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この記事でわかること

  • 「企業価値」は企業全体の価値を合計した総額のことで、M&A(買収)や融資などの際に参考とされる価値のひとつです。
  • 企業価値とよく似た言葉として、会社の事業の価値である事業価値(EV)や、株主から見た価値である株主価値などがあります。混同されて使われがちですが、それぞれ厳密な意味は異なるので注意しましょう。
  • 企業価値を計算する方法には、企業の純資産をベースに考えるコストアプローチ、企業の収入を基準に考えるインカムアプローチ、類似企業や類似取引を基準に考えるマーケットアプローチの3種類があります。
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はじめに

経営においてよく使われる「企業価値」という言葉。

しかし、企業価値とはそもそも、どんなことを指すのでしょう?

なにを価値と考えるかは人によって様々ですが、M&Aや資金調達の場では、会社の価値はすべて金額に置き換えられて判断されます。

この記事では、市場における「企業価値」のさまざまな考え方や、詳しい算出方法について解説していきます。

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1.「企業価値」の意味と役割

素晴らしい製品やサービスを作ること、多くの従業員の生活を守ること……

企業が提供する価値にはさまざまなものがありますが、市場においては、「企業のお金を生む力」や「持っている資産」の合計が、「企業価値」と呼ばれます。

まずは、企業価値の持つ意味や役割を解説するとともに、よく似たさまざまな用語との違いをまとめていきましょう。

①企業価値≒市場から見た企業の魅力

M&Aや融資などの資金調達の場でいう「企業価値」とは、多くの場合、金融市場から見た価値を指します。

ごく単純に言えば「この企業に投資してリターンを得られるか?」ということを判断するための指標であるため、製品の品質や理念、ビジネスモデルや知名度……といったさまざまな要素を、営業利益保有資産といった金額に置き換え、計算をしていく形となります。

企業価値を高めることは、銀行や投資家などから「魅力的な企業」として見られることに繋がり、

  • 融資の審査や金利
  • 資金調達の成否や金額
  • M&Aの成否や買収価格
  • 発行株式の株価

など、さまざまなシーンで重要な役割を担います。
そのため、これらの指標を把握し、高めていくことが、経営者にとって重要な課題となっているのです。

②使い分けに注意!「事業価値」と「企業価値」の違い

企業価値と似たような言葉に、事業価値(EV)があります。

事業価値(EV)は、企業が「稼ぐ力」を総合的に評価したもので、企業が持っている預貯金や、事業と直接関係のない資産などは含まれません。

数式であらわすと、下記の通りになります。

・企業価値₌事業価値(EV)+事業以外の価値(非事業用資産)

預貯金や事業外の資産を持っていないベンチャー企業などでは、事業価値=企業価値となることが多いため、混同されて使われがち。

しかし、厳密には事業価値(EV)は企業価値の一部であり、別のものです。

思わぬ認識のズレを生む場合もあるため、注意してください。

③「時価総額」と「企業価値」はどう違う?

