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この記事でわかること

  • 株式上場の概要
  • 株式上場の目的
  • 株式上場のメリット・デメリット
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はじめに

株式上場(IPO)とは、企業が発行した株式を証券取引所を通じて市場に公開し、広く売買できる状態にすることを指します。

株式上場により、株式市場を通じての資金調達が可能となるほか、上場に必要な一定の基準を満たし、また上場後も株主や社会に対する責任を果たすことにより、社会的な信頼があると見なされることになります。

本記事では、株式上場について、その概要やメリット・デメリットについて解説していきます。ご参考ください。

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1.株式上場の意義と目的

先に解説した通り、株式上場とは、会社が発行する株式を広く市場に公開し、売買可能な状態にすることです。

では、株式上場は企業にとってどのような意義を持つのでしょうか? まずはその意義と目的について解説をしていきます。

なお、株式上場の呼称については、

  • IPO(Initial Public Offering:新規株式公開)
  • 株式公開

といったものもありますが、本記事では株式上場という呼び方に統一します。

①社会から信用できる企業とみなされる

株式の上場を行った企業は、すでに発行済みの株式を売り出す売出や、新たに株式を発行して買い手を募る公募を行い、株式の購入を通じて、投資家から資金を集めることになります。

株式と引き換えに、投資家からお金を預かっているとも言えるでしょう。

そのため上場企業には、資金を提供する株主に対して、経営に関する正確な情報を提供したり、株主に利益を還元したりする責任が発生します。

逆に言えば、上場の審査を通過した企業は、この責任を果たすことのできる企業であると認められた形になります。

こうした社会からの信用を得ることこそが、株式上場の意義です。

②日本を代表する企業のひとつになる

総務省統計局の資料によると、平成28年(2016年)時点での企業数はおよそ385万社。一方、東京証券取引所に上場している企業はおよそ3700社しかありません(2020年1月時点)。

株式を上場し、広く投資家と関わりを持つことのできる企業はほんの一握り。市場を代表する企業として、よくも悪くもその動向には注目が集まることになります。

特に、東京証券取引所の市場第一部(東証一部)は最も審査のハードルが高く、ここに上場することは、日本を代表する大企業と肩を並べることを意味します。

これらのことから、上場企業は一種の社会的ステータスとして、特にベンチャー企業にとってひとつの目標とみなされることが多いのです。

③上場するときは株式市場の特徴を掴むことが重要

前項で簡単に触れましたが、ひと言に株式上場と言っても、株式を売り出す市場は、ひとつではありません。

日本の各証券取引所、すなわち東京証券取引所・名古屋証券取引所・福岡証券取引所・札幌証券取引所、それぞれに複数の市場があります。

【東京証券取引所】(日本のほとんどの取引が行われている証券取引所)

  • 市場第一部(東証一部)
  • 市場第二部(東証二部)
  • マザーズ
  • JASDAQ(スタンダード・グロース)
  • TOKYO PRO Market

【名古屋証券取引所】

  • 市場第一部(名証一部)
  • 市場第二部(名証二部)

【福岡証券取引所】

  • 本則市場
  • Q‐Board

【札幌証券取引所】

  • 本則市場
  • アンビシャス

また、これら各株式市場には異なる上場審査基準が設けられています。

上場審査基準には「形式要件」「上場審査の内容」があり、「上場審査の内容」に沿って市場に適した企業かどうか認めてもらうためには、まず「形式要件」をクリアしなければならない、というイメージです。

以下は東京証券取引所の各市場に設けられた、上場審査基準の形式要件の一部です。

※各審査基準の詳細は、「JPX・上場審査基準」をご覧ください。

※JASDAQのスタンダードは、市場第二部と同じ基準です。グロースについては、新規上場が停止されています(2020年11月時点)
※TOKYO PRO Marketは、プロ投資家向けの市場のため、ここでは省略しています。

