【無料】株式譲渡契約書のひな形(詳細版:簡易版もあり)と契約のコツ│民法改正対応済
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株式を第三者に譲渡する場合、さまざまな手続きが必要となります。
パンやリンゴといった商品と異なり、株式は会社の経営権を左右するものであるため、会社法という法律によって、手続きのルールが定められているのです。
この記事では、株式譲渡の手続きに関する基本的なルールと、譲渡を制限された特別な株式(これを譲渡制限株式と呼びます)の譲渡手続きについて解説していきます。
>>譲渡制限株式とは?特徴やメリット・各種手続きについて解説!
円滑に手続きをするために、必要な知識をここで掴んでみてください。
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株式譲渡も含め、お悩みの際はぜひご活用ください。
早速、株式譲渡の手続きについて解説しましょう。基本的なプロセスは、以下のとおりです。
以下、各項目について詳しく見ていきます。
株式譲渡の手続きを行う際には、まず譲渡制限の有無を確認する必要があります。上記でご紹介したように、付いているかいないかによって手続きの仕方が変わるからです。
株式の譲渡制限とは、自由に株式の売買ができないようにした縛りのようなものを言います。第三者による敵対的買収を防ぐことができるため、中小企業やスタートアップ企業では設けるのが一般的です。
なお、対象となった株式を譲渡制限株式と言い、譲渡制限株式のみを発行している企業を非公開会社、1株でも譲渡制限がついていない株式を発行している企業を公開会社と言います。
詳しくは下記で紹介しているので、あわせて参考にしてください。
>>譲渡制限株式とは?特徴やメリット・各種手続きについて解説!
この譲渡制限株式を発行するためには、定款に「当社の株式を譲渡により取得するには当社の承認を要する」などと記載しておかなければいけません。
従って、株式に譲渡制限が付いているか確認するためには、定款を見ればいいことになります。
定款で譲渡制限がないことが確認できたら、この章の「②株式譲渡契約を行う」へと進んでください。
一方、譲渡制限がある場合は、発行した企業の承認が必要となります。どのような流れなのかは、第2章「譲渡制限株式の譲渡手続き」で詳しく紹介しています。
株式譲渡を実行するためには、株式譲渡契約の締結が必要です。
株式譲渡契約書を作成し、株式を譲渡する側(譲渡人)と株式を受け取る側(譲受人)の記名押印、または署名を行います。
以下、株式譲渡契約書に記載する主な事項です。
株式譲渡契約書に記載する主な事項 | 具体的な記載内容 |
---|---|
目的 | 誰が誰に、いつ、どんな株式を何株譲渡するのか |
譲渡価格 | 譲渡によって生じる対価はいくらか。代金はどのように支払うのか |
譲渡承認 | 譲渡人が発行企業の株主総会の承認を得なければいけない旨 |
誠実交渉 | 契約に含まれない事項いや契約文の解釈の違いによって生じたトラブルに対しては、譲渡人・譲受人双方が誠実に対応する旨 |
合意管轄 | 契約によって生じた紛争処理について、どこの裁判所が専属的合意管轄裁判所となるのか |
KnowHowsでは、株式譲渡契約書の簡易版を、下記からダウンロードすることができます。
株式譲渡契約を締結したら、譲渡人と譲受人が発行企業に対して株式書換請求を行います。請求を受けた企業は速やかに株主名簿を変更し、証明書を交付します。下記に必要書類をまとめました。
株式譲渡では、最初に株式の譲渡制限の有無を確認します。
そこでもし、譲渡制限が付いている株式だった場合、次のような手続きが必要です。
株式譲渡契約や名義の書き換えは、譲渡制限株式が付いた株式の譲渡と基本的には大きく変わることはありません。ですので、ここでは①~③について詳しくご説明します。
譲渡承認請求とは、譲渡制限株式を譲渡するときに、株主が発行した企業にその譲渡を認めてもらうように請求することです。
わかりやすく言えば、「企業さん。私の株式を別の方に売りたいのですが、してもいいですか?」と企業に許可を求める行為となります。
実際に、譲渡承認請求が行われる場合は、株主から譲渡承認請求書が提出されます。
内容は主に、株主の名前や住所、株式を譲り受ける相手の名前や住所、実際に渡される株式の数など。加えて、譲渡が非承認だった場合に、企業(もしくは企業の指定買取人)に買取請求をするかどうかの旨が記載されるのが一般的です。
