市場調査の手法まとめ│代表的な10手法の特徴と相場一覧
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この記事でわかること
- 買い手側から見たM&Aの課題
- 売り手側から見たM&Aの課題
はじめに
M&A(買収)は大きなメリットを得られる一方、様々な課題やトラブルにみまわれます。
本記事では買い手側・売り手側の視点から見た国内企業が抱えるM&Aの課題を紹介します。実際に起こったニュースなども事例に挙げるので、参考にしてみてください。
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1. 買い手側の課題
買い手側から見た課題には、以下のようなものがあります。
①M&Aに関するコストの問題
②海外展開の壁
③経営統合におけるトラブル
①M&Aに関するコストの問題
M&Aでかかるコストは、買収費用だけではありません。M&A専門家の手を借りたり、統合に向けての準備を行うための費用が発生します。
そのため、M&Aの規模によっては、金融機関をはじめ、外部からの資金調達の実施が必要となります。
M&Aによるシナジー(相乗効果)と同様に、事業規模の拡大と相乗してコストも大きくなる傾向にあるからです。。
M&Aのコスト増を適切に見積もらないまま実施することで、統合後の運営コストが課題となり、事業の身動きがとれなくなる場合があります。
事例:LBOによる倒産リスク
LBOとは、銀行などが、M&Aの売り手企業の収益力を担保に、買い手側にM&A費用を融資することを指します。
近年では、事業承継において、このLBOを利用することで費用を捻出する事例があります。
しかしその一方、多額のM&A費用が負債として残ることにより本来予期していたシナジーを得ることができない点が問題となっています。
事例:のれん代による経営圧迫
のれん代とは、M&Aの買収額から、売り手企業の時価純資産額を引いたもので、おおざっぱに言えば企業の余剰価値とみなされます。
適切な企業価値評価(バリュエーション)が行われないまま取引をすると、高騰したのれん代が想像以上に経営を圧迫する場合があります。
また、のれん代は資産として計上されるため、課税対象となることにも留意する必要があります。
対処法:財務計画の正確な見積りを
調達前の資金繰りシミュレーションや、売り手企業のデューデリジェンスをしっかりと行い、リスクをきちんと把握するよう心がけましょう。
特に、買収額の比較的小さいM&Aにおいて、個人の投資家が参入するケースが増えています。LBOなどの財務リスクを専門家と事前に相談し、慎重に取引を行うようにしましょう。
②海外展開への壁
日本企業が海外企業とM&Aをすることを、クロスボーダーM&Aと言います。グローバル化を狙って海外で事業を展開したり、縮小している日本市場だけでなく海外にも販路を拡大させるために行われることがほとんどです。同業の海外企業を買収し、技術面の向上を目的にすることもあります。
しかし、残念ながら日本企業における海外企業の買収は成功率が低いとされています、
国外での製品知名度の低さなどが原因として挙げられます。
事例:キリンホールディングスのブラジル進出
キリンホールディングスは2011年、M&Aを通じたブラジル市場への進出を実施。ブラジルのスキンカリオール社をおよそ3000億円で買収しました。しかし、2014年から販売数量が低減、翌15年にはおよそ1100億円の損失を計上するなど低迷が続き、撤退を余儀なくされました。
対処法:入念な準備を行うこと
クロスボーダーM&Aを成功させるには、国内でのM&Aと同じく、入念な準備が求められます。十分なシナジーが見込めるのか、適切な買収金額を出すためのデューデリジェンスを精密に行ったかが重要です。
また、基本合意書の締結以降、M&Aがキャンセルとなった場合のブレークアップフィー(違約金)も決めておきましょう。
③経営統合におけるトラブル
M&Aが成立し、事業を買収したものの、売手企業の事業引き継ぎがスムーズに行われないケースが多発しています。引き継ぎが適切に行われなければ、業績が伸び悩むだけでなく、従業員のモチベーション低下にも繋がりかねません。
事例:従業員の離職
M&A直後は社内が慌ただしくなり、不満やストレスを抱える従業員も出てしまいます。特に、売り手側の従業員の労働環境が全く異なる場合、不安定になりやすいです。
人材は無形資産でもあります。ノウハウや知識が豊富な従業員が欠けてしまっては、シナジー効果が低くなりかねません。
対処法:PMIの精度を高める
M&Aが成立する前から、PMI(統合作業)の準備を入念に行いましょう。企業文化や風土などのソフト面は、すり合わせに時間をかけるべきです。
また、業務プロセスやシステムなどの統一も必要となります。一部の経営者や役員は業務プロセスなどを把握していないことが多いので、現場で働く従業員の声に耳を傾けることを意識しましょう。
2.売り手側の課題
売り手側の課題は、主にM&A成立前に発生しがちです。買い手が現れない、希望条件が通らないなどの課題に直面した場合は、専門家の手を借りましょう。
①買い手が現れない
事業を売却したいのに、買い手が現れないケースも多いです。特に中小企業の場合、ネームバリューがないため、M&A相手を見つけることが大手企業よりも困難です。
特に後継者がおらず、事業承継を検討している企業にとっては死活問題です。せっかく黒字で経営できている場合であっても、継承者がいなければ廃業となりかねません。
中小企業において経営者の高齢化は大きな問題になっています。1992年〜2017年において、59歳以下の経営者は約5割近く減少しました。一方、60歳以上の経営者は約3割増加しています。
対処法:マッチング支援を活用
福島県の老舗和菓子店で有名な恵比寿堂は、福島県の事業引継ぎ支援センターを通じてM&Aを成立させました。後継者がいなかったため、従業員の雇用維持を条件に、全くの異業種へ事業承継しています。
マッチングサービスは、インターネット上だけでなく、オフラインでも行われています。思いも寄らない企業との出会いにより、手塩にかけて育ててきた事業・企業がさらに発展できるかもしれません。様々なマッチングサービスを利用し、出会いの幅を広げましょう。
②希望の売却金額や条件が通らない
また、希望の売却金額や条件でのM&A成立が難しい場合もあります。M&Aを考えている買い手企業は、売り手企業が安定した収益を上げられるか、M&A後に業績が悪化しないかなどに注目しています。そのため、買い手が見つかっても、希望の売却金額や条件を変更することを求められることも多いです。
M&Aに関する知見や交渉力がなければ、思うようにM&Aが進められない可能性が考えられます。交渉をスムーズかつ有利に進めるのであれば、M&Aアドバイザーのサポートが必要です。
③表明保証違反による損害賠償の可能性
デューデリジェンスは短期間で行われるため、全てのリスクを洗い出すことはできません。そのため、表明保証の対象となる内容に一切虚偽がなく事実であることが求められます。
M&A後に損害賠償請求訴訟などが起きた場合にこの表明保証違反が認定されると、損害賠償を支払わなければならない場合があります。。
実際に東京地裁で平成18年1月17日に判決された株式譲渡のケースでは、簿価純資産額の減少を理由に売り手企業に損害賠償命令が出されています。(東京地方裁判所 損害賠償等請求事件 平成16(ワ)8241)
3.まとめ
- M&Aが成功すれば大きな利益を得られる一方で、課題も多い。
- 買い手、売り手によって課題は異なる。
- M&Aを進める上でM&Aアドバイザーや仲介会社のサポートが必須。
おわりに
M&Aにおける諸課題を把握し、取引を成功させるには、知見を持った専門家との共同作業が必要不可欠です。
「経営のお悩みを解決するプラットフォーム」KnowHowsでは、M&A、株式、資金調達、人事など、あらゆる経営課題の相談ができます。
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