• 投稿する

一覧へ戻る
この記事の目次を見る

新規上場時の公募・売出の違いとその概要

この記事でわかること

  • 上場承認後に行う公募・売出の概要
  • 公募・売出の価格決定のプロセスや手続き
  • 上場承認から公募・売出までのスケジュール
ここに知識を出品

はじめに

株式上場(IPO)の審査を通過すると、次に自社の株式を市場に流通させる売出と、自社が新たに株式を発行して買い手を募る公募が行われます。

上場した企業にとっては、株式市場を通じて資金の調達を行うチャンスであり、創業者・役員・従業員にとっても、事前に付与されていた株式を売却したり、ストック・オプションを利用したりすることで個人的に利潤を得られるタイミングでもあります。

本記事では、新規上場時の公募・売出の概要や諸手続きについて解説します。

また、KnowHowsの「みんなで事業相談」では、専門家に事業の悩みを無料で相談することが可能です。

弁護士や会計士、行政書士、M&Aアドバイザーなど、KnowHowsに登録する専門家があなたの悩みに詳しく回答。

新規上場時の公募・売出も含め、お悩みの際はぜひご活用ください。

みんなで事業相談.png

【利用無料】いままでの回答を見てみる!

ここに知識を出品

1.公募・売出とは?

公募・売出とは、上場企業が新たに株式を発行したり保有している株式を市場に公開し、一般投資家が売買できるようにすることを指します。

①公募と売出の違い

公募とは、「不特定かつ多数の投資家に対し、新たに発行される有価証券の取得の申込を勧誘する」ことと定義されています。

一方で売出は「既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込の勧誘のうち、均一の条件で50人以上の者を相手方として行う」ことです。

つまり

  • 公募₌新しく株式を発行して、不特定多数の投資家から買い手を募る
  • 売出₌発行済みの株式について、50人以上の投資家から一律条件での売買を募る

となり、両者の主要な違いは「勧誘にあたって新しく株式を発行するかどうか」という部分となります。

株式上場時における両者の性質や目的をまとめると、下記表の通りになります。

売出公募売出
対象新規に発行する株式既に発行済の株式
株式総数増加する増加しない
目的主に上場時の資金調達主に上場時の創業者利潤の確保

また、公募や売出は必ずしも株式上場時だけに行われるわけではなく、上場後の追加の資金調達や、M&Aの際などにも利用されます。

②公募・売出価格の決定方法

株式の公募・売出を行うにあたっては、株価格を決定しなければなりません。

しかし、すでに上場している企業と異なり、これから上場する企業の株価は未知数。そのため、上場に際してはさまざまな要素を勘案して、公募・売出時の株価(公開価格)を決定する必要があります。

そのための代表的な方法として、ブックビルディング方式競争入札方式の2つがあります。

ブックビルディング方式

仮の公開価格を作成して投資家にヒアリングを行い、需要を調査したうえで公開価格を決定する方法です。

主幹事となる証券会社が機関投資家からの意見をもとに、仮条件の候補となる価格帯を設定。経営者と共に他の機関投資会社を訪問してプレゼンテーションを行い、仮条件を検証していきます。

そうして決定された仮条件を投資家に提示。投資家からの需要申告を受けて、正式な公開価格を決定する流れとなります。

競争入札方式

公開する予定の株式の一部(原則として50%以上)を入札し、落札された価格をもとに公開価格を決定する方法です。

株式の一部をオークションにかけ、最終的に落札された価格を正式な株価にする……とイメージするとよいでしょう。

2019年10月現在、株式上場を行った企業は上記2点の手法を選ぶことができます。しかし、競争入札方式は投機目的の投資家に価格が影響されやすいというデメリットが大きく、現在はブックビルディング方式が採用されることが多くなっています。

③公募・売出時に必要となる書類

公募・売出を行う場合には、主に以下のような書類の提出が必要となります。

有価証券届出書

株式の公募・売出にあたり、発行株式の内容や、申請企業の財務内容、事業内容などを報告する書類です。

投資家が上場申請会社の株式を購入するかどうかを判断する重要な指標となるため、公募・売出の際には、必ず財務局に提出する必要があります。

また、記載内容に加えて、下記書類の添付も求められます。

  • 定款
  • 株主総会の議事録の写し、もしくは取締役会の決議書
  • 株式発行による申請会社の資本金額の変更につき、行政庁の許可、認可、または承認を必要な場合には、許可、認可、承認のいずれかが合ったことを証明する書面

目論見書

目論見書とは、公募・売出のために申請企業が事業内容などをより具体的に説明するものです。

記載する内容は、ほぼ有価証券届出書と同じものですが、前者が財務局に提出し、公開されるものであるのに対し、目論見書は投資勧誘の際に投資家に交付するものである点が異なります。

有価証券届出書の内容のうち、投資判断にかかる情報を抜粋して発行するのが一般的です。

コンフォートレター

有価証券届出書の提出から、株式の公開までの間に、記載されている事実に大きな変動がないことを調査した報告書です。

株式公開後に会社の資産が急激に減少していたことが発覚するようなリスクを防止するために、主幹事証券会社が上場申請企業の監査法人に作成を依頼するものです。

ここに知識を出品

2.公募・売出の流れ

上場承認から上場日までの期間はおよそ5週間。

この間に、公募・売出までの手続きが行われます。

そのおおまかなスケジュールをまとめると、下記の通りになります。

※ブックビルディング方式を採用した場合のスケジュールとなります。
新規上場時の公募・売出について
このように、上場承認から売出まではかなりスケジュールが過密することになり、また仮条件や公募価格の決定に伴って、有価証券届出書を何度も訂正しなければなりません。

細かい申告漏れがないよう注意しつつ、手続きを進めていきましょう。

ここに知識を出品

まとめ

新規上場時の公募・売出は、公募価格が適正であるかどうかが重要なポイントとなります。投資家からの需要がなければ、公募価格が割れてしまうためです。

主幹事証券会社との円滑な連携に努め、機関投資家からのフィードバックをしっかりと集めるようにしてください。

なお、公募・売出を含む株式上場全般の疑問は、KnowHowsで無料相談ができます。

KnowHowsは、「経営のお悩みを解決するプラットフォーム」として、株式上場(IPO)や株式の財務、法務・労務などの疑問を解決するプロフェッショナルが質問に回答してくれます。

少しでも疑問があれば無料で相談してみましょう。

みんなで事業相談.png

>>KnowHowsの「みんなの事業相談」で専門家に相談する!

ここに知識を出品

この記事の評価をお願いします

この記事を書いた人

KnowHows 編集部

株式会社KnowHows

9

さまざまな事業課題の解決に役立つ情報をお届けしていきます。

気軽にお話してみませんか?

このユーザーの他の投稿

関連のあるコラム

専門家に匿名で!ちょこっと相談