-
株式価値の計算方法3つ!DCF法・株価倍率法・修正純資産法の手順
この記事でわかること DCF法・株価倍率法・修正純資産法を使った株式価値計算の仕方 株式価値と「株式の価値」の違い 「株式の価値」を直接求める方法 はじめに 株式価値は、株主に帰属する価値のことで、債...
30.5k
0
1
0
0
-
意外と知らない「企業価値」…間違いやすい言葉の意味や計算法を解説
この記事でわかること 「企業価値」は企業全体の価値を合計した総額のことで、M&A(買収)や融資などの際に参考とされる価値のひとつです。 企業価値とよく似た言葉として、会社の事業の価値である事業価...
14.7k
0
0
0
0
-
-
-
企業価値は公式を使って算出する!代表的な7つの方法を細部まで
この記事でわかること 事業価値(EV)や株式価値から企業価値を算出するための公式 事業価値(EV)や株式価値を算出するための代表的な公式 はじめに 企業価値は、他企業との比較やM&Aにおける適正な取引価格...
17.5k
0
1
0
0
【5分で解説】EV/EBITDA倍率(EBITDAマルチプル)での企業価値評価
- もっと解説してほしい0
66.4k
1
0
0
Index
この記事でわかること
- 「EV/EBITDA倍率(EBITDAマルチプル)」とは、ある企業の事業全体の価値(EV)を、その企業がキャッシュを生み出す力(EBITDA)で割った倍率のことを言います。
- それほど複雑な計算を伴わないため、M&Aでの企業価値評価(バリュエーション)の指標として使われます。
- M&Aにおける「EV/EBITDA倍率」の目安は、おおよそ8~10倍と言われています。
はじめに
M&A(買収)において、買い手側(買収元企業)の評価指標には様々なものがあります。
そのひとつが「EV/EBITDA倍率」(EBITDA倍率、EBITDAマルチプル)と呼ばれるもの。
これはざっくり言うと、企業がキャッシュを生み出す力をベースとして会社の価値を見極めるもので、企業の買収価格を判断する際にも使用されます。
その意味や使い方について、この記事で詳しく説明をしていきましょう。
1.EV/EBITDA倍率で何がわかる?用語の意味と内訳
まずは、EV/EBITDA倍率が何を意味する指標なのか、その用語の説明から解説していきましょう。
①EV/EBITDA倍率=M&Aで支払ったコストを回収できるかどうかの目安
EV/EBITDA倍率は、とても大雑把に説明すると、
・売り手(被買収企業)の事業そのものの価値(事業価値₌EV)
を、
・売り手(被買収企業)の事業が資金を生み出す力(EBITDA)
で割った比率になります。
EVはそのまま、事業そのものの値段とみなすこともできます。
そのため買い手側からすれば、M&Aで支払った金額(EV)を、売り手企業の生み出す資金(EBITDA)によって回収する際の目安とも言え、
EVに対してEBITDAが大きいほど、買い手は「投資した金額を早く回収できる₌割に合う取引である」と大まかに判断できることになります。
こうしたことから、EV/EBITDA倍率は「簡易買収倍率」とも呼ばれています。
次に、式の中で使われる「EV」や「EBITDA」について、詳しく説明していきましょう。
②EV(事業価値)は「株式の総額+負債の総額」
事業価値(EV)とは、Enterprise Valueの略で、事業が持っている資産や収益性などを総合した価値を表すもので、上場企業の場合は大まかに下記の数式で求めることができます。
EV₌株式時価総額+(※)純有利子負債
(※)純有利子負債…金利をつけて返済する負債から、預貯金などの流動資産を引いた額
【補足】:会社の預貯金は事業価値には含まれない
事業価値(EV)には、預貯金などの流動資産は含まれません。
EV/EBITDA倍率では、あくまで「会社が行っている事業をベースにした」評価であるため、事業と直接関係のない預貯金などは除外して考えていきます。
預貯金以外にも、
・事業と関係のない資産(遊休不動産など)
・退職給付金債務や訴訟債務
といったものも、事業価値(EV)からは除外されます。
③EBITDAは「営業利益+減価償却費」
「EBITDA」は「Earnings Before Interest, Tax, Depreciation, and Amortization)
の略語で、翻訳すると、
「企業の利益から、
・利息(Interrest)
・税金(Tax)
・有形固定資産にかかる減価償却費(Depreciation)
・無形固定資産にかかる減価償却費(Amortization)
を差し引く前の金額」
ということになります。
簡単にいえば税引き前の営業キャッシュフローとほぼ同じような役割を持ち、下記の計算によって求められます。
・営業利益+減価償却費
減価償却費は会計上の名目としての費用であり、実際に資金が使われたわけではありません。そのため、営業利益に足し戻す形となります。