各株式市場では、上記のような上場審査基準から、それぞれ異なる特徴を持っています。

東証一部ではいわゆる大企業、東証二部では中小企業、マザーズではベンチャー企業が主に取引している、といった具合です。

株式上場では、まず各市場の上場審査基準上場している企業の傾向を見極めた上で、どの市場に株式を売り出すのが現実的なのか、慎重に選ぶことが大切でしょう。

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2.株式上場のメリット

株式上場の意義について解説してきましたが、具体的にはどのようなメリットが期待できるのでしょうか。

株式上場するメリットは、主に次の5つです。

①資金調達の多様化
②財務体制の強化
③知名度・ブランド力の向上
④健全な経営体制の確立
⑤創業者利潤の確保

①資金調達の多様化

株式上場すれば、資金調達が、未上場企業よりも幅広く行えます。企業をさらに成長させる上で必要なお金を、迅速に集められるようになるのがメリットです。

まず、株式上場によって、投資家からの期待値が上がり、株式を通じた資金調達がよりスムーズになるでしょう。

詳細は後述しますが、株式による資金調達が増えれば、財務体制が自ずと強化されます。それによって、大手金融機関からの融資も受けやすくなるでしょう。

また、株式上場すれば、公募債(不特定多数の投資家を対象にした社債)の発行も可能です。

②財務体制の強化

株式を通じた資金調達で調達した資金は会社の自己資本となり、銀行からの借入などと違い、利息の支払いや元金の返済を行う必要がありません。

株式による資金調達を行い、企業の全体資本における負債の比率を減らすことで、不況時に利息や返済金によって利益が圧迫されることを防げます。

加えて、こうしたこうした財務体制の強化により、より安定した経営が可能になるのです。

③知名度・ブランド力の向上

先ほども述べたように、上場企業は社会的な信用につながります。

銀行からの借入における格付けや、新規顧客の開拓など、さまざまな面でプラスの効果が見込まれるでしょう。

また、上場企業というブランドによって、優秀な人材が集まりやすくなるのもメリットです。

働いている従業員にも、「大手の企業で働いているんだ」という自信が芽生え、会社により貢献してくれる可能性も高くなるでしょう。

④健全な経営体制の確立

上場企業には、株主の保護をはじめ社会的な責任が一層求められるようになります。

会社法や金融商品取引法といった関連法案の遵守をはじめ、ディスクロージャー(情報の開示)コーポレート・ガバナンス(企業経営のあり方を外部から監視する体制)といった仕組みを整えなければなりません。

しかし、外部からの刺激を受けながら取り組むことで、結果として自他ともに認める健全な経営体制を確立できます。

⑤創業者利潤の確保

株式を上場することで、株式の市場への売却が可能となります。

基本的に、株式上場すると株価は大きく上昇するため、株式を多く保有している創業者は多額の売却益を得られるでしょう。

また、取引を通じて、市場での株価が確定するため、発行株式の時価総額を通じて、企業自体の市場価値がどのくらいなのかを知ることができます。

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3.株式上場のデメリット

では、株式上場によるデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

主に考えられるのは、以下の4つです。

①社会的責任の増加
②株主への説明責任
③作業量・コストの増大
④買収リスクの発生

①社会的責任の増大

株式を上場した企業は、その後も継続して、求められる社会的な責任を果たしていかなければなりません。

金融商品取引法、会社法、労働法などをはじめとする法令の遵守はもちろん、社会的なルールや倫理を守ることが、これまで以上に強く求められるようになります。これをコンプライアンスと呼びます。

外部機関による監視体制や、株主からの目、知名度向上による各種マスコミからの注目などを意識し、より慎重な動向が必要になります。

②株主への説明責任

一般的に、発行された株式には株主総会での議決権があります。株主は所有している株式の数に応じて経営に対する影響力を持つことになります。

また、所有株式が1株だけであっても、株主は役員などに対し責任追求の訴えを起こすことが可能です(代表訴訟提起権)。

そのため、経営層は自らの経営判断について、株主に対する十分な説明をしていかなければなりません。

③作業量・コストの増大

上場後には、株式関連の実務に対する労力、およびコストが増します。

実務は、たとえば株主総会の運営のほか、四半期ごとの経営状況の開示、有価証券報告書や事業報告書の作成などです。

そのほか、投資家と良好な関係を築くためのIR活動や、企業による社会貢献事業であるCSR活動といった活動も求められるようになるため、あらかじめ専用の部門を用意する必要もあります。

④買収リスクの発生

上場した株式は、自由に売買することが可能になります。そのため上場企業は、競合他社やファンド等から買収されるリスクを負うことにもなります。

株式の半数を第三者に取得されると企業の経営権を、3分の2以上を取得されると企業の支配権を奪われてしまいます。

特に、景気悪化などにより株価が下落した際には買収リスクが高まるため、注意が必要になるでしょう。

敵対的な買収を防ぐためには、自社で保有する株式の割合を常に調整しておかねばなりません。既存株主に新株を発行する条項を定めて抑止力とする、ポイズン・ピルといった防衛策もあります。

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まとめ

  • 株式の上場には、社会からの信用を高め、多くの企業の中でも選ばれた存在になるという意義がある
  • 株式上場に伴うメリットとして、資金調達手段の増加や財務の健全化、ブランド力の向上といったものが挙げられる。
  • 一方で、デメリットとしては、求められる責任の増加や、それに伴う作業量・およびコストの増大などが挙げられる。
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おわりに

株式上場には、メリットとデメリットが存在しますが、デメリットとされている各種の責務を果たすことこそが、上場企業が社会的な信用力を得られることの理由でもあります。

株主や社会からの要請に真正面から向き合い、応えていくことが、結果として企業の価値を高めることに繋がるということを忘れないようにしてください。

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