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今回は財務会計と管理会計の違いについてである。

財務会計と管理会計という言葉をよく聞く人も多いと思うが、日本語にするとはっきり言って意味が不明瞭になるのかなと思う。
財務会計はFinancial Accounting, 管理会計はManagement Accountingと表現されるので英語で理解する方が早そうだ

もともと会計はアメリカで発達した分野なので、英語の原文で理解するのがおすすめではある。

そういえば、昔CPAの試験勉強を始めた時にも財務会計と管理会計という科目があって、同じ会計なのに、どうして区分されているんだろうと思った時もあった。

前置きが長くなったが、財務会計と管理会計の違いは、端的にいうと、会計情報の利用主体にあると考えていい。

財務会計は、投資家等の社外の意思決定主体にとっての会計情報

管理会計は経営者やシニアエグゼクティブ等の社内意思決定主体にとっての会計情報

というように捉えると分かりやすい。

目次

  1. 【財務会計】
  2. 【管理会計】

【財務会計】

財務会計の目的は、日々の取引や営業活動が最終的に(日本であれば)有価証券報告書(上場企業)や、税務申告書に付属している財務諸表に反映・表現されることである

これは、日々の取引を会計システムなどを利用して商業簿記(もう少し厳密にいえば、一般に公正妥当と認められる会計基準=GAAP)のルールのもとに「仕訳」がインプットし財務諸表が形成されていくフローに他ならない

個人事業主の方であれば、自分のビジネスの業績を管理するためにも会計は重要だ。しかし一方で銀行から運転資金や設備投資資金の融資を受ける際に、財務諸表をチェックされる。
銀行の目線では、借金の返済能力があるか、それを裏付ける収益力と健全なバランスシートかを決算書を通じて読み取っている。

上場企業であれば、有価証券報告書や四半期報告書等の開示書類を通じて、バンカー・機関投資家・個人投資家が財務数値を読み、投資意思決定や財務分析・バリュエーションに役立てている

個人で株の売買をする人であれば、投資したい会社の業績やバリュエーションの指標(PERやPBR等)を参考にするだろう。

株価は株式市場において決定されるものの、これらの指標の計算基礎になる財務数値である純利益(Earning)や純資産(Book value)が間違っていたら、正しい投資判断もできなくなる。

重要なことは個人事業主に融資する銀行の担当者であろうが投資家であろうが、このような意思決定や分析は、公表されている財務数値が「客観的に正しく」かつ「信頼できる」との前提に行われることである

そのため財務会計の数値には「主観」ではなく「客観性」・「信頼性」が重要になってくる。そして公認会計士というプロフェッショナルによる「外部監査」が要求され、信頼性が担保されるようなシステムが構築されている

【管理会計】

管理会計はざっくりいえば、Management Accounting - すなわち経営陣 (Management)のための会計になる

事業会社の経営企画や経理にいる人であれば、予実管理や事業計画、原価管理等のトピックで日常的に触れるものだろう。

営業マンでも、日々の営業成績は売上高につながるし、営業部長クラスになると、自分が所属する部門の業績・他部門との比較・社内で設定されているKPI目標と実績管理、みたいなトピックは日常的に耳にするのではないかと思う

管理会計というのは、財務会計にように法的もしくはそれに準ずる制度に基づき行われるものではなく、会社が100社あれば100通りの管理会計手法がある。つまり自社にとって最適な業績管理ができ、経営陣の意思決定に役立てることができれば(原則としては)OKということになる。
もちろん数値は財務会計と整合していなければならないが・・

ここまで書くと、だったら管理会計は内輪の会計管理なのだから、しっかりしたルールはなくても良いのではないか、というと実はそうではない。
管理会計がしっかりしている会社は、結果的に外部のステークホルダーから信頼されると思っている

上場企業を例にとると、Investor Relation (IR)という項目が必ず会社のホームぺージに存在する。IRの情報では決算数値のほかに、中期経営計画(中計)や投資家とのコミュニケーションに使用された資料があり、我々のような外部の個人でも見ることができる

特に中期経営計画は、投資家や専門家(コンサルタントやバンカー等)にとって重要なプレゼンテーションである。将来の事業の成長性や予算と対比した場合の業績進捗度・将来の業績目標等が数値化されている資料は投資家にとっては投資判断に役立つ資料になる

個人的な経験でも中計はM&Aの可能性(買収・売却・資金調達)のポテンシャルを探るのに参考にする資料だったし、提案する際にも内容と数値は頭に入れて臨むようにしていた

中計の数値は、管理会計によって実施される予実管理・予算実務がベースである。これらがしっかりしている会社は、営業活動とパフォーマンスの管理が上手く連携し経営陣の意思決定も説得力の高い情報をもとになされている、という評価ができる

必然的に、そのような会社が市場に対して発するメッセージ(例えば、業績目標や配当水準)は信頼をもって受け止められ、事実日本でも一流といわれる企業はIRや管理会計手法は優れているものが多い(アサヒビール、日立、トヨタがいい例であろう)

自営業のビジネスマンでも、管理会計をしっかりさせKPI管理や業績管理が安定してできるようになると、数字に説得力が出て融資やビジネスの交渉時にプラスに働くと思う

ここにノウハウを出品

この記事を書いた人

後藤 雄二

M&Aアドバイザー

 プライベートエクイティ

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初めまして、後藤と申します。

当方のキャリアを簡単に説明しますと以下のようになります。
・公認会計士試験および証券アナリストに合格
・大手監査法人およびBig4 FASにて会計監査業務・M&Aのデューデリジェンス、バリュエーション、およびアドバイザリー業務に従事
・その後外資系投資銀行にてM&Aアドバイザリー業務に従事。主に日系および外資系の事業法人やPEファンドに対し、買収・売却のアドバイザリー業務を提供

noteでも情報発信をしております
https://note.com/yunolife

M&Aアドバイザリーやコーポレートファイナンス実務の経験を踏まえて、皆様にノウハウをお伝えできればと存じます
どうぞよろしくお願い致します。

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