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この記事でわかること

  • 株式価値算定書の必要性、掲載内容、作成方法
  • 株式価値の算定の具体的な手順
  • 株式価値の算定方法の手法と留意点
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はじめに

株式価値算定書(株価算定書)とは、さまざまな評価方法をもとに、企業の1株あたりの株価を算定し、記した書類です。

この記事では、株式価値算定書の必要性や作成方法などの基本的な情報や、株価の算定方法についてご紹介していきます。

またKnowHowsでは、従来は専門家に依頼していた株価計算を無料で行える「株価算定ツール」もご用意しています。

DCF法・純資産法・競合会社比較法の3つの代表手法を用いて、自社の株価を本格計算。
従来は数十万円のコストが必要だった株価算定を、手軽にご利用でき、税理士監修の株価算定書を出力することも可能です。

株価算定をご検討の際はぜひ、ご活用ください。
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1.株式価値算定書(株価算定書)とは

最初に、株式価値算定書の必要性、掲載内容、作成方法を見ていきましょう。

①株式価値算定書の概要

株式価値算定書は、税理士や公認会計士などの専門家がある企業の株価を計算した結果を記載したものです。

ただ算定した結果だけでなく、「いつの情報をもとに」「どのような手法で」算定したかも記載され、専門家が一定の手法のもとで計算を行ったことを証明する書類となります。

②株式価値算定書が使われるシーン

株式価値算定書は、ある会社の適正な株価が必要となる場合に必要となります。
特に、株式を上場しておらず、市場での客観的な株価を知ることができない会社が対象となります。

一例として、下記のようなケースで株式価値算定書が使用されます。

  • 株主や投資家から資金調達をするとき
  • ストック・オプションの権利行使価格を決めたいとき
  • 銀行からの融資を受けたいとき
  • M&Aを実施するとき
  • 反対株主が納得するような説明をしたいとき
  • 事業承継で税務上のリスクを回避したいとき

②株式価値算定書の掲載内容

株式価値算定書には、主に以下の項目が記載されます。

  • 報告書日付
  • 宛先(依頼人)名
  • 報告社(受託者名)
  • 評価報告書の目的
  • 評価結果の報告
  • 評価基準日
  • 評価の手続
  • 業務受託の前提及び責任の限定
  • 留意事項 (例示)
  • 評価の具体的内容
  • 添付資料 (会社から入手した資料、外部入手情報、評価人が作成した資料)

(引用:日本公認会計士協会・企業価値評価ガイドライン pp154-155

この他に、結果に対する問題点や改善点などが添えられることもあります。

③株式価値算定書の作成方法

・公認会計士等に依頼する

公認会計士や税理士などに依頼する方法です。料金の相場は20~30万円ですが、事務所や依頼状況によって変動しますので、必ず事前確認するようにしてください。

・KnowHowsのサービスを利用する

KnowHowsでは、株価を自動計算し、そのまま算定書を出力できるツールをご用意しています。株価計算は無料で、算定書の出力も有料で行えます。

算定結果については、後述するマーケット・アプローチ(DCF法)、インカム・アプローチ(類似会社比較法)、コスト・アプローチ(純資産法)の3つの手法から導き出しており、従来のツールよりも詳細な結果が得られます。

他にも便利な機能を搭載しているので、ぜひ利用をご検討ください。

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2.株式の価値算定方法


株式の価値算定が必要になった際は、株式価値算定書を専門家に作成してもらうのが通例です。

しかし、株主に適切な説明をするなどのためには、「この株価はどのような算定手順で導き出されているのか」「なぜこの算定方法を用いているのか」といった内容を理解しておくに越したことはありません。