株主から譲渡承認請求を受けたら、企業は譲渡を承認するか不承認とするか決定するため、取締役会もしくは株主総会を開催します。
取締役会であれば、取締役に開催日の1週間前までに開催の旨を通知。株主総会であれば、株主に開催日の1週間前までに開催の旨を通知しなければいけません。
③請求してきた株主に結果を通知する
取締役会(or 株主総会)で認否の結果が出たら、株主にその旨を通知します。
「譲渡承認請求に対する認否通知書」と題し、株主の名前、企業名と代表者の名前、決定事項を記載した書類を送付するのが一般的です。
なお、譲渡を不承認とする場合は、株主から譲渡承認請求があってから2週間以内に通知しなければいけません。その期限を過ぎてしまうと、譲渡は承認になると規定されています。
企業が株式譲渡を承認したら、あとは譲渡制限が付いていない株式の譲渡と同様の手続きです。
第1章の「②株式譲渡契約を行う」で記したように、譲渡人と譲受人による株式譲渡契約の締結、株主名簿の書き換えなどを行います。
最後に、株式譲渡手続きにおける注意点をご紹介します。
1つ目は、譲渡制限株式の買取請求が行われたときです。
譲渡制限株式の譲渡が株主総会で不承認となったとき、株主が発行企業に対して、保有している株式を買い取ってほしいと求めてくることがあります。
買取請求の大まかな流れは、次のとおりです。
順に解説しましょう。
買取請求があった場合、株主総会の特別決議で、企業で買い取る旨と買取数を決定します。
特別決議を行ったら、株式買取通知書を株主に送ります。
このとき注意しなければならないのは、譲渡不承認の通知から40日以内に、送付を行うこと。期限が過ぎると譲渡が承認されたものとみなされてしまうからです。
株主に株式買取通知書に交付するのと合わせて、現在の1株あたりの純資産額に、対象株式の数を掛けて算出した金額の供託をします。
供託とは、金銭等を供託所(本店所在地を管轄する法務局など)に預けることです。これによって、株主に対して「きちんとお金を支払いますよ」という意思を見せることになります。
株主に通知が届き、株主が売買価格について納得できないとなれば協議を行います。
なお、協議が難航した場合、裁判所に売買価格の決定を申し立てることになります。ただし、申し立てには企業から株主への買取通知があってから20日以内と期限があり、間に合わなかった場合は供託金額が売買価格として扱われるので注意が必要です。
売買価格の協議が終了したら、決定した金額と供託金との差額を株主に対して支払います(供託金に関しては、株主が法務局で手続きをします)。
2つ目の注意点は、株式譲渡によるM&Aなどを行う場合です。
この場合、基本的に売り手企業が発行している株式の過半数から全部を譲渡することになります。
そのため、もし譲渡側以外の株主が売り手企業の発行株式を保有している場合は、譲渡側がその株主から株式を買い集めるなどの手続きが必要となる場合があります。
また、M&Aでは、売り手企業が不都合な情報を隠していないことを保証させる内容が、契約書に盛り込まれるのが一般的です。
従って株式譲渡契約書においても、そうした表明・保証の内容が基本的には記載されます。
その際、後のトラブルを避けるために、売り手企業自身が知りえない事項や軽微な表明・保証違反については責任を負わないとする旨の記載も必要とされています。
3つ目の注意点は、株式譲渡に伴う課税です。
株式譲渡では、売り手側に、対価として得た利益(譲渡益)に対する譲渡益課税や法人税が発生します。この税負担は、株価が高ければ当然ながら利益額も多くなるため、大きいものとなります。
ただし税負担を軽減しようとして、あえて時価よりも低い株価で株式譲渡を実施すると、今度は贈与とみなされる可能性があります。
売り手企業に変わらず譲渡益課税などが生じるだけでなく、買い手企業にも贈与税が発生するので注意が必要です。
従って、株式譲渡は、適正な株価評価を行った上で実施することが重要となります。
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株式譲渡は、企業の実態や取締役会(株主総会)の結果によって、手続きの内容が変わります。
この記事で基本的な流れをおさえたら、他の記事にも目を通し、自社の状況にあった知識を取り入れるようにしてください。
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