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この記事でわかること

  • 譲渡制限株式の意味や制限を設定する理由
  • 非公開会社・公開会社・非上場企業・上場企業の違い
  • 譲渡制限株式の譲渡パターン3つの詳細
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はじめに

企業が発行する株式には、譲渡が制限されたものがあります。これを譲渡制限株式と呼びます。

譲渡制限株式を企業や個人に譲り渡す際、基本的には発行会社の承認が必要です。

譲渡の制限は、特に中小企業においてさまざまなメリットをもたらします。この記事では、譲渡制限株式の概要や目的、譲渡の手続きなどについてまとめていきます。

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1.譲渡制限株式とは

譲渡制限株式とは、譲渡の制限された株式のことを言います。

設立間もない企業や中小企業など、規模がそこまで大きくない企業が発行する株式は、基本的に譲渡制限株式であることがほとんどです。

この章では、譲渡制限株式の理解を深めるために、そもそも株式譲渡とは何かについてから解説します。それを踏まえた上で、譲渡制限を設定する目的についてご紹介しましょう。

①譲渡制限株式=株式譲渡が制限された株式

株式譲渡とは、保有している株式を、親族やそれ以外の投資家、あるいは企業に譲り渡す行為を言います。

たとえば株主Aさんが保有している100株のうち、50株をB社に譲り渡せば、それは株式譲渡です。またこのとき、AさんはB社から対価を得るので、株式譲渡は株式の売買行為と言うこともできます。

譲渡制限株式は、以上のような行為を抑制するものです。

もしこの株式を売買したいのであれば、その株式を発行した企業に承認の請求をする(譲渡承認請求)必要があります。

「勝手に我が社の株式を売買してはダメ。どうしてもしたいなら、こちらに相談してください」という意図があることになります。

②なぜ譲渡制限をするの?

株式の譲渡制限は、株式を発行する企業が決定します。

では、なぜ譲渡制限をするのでしょうか。その主な目的は下記3つとなります。

  1. 経営権を守るため
  2. 株式の所在を明確にするため
  3. 事業承継後のトラブルを抑制するため

順に解説します。

(1)経営権を守るため

1つ目は、株式を発行する企業が経営権を守るためです。

株式には、通常、議決権と呼ばれる権利が付いています。議決権とは、株主が株主総会で賛成 or 反対の投票ができる権利で、ある一定数を持っていると経営権を握ることもできます。

従ってもし株式が自由に譲渡できたとしたら、ある企業が、知らず知らずのうちに議決権数を増やして自社の経営に大きく干渉してくる、といった可能性が生まれてしまうのです。

株式の譲渡制限は、そうした別の企業の乗っ取りを避けるための手段となります。

(2)株式の所在を明確にするため

2つ目は、株式の所在を明確にできるためです。

譲渡制限をしておけば、仮に譲渡が行われるにしても企業が間に入るため、誰が何株持っているのかを把握できます。

これにより自己株式を取得するときや、事業承継の後継者のために株式を買い集めるときなどの手続きが容易になります。

(3)事業承継後のトラブルを抑制するため

3つ目は、事業承継後のトラブル発生を抑制するためです。

場合にもよりますが、事業承継の後継者は周りの株主から「ちゃんと事業を運営してくれるのだろうか」「今後の利益は大丈夫なのだろうか」と不安を持たれることがあります。

このとき譲渡制限しておくことで、たとえば後継者をよく思わない株主が株式を買い集め、企業の経営権を後継者から奪う、といったトラブルを未然に防げます。

③譲渡制限株式と非公開会社・公開会社の関係性

譲渡制限株式と深く関わるものに、非公開会社公開会社という2種類の概念があります。これは会社法で規定されているため、一緒に把握しておきましょう。

まず非公開会社は、発行した株式すべてが譲渡制限株式である会社を言います。

一方、公開会社とは、1株でも譲渡制限がついていない株式を発行している会社のことです。

これら2つの会社は、よく公開会社=上場企業、非公開会社=未上場企業と混同されがちですが、まったくの別物です。公開会社でも上場していない企業はあるので、注意しましょう。