以下に、株式の価値算定で用いられる、

  1. マーケット・アプローチ
  2. インカム・アプローチ
  3. コスト・アプローチ

の3つについてご紹介します。

①マーケット・アプローチ

株式市場などの客観的数値を元に、評価をする手続きを言います。

・類似会社比較法

評価したい株式を保有する企業(以下、評価対象企業)と、業種・業界、規模、成長性などが似ている上場企業(以下、類似上場企業)を比較しながら算定を行う方法です。

算定手順
A.類似上場企業の時価総額を当期純利益や純資産額といった財務数値で割り、特定の数値を算定する
B.算定した数値を、評価対象企業の財務数値に掛けて株式価値を算定する。掛け算の対象となる財務数値は、Aで用いた項目と同じ(当期純利益で倍率を求めていたなら、同じく当期純利益にする)
C.株式価値を発行済株式数で割る

・株式市価法

株式市場の株価から算定を行う方法です。

算定手順
A.一定期間内の各終値を調べる
B.異常値がないか確認する
C.一定期間内の終値の合計値を、日数で割る

・類似業種比準方式

国税庁が定めている方式です。同庁が公開している類似業種の平均値を元に、特定の計算方法で算定を行います。

算定手順
A.評価対象企業の、1株あたりの配当・1株あたりの利益・1株あたりの純資産を求める(1株あたりの資本金等の額を、50円とした場合の金額として計算)
B.評価対象企業が、国税庁の定める大会社・中会社・小会社のどれなのか調べる(国税庁・財産評価178(取引相場のない株式の評価上の区分)を参照)
C.類似業種の株価・1株あたりの配当・1株あたりの利益・1株あたりの純資産を確認する(詳しい数字は、国税庁が公開している「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等」に記載)
D.評価対象企業の1株あたりの配当を類似業種の1株あたりの配当、評価対象企業の1株あたりの利益を類似業種の1株あたりの利益、評価対象企業の1株あたりの純資産を類似業種の1株あたりの純資産でそれぞれ割る
E.Dで求めた数値を足し合わせて3で割る
F.Eで求めた数値に、類似業種の株価と調整率を掛ける(調整率は大会社なら0.7、中会社なら0.6、小会社なら0.5)

②インカム・アプローチ

評価対象企業の収益や配当金を元に、評価する手続きを言います。

・DCF法

価値評価において広く使われている方法です。評価対象企業が将来生み出すフリーキャッシュフロー(FCF)の現在価値を求め、その上でさまざまな価値を加算減算するなどして求めます。

算定手順
A.今後5~10年の財務諸表を作成する
B.Aを元に、各期で獲得するであろうフリーキャッシュフローを予測して算定する
C.株主資本コストを算定する
D.有利子負債コストを算定する
E.株主資本コストと有利子負債を元に、WACC(加重平均資本コスト)を算定する
F.残存価値を算定する
G.各期のフリーキャッシュフローと残存価値それぞれの現在価値を、WACCを使って算定する
H.Gで算定した数値を足し合わせて、事業価値(EV)を算定する
I.事業価値(EV)に非事業価値を足して、企業価値を算定する
J.企業価値から有利子負債を引いて、株式価値を算定する
K.株式価値を発行済株式数で割る

(※)株主資本コストや有利子負債コストなどの計算式は、別の記事で詳しく紹介しているので参照してください

・配当還元法

将来生み出す配当金の現在価値から、算定する方法です。ただ未来の配当金は予測が難しいことから、配当金は一定の割合で成長していくと仮定して計算されることが、しばしばあります。

算定手順
A.評価対象企業の1年後の配当金を予測する
B.株主資本コストを算定する
C.配当総額を当期純利益で割って、配当性向を算定する
D.1から配当性向を引いて内部留保率を算定する
E.当期純利益を株主資本で割り、さらに100を掛けてROE(株主資本利益率)を算定する
F.内部留保率にROEを掛けてサステイナブル成長率を算定する
G.株主資本コストからサステイナブル成長率を引く
H.1年後の配当金をGで割る