以上が、EV/EBITDA倍率に関わる各項目の詳しい説明です。
次の章ではEV/EBITDA倍率を使った企業価値評価のステップを見ていきましょう。
2.EV/EBITDA倍率を使った企業価値評価4ステップ
これまで説明してきたEV/EBITDA倍率を使った事業価値の評価方法は、下記の4ステップとなります。
①売り手企業と類似する企業から、EV/EBITDA倍率を算出する
↓
②売り手企業のEBITDAを算出する
↓
③類似企業のEV/EBITDA倍率を元に、売り手企業の事業価値(EV)を算出する
↓
④事業価値をもとに、買い手側の企業価値(株主価値)を求める
このように、類似企業を参考にして事業価値を求める方法は、類似会社比準法や株価倍率法などと呼ばれます。
ここではM&Aを検討しているA社を例に出し、企業価値評価の大まかなステップを順番に解説していきましょう。
<A社の状況>
事業内容 | 営業利益 | 減価償却費 | 純有利子負債 |
---|---|---|---|
家具の製造・販売 | 9,000 | 1,000 | 2,000 |
(単位:千円)
①売り手企業と類似する企業からEV/EBITDA倍率を算出する
まずは、売り手企業と事業や財務状況が似ている企業を探し、有価証券報告書や会社四季報などを元にEV/EBITDA倍率を計算していきます。
A社の場合、同じように家具の製造・販売を行っている企業を探し、財務状況なども含めた経営状況をひとつひとつ比較して、類似企業を選定していく形になります。
一社だけでなく、複数社を選定したうえで、各企業のEV/EBITDA倍率を計算。最終的な参考とするEV/EBITDA倍率を検討していきます。
ここでは、A社の類似企業からEV/EBITDA倍率が10倍と算出できたと仮定します。
②売り手企業のEBITDAを算出する
次に、売り手企業のEBITDAを決算書などを元に算出します。
前項でも説明したとおり、EBITDAは売り手企業が「どれだけのキャッシュを生み出しているか」という指標であり、
・(営業利益)+(減価償却費)
という数式で求められます。
A社の場合、EBITDAは9,000+1,000₌10,000(千円)
と計算できます。
③売り手企業のEBITDAを算出する
最後に、①で求めたEV/EBITDA倍率を、②のEBITDAにかけ合わせます。
A社の類似企業から算出したEV/EBITDA倍率は、A社にも同様にあてはまるはずです。
つまり、A社の事業価値は
10,000(EBITDA)×10(EV/EBITDA倍率)₌100,000(千円)
となり、A社には1億円の事業価値(EV)がある、とみなすことができます。
④事業価値を元に、買い手側にとっての企業価値(株主価値)を決定する
こうして計算したA社の事業価値から、
・有利子負債(銀行からの借り入れ)
・事業に使われていない不動産
・預貯金
といった、株主と関係しない価値を足し引きすることで、株主にとっての企業価値(株主価値)が求められます。
A社の場合は負債がありますので、③で求めたEVからこれを引いた額となります。
つまり、
100,000-2,000₌98,000(千円)
となり、A社の株主価値は9800万円ということになります。
以上の4ステップが、EV/EBITDA倍率を用いた類似会社比準法による、企業価値の評価ステップです。
ここからさらに、売り手側、買い手側双方の考えにあわせて、価値が適切かどうかのさらに検討とすり合わせを行っていく形となります。
⑤EV/EBITDA倍率と投資回収コストの関係性
前述のように、EV/EBITDA倍率は、M&Aのコストをいつまでに回収できるかという指標ともなります。
たとえばEV/EBITDA倍率が30倍だった場合、単純計算で事業価値を現状の収益で回収するまでに30年かかる見立てとなります。
このような状況も加味して、実際の価格は決定されます。
一般的に、M&Aを実施する際のEV/EBITDA倍率は、8~10倍が基準とされています。
M&Aによる買い手側へのシナジー(相乗効果)なども考えるため、この数値が絶対というわけではありませんが、ひとつの参考としてください。
まとめ
M&Aの現場では、EV/EBITDA倍率をはじめとして、一般の会計項目とも異なるさまざまな指標が使われますが、ひとつひとつの項目の意味や役割を考えていくと、比較的かんたんに理解できます。
特に今回とりあげたEV/EBITDA倍率は、資金繰りの判断や、投資などにも参考となる指標です。ぜひ上手に活用してみてください。
「経営のお悩みを解決するプラットフォーム」KnowHowsは、資金調達、M&A、株式、人事など、さまざまな専門家から経営課題に関するアドバイスを受けることができます。無料でご利用できますので、少しでも疑問があればぜひ相談してみましょう。
この記事の評価をお願いします
1
この記事を書いた人
このユーザーの他の投稿
関連のあるコラム
投稿を削除します。本当によろしいですか?