非公開会社公開会社
すべて譲渡制限株式譲渡制限なしの株式+譲渡制限 株式、もしくはすべて譲渡制限なしの株式
未上場企業のみすべての上場企業+一部の未上場企業
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2.譲渡制限株式の主な譲渡パターン

譲渡制限株式を譲渡する際、その株主は基本的に、株式の発行企業に対して譲渡の承認を求めねばいけません。

その流れはいくつかのパターンに分かれ、下記のようにまとめられます。

以下で、それぞれを詳しく確認していきましょう。

①株主から企業へ譲渡されるパターン

最初にご紹介するのは、株主から、株式を発行した企業へ譲渡されるパターンです。こちらは、さらに2つのケースに分けることができます。

・譲渡と株式の売買価格が合意されているケース

1つ目は、譲渡そのものと、株式の売買価格が合意されているケースです。

この場合は、株主から譲渡承認請求をしてもらえれば成立となるので、最もスムーズな譲渡とされます。

・譲渡は決まったが株式の売買価格が決まっていないケース

2つ目は、譲渡そのものは決まったものの、株式の売買価格が決まっていないケースです。

この場合は、株主から譲渡承認請求をしてもらったあとに、売買価格の協議を行います。交渉が成立しなかった場合は、裁判所に決定してもらうこともあります。

以上2つのケースは、よほどのことがなければ平和的とされています。

ただし特定の株主からの株式を企業が直接買い取るときは、株主平等の原則に従い、株主全員にその機会を与えなければいけません。従って、実務では、株主から、一度第三者を経由して行われることもあります。

②企業が株主の株式を強制的に買い取るパターン

企業が株主の株式を強制的に買い取るパターンもあります。

企業は、次の条件を満たせば、株主の同意なくして株主が保有する株式を取得することが可能です。

  • 相手が、相続その他一般承継により株式を取得した者であること
  • その人に対して買取の請求ができる旨を、事前に定款に定めていること
  • 相続等があったことを知った日から1年以内に請求していること

上記でお伝えしたように、特定の株主から株式を譲渡してもらう場合は、株主全員に通知しなければいけません。しかし、以上の条件を満たして強制的に買い取る場合は、適用されないとされています。

③株主から第三者へ譲渡されるパターン

最後にご紹介するのは、譲渡制限があるにも関わらず、企業の承認なしで株主が第三者へ譲渡してしまうパターンです。

たとえば株主Aさんが第三者であるBさんに、譲渡制限株式を株式発行企業の承認なしで渡したとしましょう。

この場合、AさんとBさんの間では譲渡は成立しています。しかし、企業が取得したことを承認しなければ、Bさんは正式な株主となることはできません。

従って、このパターンでは、第三者が企業に対して取得承認請求が行うのが一般的です。

もし、企業がBさんの取得承認請求に応じなければ、Bさんが取得している株式を企業が買い取ることになります。売買価格の協議を行い、交渉が難航した場合は裁判へ移ります。

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まとめ

  • 企業が発行する株式には、譲渡が制限されたものがある。これを譲渡制限株式と言い、基本的には企業の承認が必要となる。
  • 株式に譲渡制限が付けられる主なメリットは3つ。経営権の保守、株式の所在の明確化、事業承継後のトラブルの抑制。
  • 譲渡制限株式の譲渡パターンはさまざま。株主から企業へ譲渡されるパターンだけでなく、企業が株主の株式を強制的に買い取るパターンや、株主から第三者へ譲渡されるパターンなどがある。
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おわりに

譲渡制限株式は、資金調達や事業承継、M&Aなどさまざまなシーンにおいて関わるものです。

こちらの記事と合わせて、ご自身の目的にあったKnowHowsの他の記事も、ご覧にいただければ幸いです。

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