・配当還元方式

国税庁が定めている方式です。配当還元法と名前が似ていますが、こちらは、過去の配当金額を元に算定を行います。

算定手順
A.評価対象企業の、2年間の配当金額平均値を算定する
B.評価対象企業の、株式1株あたりの資本金等を50円とした場合の発行済株式数を算定する
C.AをBで割り、年配当金額を求める
D.年配当金額を10%で割る
E.評価対象企業の、株式1株あたりの資本金等の額を50円で割る
F.DとEを掛ける

③コスト・アプローチ

評価対象企業の貸借対照表の数値を元に、評価する手続きを言います。

・純資産法

資産から負債を引くと計算できる純資産額を元に、算定を行う方法です。簿価をそのまま利用する簿価純資産法、一部の勘定科目を時価に修正する修正純資産法、すべての勘定科目を時価に修正する時価純資産法があります。ここでは、実務で使われることの多い修正純資産法の手順をご紹介しましょう。

算定手順
A.評価対象企業の主要勘定科目を時価に修正する
B.含み損益や税効果を加味した純資産価額を算定する
C.純資産価額を発行済株式数で割る

・純資産価額方式

国税庁が定める方式です。算定の流れは純資産法とほとんど同じですが、こちらは簿価を相続税評価額に修正した上で算定します。

算定手順
A.評価対象企業の主要勘定科目を相続税評価額に修正し、総資産価額を算定する
B.有利子負債の合計を算定する
C.相続税評価額による純資産価額から帳簿価額による純資産価額を引き、法人税率等の合計割合(37%)を掛ける
D.AからBとCを引く
E.Dを発行済株式数(課税時期における数)で割る

④各評価方法の特徴・留意点

ここまで見てきた株式の評価方法には、それぞれ特徴・留意点があります。以下にまとめましたので、評価方法の選定理由をより理解するための参考としてください。

評価方法特徴留意点
【類似会社比較法】株式を上場していない企業にも適用できる適切な類似上場企業が見つかりにくいときがある
比較的手続きが容易ながら、客観的な評価が可能評価対象企業によっては、算出する倍率に注意しないと、妥当な評価ができないときがある
【株式市価法】客観性の高い評価ができる未上場企業に適用できない
手続きが容易株式市場の株価に、実態から乖離している可能性が潜んでいるため、慎重さが求められる
【DCF法】収益性、成長性をなどが反映された価値を算定できる予測に基づく数値を多く用いるため、客観性が危うくなる可能性が高い
M&Aや第三者割当増資など、多くのシーンに利用できる事業計画のない企業には適用が難しい
【配当還元法】比較的容易な手続きで、株価を直接算定できる予測に基づく数値を用いるため、恣意性が伴う
多くのモデルがあり、さまざまなケースに対応できる実態と乖離しやすく、予測値の設定がシビア
配当がない企業には適用不可
【純資産法】客観性の高い評価ができる超過収益力(のれん)が含まれていない
【国税庁方式(類似業種比準方式・配当還元方式・純資産価額方式)】相続税、贈与税を考慮した評価額を算出できる財務基本通達によって利用条件が定められていて、内容を深く理解する必要がある
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まとめ

  • 株式価値算定書は、1株あたりの株式の価値を記した書類。株主や投資家からの資金調達時、M&A実行時など活用する場面は多い。
  • 株式価値算定書は公認会計士や税理士などに依頼して作成してもらうのが一般的。ただKnowHowsのツールなら格安で出力ができるので、ぜひ検討を。
  • 株式の価値算定方法は、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプローチの3種類に大別でき、それぞれ特徴や留意点が大きく異なる。
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おわりに

株式価値算定書は、それ自体はあくまで目標達成のための手段です。

記載された内容をうまく活かすためにも、こちらや他の記事を参考にしながら、株式の価値評価方法の理解を進めていきましょう。

またKnowHowsの株価算定ツールは、税理士監修のもと、必要な項目を入力するだけで本格的な株価算定が可能です。

無料でご利用できますので、本記事とあわせてぜひお役立てください。
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