関連する質問がAIで生成されています。
EV/EBITDA倍率を使用する際に、日本の中小企業特有の財務構造や業種の違いがどの程度影響を与えるかについて詳しく教えていただけますか?特に、製造業とサービス業では有利子負債や減価償却費の比重が異なるため、その影響をどのように考慮すれば良いでしょうか。
中小企業のM&Aにおいて、EV/EBITDA倍率の8~10倍という目安が適用できない場合、どのような代替の評価基準を使用するべきかお聞かせください。特に、成長率が高くキャッシュフローの変動が大きい企業の場合、適切な評価基準の選び方について詳しく教えてください。
EV/EBITDA倍率を用いたバリュエーションの際に、数年間にわたるキャッシュフローのシミュレーションを行いたいと考えています。この場合、どのような仮定や前提条件を設定すれば信頼性の高い評価が可能になるでしょうか。また、その際の手法について具体的なステップを教えてください。
EV/EBITDA倍率による評価結果と、実際の取引価格に大きな隔たりが生じる場合、その原因として考えられる要因について教えてください。特に、非財務的な要素や市場の特殊事情が取引価格にどのような影響を与えるか、具体例を交えて説明いただけると幸いです。
企業の株主価値を評価する際に、EV/EBITDA倍率の他に使われることの多いDCF法や株式益回り法との比較を通じて、それぞれの手法の利点と欠点について詳しく教えてください。特に中小企業での実用性と適用条件について、ご意見をお聞きしたいです。
EV/EBITDA倍率を用いる前提として、売り手企業の財務データの正確性や最新性は重要ですが、信頼性に疑問がある場合どのように対処すれば良いでしょうか。特に、財務データの検証手法や第三者評価の活用について具体的な方法を教えてください。
中小企業が将来的にM&Aを見据えた際に、EV/EBITDA倍率を意識した経営戦略を立てるための具体的なアドバイスをいただけますか。特に、EBITDAの増大に向けた財務・業務改善のポイントについて教えてください。
EV/EBITDA倍率を用いた評価の際に、同業他社のデータ収集が難しい場合、どのような情報源や方法を使って類似企業のデータを得るべきかお聞かせください。また、データ収集の際の具体的な手順や留意点についても教えていただきたいです。
中小企業がM&Aを検討する際に、EV/EBITDA倍率だけではなく他の指標(例:P/E比率やP/B比率)も併用する場合のメリットとデメリットについて詳しく教えてください。それぞれの指標が補完し合う形での判断方法も合わせて説明いただけると助かります。
EV/EBITDA倍率を使用する中で、特定の業界において特有の問題が発生する場合があります。例えば、IT業界では無形資産の評価が困難なため、倍率が適用しづらい場合があります。こうした業界特有の問題に対処するための具体的な手法や考慮すべきポイントについて教えてください。
閉じる
ダウンロード
20万円以上の契約書を無料でご利用できます。
KnowHowsは、専門家と相談者をつなぐ
オンラインプラットフォームです。
ダウンロード
多くの事業に重要な知識が
ダウンロードできます。
KnowHowsは、専門家と相談者をつなぐ
オンラインプラットフォームです。
あなたの知識を
欲しい人がいます。
関わる経験や知識が必要な人たちが待ってます。
KnowHowsは、専門家と相談者をつなぐ
オンラインプラットフォームです。
投稿できます。
多くのプロとつながりましょう。
KnowHowsは、専門家と相談者をつなぐ
オンラインプラットフォームです。
相談できます。
事業、M&A、財務、法務に関わる
専門知識をもったプロがお答えします。
KnowHowsは、専門家と相談者をつなぐ
オンラインプラットフォームです。
プロフィール画像を登録してください
有料のプラン登録をしませんか?
電話番号認証のお願い
アップグレード
アクセス権限
3IP同時ログインが可能株価算定概要書のDL
資本政策利用無制限
機能が全て利用可能
株価算定も追加費用なしで利用し放題公式の知識を買う/売るの無制限
ノウハウズ公式のアカウントによる投稿のみ対象契約書ダウンロードの無制限