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株式上場(IPO)における与信管理の要点まとめ

この記事でわかること

  • 与信管理についての概要
  • 与信管理の実施形式
  • 与信管理の心構え
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はじめに

与信管理とは、売掛金をはじめとする未回収の売上債権について、リスク管理を行う業務を指します。

取引先企業の倒産などにより売上債権が回収不能な事態となれば、経営に大きな悪影響を与えます。こうしたいわゆる信用リスクについてきちんと対応できるかどうかが、安定した経営基盤があるかどうかの基準となります。

上場企業を目指すなら、この与信管理の仕組みも整えておかなければなりません。

本記事で順番に解説をしていきます。

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1.与信管理の概要

まずは、与信管理についての概要から解説していきましょう。

①与信とは?

与信とは、取引先相手に信用を与えることです。

例として、月給制で働いているサラリーマンを考えてみましょう。

当月に働いたぶんの給与が翌月に支払われる(いわゆる末締め翌月払い)という場合、実際には給与が支払われるまでの間はタダ働きをしていることになります。

そのことに不満を覚えないのは「この会社は毎月給与を払ってくれる」という信用があるからです。

同様に企業間の取引でも「相手が〇ヶ月後に代金を振り込んでくれる」と信用して、債権または手形をベースに製品を納入することがあります。

その一方で、先ほど例に挙げたサラリーマンの会社が突然倒産してしまえば、払ってくれるはずだった給与が支払われないかもしれません。

同様に、与信取引は常に、相手が料金を踏み倒すリスクにさらされています。だからこそ、その中で自社および株主を守るための方法として、相手の素性をチェックする与信管理が重要となってくるのです。

②与信管理の形式

与信管理は継続的に行う必要があるものです。具体的には下記の2つの形式に沿って管理していく形となります。

  • 取引先について、取引希望に応じた与信調査を継続的に行う
  • 取引先をそれぞれ評価し、信用枠と売上債権の残高を比較する

上場審査では、取引先の与信調査をどのように行い、どのような基準に基づいて売掛金の限度額を定めているのかをチェックされるため、注意が必要です。

取引先の与信調査は、聞き込み調査や外部情報の利用によって行われます。聞き込み調査では、取引先へのヒアリングやその業界に精通する人からの情報、ホームページ、口コミサイトなどWEB情報も有効でしょう。

外部情報としては、商業登記や不動産登記も参考になるでしょう。どのような事業を行い、担保の状況がどうなっているのかを確認することができます。

聞き込み調査、外部情報でも情報が足りない場合には、企業調査の依頼を行うのも有効な手段です。項目としては、沿革、事業内容、経営者資産状況、役員、株主、仕入先・販売先、取引先のリスク、財務分析表、リスクスコアなどを調査・評価してくれます。

通常の会話やヒアリングでは聞きにくい項目を扱っているため、企業調査の依頼は効率的です。取引先の評価が決定したら、信用枠と売上債権の残高を比較しましょう。与信の履歴を残しておくと、リスク回避につながります。

また、与信管理につながる様々な財務業務の代行サービスもリリースされています。未払いや支払い遅延があったとしても、100%代金を保証するサービスも増えてきました。会計処理は負担も責任も大きいですが、代行サービスを利用すればより効率的に与信管理を行えるでしょう。

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補足:取引先数によって与信管理は異なる

与信管理は、最善策が定められているわけではありません。会社によって規模や取引先の数が異なるため、与信管理の方法も異なります。

たとえば、取引先が5社〜10社であれば、すべての取引先の情報を詳細に調べることは難しくありません。

しかし、取引先が数百社以上、数千社以上となると話は別です。すべての取引先を調べるには、時間もコストも膨大なものとなります。

そのため、取引先の数が多い場合には、取引額に応じた評価指標をあらかじめ設けておくと、チェックが幾分楽になります。

また、年間の取引金額や業界の特徴も重要な指標です。

売上が立った時点から現金化までの期間に時間を要する業界の場合、取引先が倒産となれば大きな損失が出てしまいます。

継続的に取引を行っている取引先がある場合も、相手の動向や経営状況によって大きな影響を受けかねません。上記に該当する取引先の場合は、費用をかけてでも詳細に調べておきましょう。

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2.与信管理を行う際の3つの視点

与信管理は特に決まっておらず、形式会社の規模や取引先の規模・数、与信管理の方針を行う形となります。

しかし、いずれの場合であっても、共通するのは以下の3点です。

①重点管理

大口取引先を中心として、重点的な管理を行うことを指します。取引の頻度と売掛金が高い大口取引先に加え、注意すべき取引先、評価指標が低い取引先が対象です。聞き取り調査や外部情報を駆使して、詳細な企業情報の収集と評価を行います。その上で、取引可否の判断と与信の限度額設定が必要です。

②全体管理

文字通り、取引先すべてを管理することです。詳細に情報管理を行うのではなく、共通の評価指標を用いて、すべての取引先において取引可否の判断、与信の限度額設定を行います。

③継続管理

重点管理と全体管理を継続的に行い、常に取引先の信用リスクの変化を把握することが目的です。リスク増大の傾向があれば、即時対応できるようになります。

どの企業においても回避したい経営リスクです。上記3つの視点で与信管理を行い、貸倒れを未然に防ぎましょう。

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3.経営者が持つべき心構えとは

経営者や与信管理責任者は、与信管理には形式や最善策が定められておらず、正解はないということを理解しておく必要があります。

与信管理は、経営で例えるならば「意思決定」と同等です。取引先のZ社が倒産する噂が流れたとします。その際、どのような取引方針を定めるかは、会社によって大きく異なるでしょう。X社は安全第一を重視しており、倒産の可能性があるZ社との取引中止を決断します。いっぽうでY社は収益優先タイプで、販売条件を調整し、取引継続の意向です。

企業の取引方針によって、対応は大きく異なります。どちらが正解か、ではなく、自社が定めた取引方針に従い、自社にとって一番最適な選択をすることが大切です。

また、取引方針は経営者や与信管理責任者が関与して定める必要があります。不明瞭なまま運用してしまうと、本来の方針に沿わない与信管理となりかねないためです。

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まとめ

与信管理は、取引先の倒産により発生する貸倒れを回避のために欠かせないものです。

どのような基準で、どのように取引先を評価しているのか、売掛金の限度額設定の基準設定などを上場審査でチェックされるため、慎重に行わなければなりません。

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