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この記事でわかること
- 中小企業(非上場企業)の株価算定がどのようにして行われるか
- 株価算定フローの種類について
- 株式の評価にはどのような種類があり、どのようにして評価されるか
はじめに
上場企業は証券株式取引所で株式を公開しているので、株価をすぐに把握することが可能です。では、株式公開していない中小企業(非上場企業)はどのようにして株価を算定すればよいのでしょうか。
株価算定はM&Aや相続、ベンチャーキャピタルからの出資を受けるためにも、必ず必要となります。そこで本記事では、中小企業の株価算定フローを徹底的に解説し、株式の評価方法についても説明していきます。
経営戦略を立てる上でも株価算定は重要なので、基礎を抑えておきましょう。
またKnowHowsでは、従来は専門家に依頼していた株価計算を無料で行える「株価算定ツール」もご用意しています。
DCF法・純資産法・競合会社比較法の3つの代表手法を用いて、自社の株価を本格計算。
従来は数十万円のコストが必要だった株価算定を、手軽にご利用でき、税理士監修の株価算定書を出力することも可能です。
株価算定をご検討の際はぜひ、ご活用ください。
1.中小企業(非上場企業)の株価算定判定フロー
中小企業(非上場企業)の株価を算定する前に、その企業に同族株主がいるかいないかを判明させなければなりません。同族株主の有無によって、株式の評価方法が異なるためです。
企業の株主のうち、同族関係者グループ(一人に株主とその同族関係者たち)が保有する議決権割合が30%以上である場合、その株主と同族関係者のことを同族株主といいます。
なお、議決権割合が50%以上を占める同族関係者グループがいた場合、該当の同族関係者グループを「同族株主」とみなし、30%以上の議決権を持っているグループは「同族株主」とはなりません。
一方、議決権割合が30%未満の同族関係者グループで構成されている場合には、「同族株主がいない会社』となるので覚えておくと良いでしょう。
本章では同族株主がいる場合といない場合の株式評価方法の判定フローを解説していきます。
①同族株主がいる場合
②同族株主がいない場合
2.株式の評価方法
ここでは実際にどのように株式を評価するのかを解説していきます。上記のフローで該当した評価方法を参考にしましょう。
①原則的評価方法
原則的評価方法では、評価対象の企業を従業員数や純資産価額、売上高などで大会社、中会社・子会社に分類します。大会社は類似業種比準方法、子会社・中会社は純資産価額方式で株式を評価することが原則です。
純資産価額方式
純資産価額方式では、株式を会社の財産として捉え、純資産額から株式の評価額を算出していきます。
まず課税時期に会社が保有している資産・負債を相続税評価額で評価します。次に資産から負債を引いて、相続税評価額をベースとした純資産額(①)を求めます。
続いて、税務上の帳簿価額の資産から負債を差し引き、帳簿上の純資産額(②)を算定しましょう。
(①)から(②)を引くと、含み益(③)がわかります。含み益(③)の37%は法人税として(①)から控除した金額が 純資産額となり、発行済み株式数で割ると1株当たりの評価額が明らかになります。
■計算式
※補足①
※補足②
37%の内訳は、以下のとおり。
法人税…23.4%
地方法人税…1.03%
事業税…6.7%
地方法人特別税…2.89%
道府県民税…0.75%
類似業種比準方式
類似業種比較方法は、業務内容が類似している複数の上場企業の株価と比較して、株価を評価します。株価の平均値、1株当たりの配当金額、1株当たりの年利益金額、1株当たりの純資産価額を乗じて求めていく方法です。
たとえば、ファッションに関する事業を行なっている会社であれば、同じようなアパレル企業の数値を参考にし、株式の価額を決めていきます。
■計算式
類似業種の株価(①)× 勘酌率(②)× 比準割合(③)
少し複雑なので、①〜③について解説します。
①:類似業種の株価
「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等」から類似業種の株価を求めましょう。
なお、類似業種の株価は課税時期が含まれる前の過去3ヶ月間の平均株価、前年平均株価、前2年間の平均株価において、一番低い株価を採用します。
②: 勘酌率
公平に評価するために、会社の規模によって異なる勘酌率を乗じます。
大会社 0.7
中会社 0.6
子会社 0.5
③:比準割合
続いて、利益額を算出していきます。自社と類似した業務内容の企業の「配当金額」「年利益金額」「純資産価額」を用いて、数字を割り出すことが可能です。
(評価会社の1株当たりの配当金額÷類似業種企業の1株当たりの配当金額)+(評価会社の1株当たりの年利益金額÷類似企業の1株当たりの年利益金額)×3+(評価会社の1株当たりの総資産価額÷類似業種企業の1株当たりの純資産価額)
②特例的評価方法
特例的評価方法は、配当還元方式を採用することになります。
同族株主以外の株主は、会社への支配力や影響力がありません。株式を保有している理由は、配当が目的であると考えられていることから、配当額をもとに評価される配当還元方法が用いられています。少数株主企業にあたる場合には、配当還元方式を採用することが多いです。
通常、株式の評価は会社の財産価値を表すものであるため、適正な評価のためには保有している財産の全てに目を向ける必要があると考えられています。一方、配当還元方式は株主に配当される金額に着目するため、先述した純資産方法、類似業種比準方式よりも株式価額が下回ることがほとんどです。
配当還元方式
配当還元方式の計算方法は、下記の計算式で求められます。
※年配当金額の算出方法
ただし、2円50銭未満になる or 無配である場合は、2円50銭とする
まとめ
- 株式評価の方法は、同族株主の有無によって左右される。
- 通常株式の評価を行う際には原則的評価方法を採用する。
- 少数株主の場合には特例的評価方法を採用するが、原則的評価方法よりも株式価額が低くなることが一般的。
おわりに
中小企業や少数株主企業であっても、株式の評価は必要となります。本記事で解説した「純資産方法」「類似業種比準方式」「配当還元方式」それぞれの概略を把握しておきましょう。
なお、KnowHowsでは、このDCF法のほか複数の計算方式で株価を算定できる「株価算定ツール」をご用意しています。
税理士監修のもと、必要な項目を入力するだけで本格的な株価算定が可能です。
計算は無料でご利用できますので、本記事とあわせてぜひお役立てください。
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