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この記事でわかること

  • 非上場企業の株価評価によく利用される国税庁方式3つの計算式
  • 国税庁方式を用いるときに役立つ選定手順
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はじめに

非上場企業株価は、取引事例がないため特定の評価方式で求めるのが通例です。

この記事では、代表的な方法である国税庁方式の種類と適切な選定手順を解説します。

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1.非上場企業の株価評価

国税庁が定める株価評価方式には、次のようなものがあります。

方式概要
①類似業種比準方式評価したい株式を保有する企業が該当する、類似業種の数値を用いて算出する方法
②純資産価額方式評価したい株式を保有する企業の資産を、相続税評価額に修正した上で算出する方法
③配当還元方式評価したい株式の配当金から算出する方法
④S1+S2方式株式とそれ以外の評価額を別々に算出する方法
⑤清算分配見込金額主に清算中の企業に適用される金額

それぞれ、順に解説しましょう。

①類似業種比準方式

評価したい株式を保有する企業の数値と、国税庁の「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等」で公開されている数値を用いながら、算出を行います。

類似業種比準方式の計算式

※各記号の意味

A=類似業種の株価

B=類似業種の1株あたりの平均配当

C=類似業種の1株あたりの平均利益

D=類似業種の1株あたりの平均純資産

b=評価したい株式を保有する企業の1株あたりの配当金

c=評価したい株式を保有する企業の1株あたりの利益

d=評価したい株式を保有する企業の1株あたりの純資産

X=評価したい株式を保有する企業が大会社なら0.7、中会社(大中小問わず)なら0.6、小会社なら0.5(詳細後述)

②純資産価額方式

評価したい株式を保有する企業の、貸借対照表の数値を相続税評価額に修正しながら、算出を行います。

純資産価額方式の計算式

※純資産価額

相続税評価額に修正した各資産の価額を元に算出

※評価差額に対する法人税等に相当する金額

次の計算式で求める。

相続税評価額による純資産価額-帳簿価額による純資産価額)×37%

③配当還元方式

評価したい株式の、これまでの配当金などから算出を行います。

配当還元方式の計算式

※年配当金額

次の計算式で求める。

④S1+S2方式

株式以外の評価額S1と、株式の評価額S2を別々に求めて加算します。

・S1の計算式

評価したい株式保有する企業が大会社であれば<計算式1>、中会社(大中小いずれも含む)であれば<計算式1>と<計算式2>の併用、小会社であれば<計算式2>を用いて求めます。

<計算式1>

※各記号の意味

A=類似業種の株価

B=類似業種の1株あたりの平均配当

C=類似業種の1株あたりの平均利益

D=類似業種の1株あたりの平均純資産

b=評価したい株式を保有する企業の1株あたりの配当金

c=評価したい株式を保有する企業の1株あたりの利益

d=評価したい株式を保有する企業の1株あたりの純資産

e=b×受取配当金収受割合

f=c×受取配当金収受割合

g=h+i(dを限度とする)

h=g×評価対象企業が保有する株式&出資の合計額/帳簿価額によって計算した評価対象企業の純資産価額

i=評価対象企業の1株あたりの収益積立金額

X=評価したい株式を保有する企業が大会社なら0.7、中会社(大中小問わず)なら0.6、小会社なら0.5(詳細後述)

<計算式2

※総資産価額

相続税評価額に修正した各資産(株式などを除く)の価額を元に算出

※評価差額に対する法人税等に相当する金額

次の計算式で求める。いずれも株式に係るものを除く

相続税評価額による純資産価額-帳簿価額による純資産価額)×37%

・S2の計算式

⑤清算分配見込金額

評価したい株式を保有している企業が、清算をした際に生じる分配金を元に算出します。

清算分配見込金額の計算式
清算分配見込金額=清算の結果生じる分配の見込金額×特定の期間に応ずる基準年利率による複利現価率
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2.株価評価法の選定2ステップ

国税庁の株価評価方法を用いる場合、評価したい株式を保有している非上場企業がどの方式が適用できるのかを、把握することも重要です。以下に、一般的な選定手順をご紹介するのでご参考ください。

なお、ここで言う企業は評価したい株式を保有している非上場企業、株主およびその一族は評価する株式を取得する者とします。

①同族株主等か否か

まずは、株主に注目してください。以下の沿って判別することで、配当還元方式かそれ以外の評価方式かに分けることができます。なお、配当還元方式で評価することを特例的評価方式とも言います。

・企業に同族株主がいる場合

同族会社か否かによるフローチャート詳細版2(同族株主がいるケース).png

・企業に同族株主がいない場合

同族会社か否かによるフローチャート詳細版2(同族株主がいないケース).png

②一般の評価会社か否か

同族株主等か否かを判別したら、次に企業に注目しましょう。これによって、どの評価方式を利用すればよいか判断することができます。

・一般の評価会社

下記の特定の評価会社に該当しない場合は、次のような計算式で求めることとなります。この方法を原則的評価方式と言います。

会社の区分算定手法
大会社類似業種比準価額
中会社の大類似業種比準価額×0.9+純資産価額×0.1
中会社の中類似業種比準価額×0.75+純資産価額×0.25
中会社の小類似業種比準価額×0.6+純資産価額×0.4
小会社純資産価額

※各会社の区分について

詳しくは国税庁・4 取引相場のない株式等の評価(会社規模の判定基準の見直し等)・(参考)会社規模の判定基準を参照

※評価について

いずれも純資産価額のほうが低い場合は、純資産価額のみで評価

※S1+S2方式の判定

前章で紹介したS1+S2方式の、会社規模に応じた割合もこれに準ずる

・特定の評価会社

特例的評価方式が適用される会社一覧.png

(※)株主および同族関係者の、株式取得時の保有率が50%以下の場合のみ適用可能

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まとめ

  • 非上場企業の株価評価では、国税庁の方式がよく用いられるのは。類似業種比準方式・純資産価額方式・配当還元方式・S1+S2方式・清算分配見込金額がある。
  • 方式を用いる場合は、まずは取引する株主が同族株主等に該当するか判別しよう。次に評価したい株式を保有している企業が、一般の評価会社か特定の評価会社か判断するとスムーズになる。
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おわりに

国税庁の方式は、多くのシーンで活用されますが万能なわけではありません。

別の株価評価方法も視野に入れ、目的に合った算出をすることが大切です。

また、最初にご紹介したように、KnowHowsでは、DCF法のほか複数の計算方式で株価を算定できる株価算定ツールをご用意しました。

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