もうひとつ、企業価値と混同しやすい言葉に「時価総額」があります。

これは企業が発行する株式の時価合計額のことです。

株式とは、ざっくりいえば企業の所有権を分割して値段をつけたもの。上場企業の場合、企業が高く評価されれば株価は上がり、低く評価されれば株価は下がると考えられます。

そう考えると、一見して時価総額=企業価値と思ってしまいがちですが、この両者もまた、厳密には異なります。

企業が資金を調達する手段は株式だけではありません。同時に銀行などからも融資を受けているケースがほとんどです。

「銀行が企業に融資をする」ということは、別の言い方をすれば

「その企業にはお金を貸す価値があると銀行が判断している」

とも考えらえます。

そのため、企業価値は時価総額だけでなく、負債もあわせて「価値」とみなされるのです。

数式で表すと以下のようになります。

・企業価値=時価総額+有利子負債

言い換えると、株主から見た価値と、銀行などの債権者から見た価値の合計が、企業価値の合計ということになります。

④「企業価値」=「買収価格」ではない

企業価値=企業全体の価値と考えると、M&Aの場合の買収価格は同じであるように思えます。しかし、この両者もまた、厳密には異なります。

まず、企業の買収に伴うシナジー(相乗効果)の考慮があげられます。

企業価値はあくまで売り手側企業単体の価値です。

しかし、会社を買収してそのノウハウや人材を吸収したり、ブランドや信用を手に入れることによって、買い手側が本来持っていた事業にも好影響が出る可能性が考えられます。

こうした相乗効果も、M&Aの際には加算して考えられます。

また一方で、銀行からの負債を引いたり、財務上負担する諸費用を引いたりしながら、最終的な買収価格を決定していくのです。

企業価値の算出は価格決定のゴールではなく、あくまでスタート地点である……という考え方もできるでしょう。

これまで、企業価値の役割と、間違えやすい言葉について解説をしてきました。

次の章では、具体的にどんなプロセスで企業価値を計算していくのか、大まかに解説をしていきたいと思います。

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2.企業価値算出に使われる3つのアプローチ

企業価値の計算で重要になるのは、その企業が持つ稼ぐ力です。

しかし、「稼ぐ力」を判断する基準にはいろいろなものが考えられます。

この章では、企業価値を評価するための代表的なアプローチとして、

①コストアプローチ
②インカムアプローチ
③マーケットアプローチ

の3つの算出方法をかんたんに解説していきます。

コストアプローチ=会社の保有資産をベースにした考え方

会社が持っている資産の価値に着目して企業価値を算出する方法が、コストアプローチです。現時点で保有している資産のみに着目して価値を算出するため、比較的客観性の高い方法と言えます。

代表的なコストアプローチの手法として、下記の3つの方法があります。

  • 簿価純資産法:資産と負債の帳簿価額で計算する
  • 修正簿価純資産法:資産と負債の一部を時価に変換して計算する
  • 時価純資産法:資産と負債の全てを時価に変換して計算する

ただし、これらの価値計算は、会社が保有している資産のみをベースにしているため、企業が持っている営業ノウハウやブランド力といった、企業が収益を生む力がほとんど考慮されていません。

そのため、M&Aなどの場合では、こうした無形価値を企業の収益をベースに数値化し、企業価値に加算して考える場合もあります。

こうしたプラス・アルファの価値は、のれん(営業権)と呼ばれます。

またコストアプローチを使って、会社を解散する場合の価値(清算価値)を算出することもできます。

これは現時点で会社の資産をすべて売却し、会社を解散すると仮定したときの価値であり、M&Aの場では、主に買収価格の下限として使われます。

②インカムアプローチ=会社の収益性をベースにした考え方

将来企業が生み出す利益を考慮して企業価値を算出するのがインカムアプローチです。

将来にわたって企業が生み出す利益をベースに計算していく手法で、①で消化した「のれん」を最初から組み込んだ計算方法といえます。

M&Aの場ではポピュラーなアプローチ手法であり、計算方法にもさまざまな種類がありますが、代表的な手法として下記のようなものがあります。

  • DCF法(エンタープライズDCF法):キャッシュフローをベースに価値を算出
  • APV:DCF法と似ているが、倒産コストを組み入れるなど細部の手順が異なる
  • 収益還元法:当期純利益をベースに価値を算出

このうち一般的な手法としてよく知られているのは「DCF法」です。

多面的な要素を組み入れて計算できる点がメリットですが、その一方で正確な仮定をおくのが難しく、少しの数値のズレで価値が大きく上限するデメリットもあります。

APV法は、たとえば銀行からの借り入れが額が将来大きく変化するようなケースに使われますが、DCF法と同じく、正確な仮定が難しいところがあります。

収益還元法は、DCF法をやや簡便にしたもので、多数の企業を比較したり、キャッシュフローの変化が少ない企業を評価する場合に使われることがあります。

③マーケットアプローチ=市場の前例をベースにした考え方

評価対象である企業の価値を、市場価格から算出するのがマーケットアプローチです。

その手法には、大きくわけて下記の3つがありまる。

  • 市場株価法(上場企業のみ):市場株価を参考に企業価値を算出する
  • 類似取引比準法:過去のM&A事例をもとに価格を算出する
  • 類似会社比準法:類似企業の企業価値を参考に価格を算出する

なお、類似会社比準法を利用して非上場企業の企業価値を算出するときは、類似している上場企業の企業価値を参考にします。

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まとめ

企業価値は企業を価格に直した指標です。この数値が高いほど資金調達やM&Aの面でメリットがあります。今回解説した内容は難解な専門知識ばかりですが、M&Aや事業承継が一般的になっている昨今、このような概念は経営者にとって必須知識となりつつあるのです。

自社の価値を正しく判断するために、またビジネスシーンにおける数多のチャンスを逃さないために、今回ご説明した企業価値の考え方を覚えておいてください。

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この記事を書いた人

KnowHows 編集部

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