿価純資産法の特徴

修正簿価純資産法は、貸借対照表の項目のうち、市場から時価評価が可能である資産および負債について、時価評価額に修正した上で純資産を求めるという手法です。

修正純資産法で時価評価の対象となる資産には、以下のような例があります。

・不動産

・投資目的の有価証券

・満期保有を前提とした債権

・長期間回収していない売掛金

資産だけではなく、下記のような負債も時価評価額に修正される場合があります。

・退職給付債務

・金融機関からの借入金や社債など

時価と簿価の乖離が小さい勘定項目や、時価評価が難しい勘定項目に関しては簿価をそのまま用いることが一般的です。

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4.時価純資産法の特徴

貸借対照表のすべての資産と負債を時価評価額に置き換えて計算を行うのが、時価純資産法です。

しかし、製造設備など時価評価の難しいものもあるため、現実的に時価純資産法を適用できるケースはあまり多くありません。

そのため、実務としては修正簿価純資産法と同様の手順となることが大半です。

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5.のれん(営業権)の評価に使われる「年倍法」

これまで紹介してきたコスト・アプローチの手法は、あくまで貸借対照表の上での資産や負債を元に企業価値を評価しています。

一方、企業の価値をはかる指標には、資産のほか事業を通じて収益を生む力があります。しかし、コスト・アプローチではこれらの要素は考慮されていません。

そのため、企業の純資産額に加えて、その企業の収益性を別に求め、評価に上乗せして考える場合があります。これらは「のれん」「営業権」などと呼ばれます。

超過収益力を評価する方法はさまざまですが、ここではもっとも簡易的な手法である年倍法(年買法)を解説していきます。

この手法は、売り手の過去数年分の収益をもとにした算定方法で、以下のような数式で表されます。

企業の過去3〜5年における税引後利益の平均×年数倍率

年数倍率の目安は、おおよそ3年前後。企業の資産額に3年分の収益を上乗せする、と考えるとわかりやすいでしょう。

過去の利益をベースとし、買収後の一定期間に見込まれる利益を評価に加える、という考え方はシンプルでわかりやすいと言えます。

しかしその一方、この考え方は、税効果や減価償却などを考慮していない、あくまでざっくりとした指標にすぎません。インカム・アプローチやマーケット・アプローチといった他の手法と比較し、妥当かどうかを検討する必要があるでしょう。

また、「のれん」の評価手法としてはその他にも、超過収益法というものがありますが、こちらはM&A後の連結決算において主に使用される手法であり、また目的が異なります。

詳しくは別途、「シナジー・無形資産評価について」の記事で解説していきます。

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まとめ

コスト・アプローチは一定の客観性を担保できる企業評価手法であり、また貸借対照表をベースにしているため、企業価値が比較的イメージしやすいという利点があります。

次のページでは「マーケット・アプローチの特徴と利用場面」について解説していきましょう。

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