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この記事でわかること
- 給与規定を作成する前に知っておきたい基礎知識3つ
- 給与規定を作成する方法と重要なポイント
はじめに
給与規定は、給与に関する決まりごとをまとめたものです。
「基本給はどのように決まるのか」「手当には何があり、いくらに設定されているのか」などが記載されます。給与によって生計を立てている従業員側からすると、大変気になるものと言えるでしょう。
そのため、企業は給与規定そのものをきちんと把握し、作成する必要があります。
この記事では、給与規定の基礎知識をご紹介した上で、作成方法について解説しました。後にトラブルが発生しないよう、理解を深めるための参考としてください。
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給与規定の作成も含め、お悩みの際はぜひご活用ください。
1.給与規定の基礎知識3つ!作成前に知っておきたいこと
給与規定の作成に取り掛かることになったら、まず次の3つをおさえておくようにしましょう。
①給与規定は給与に関するルール
②給与規定と就業規則の関係性
③「賃金の支払」を定めた労働基準法第24条の理解
順に、詳しくご紹介します。
①給与規定は給与に関するルール
給与規定は、給与に関するルールをまとめたものを言います。似たようなものに就業規則(就業全体に関するルールについてまとめたもの)がありますが、給与規定は、それとは別の文書にまとめられているのが一般的です。
内容は、賃金の構成や基本給、手当に関する事項など。有給休暇や欠勤に関する事項も掲載されます。
ちなみに給与規定は、企業によって給与規程、賃金規定などと呼ばれることもあります。
②給与規定と就業規則の関係性
先程、給与規定は就業規則とは別に文書化されるとお伝えしました。この給与規定と就業規則の関係性について、より詳しく見ていきましょう。
就業規則は、記載する事項が絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項の2種類に分けられます(労働基準法第89条より)。前者は必ず記載すべきもの、後者は場合によって入れるものです。
実はその絶対的記載事項の中に、給与に関する事項が含まれています。
つまり極端に言えば、就業規則を作成すれば自ずと給与に関する事項が盛り込まれるので、わざわざ給与規定を独立させる必要はありません。
しかし「給与に関する規定は複雑かつ多量」「就業規則は社員やアルバイトなど雇用形態が違う人たちが一斉に見るので、給与に関する事項が入っているとトラブルが起きやすい」といった理由から、別に用意するのが一般的となっています。
その際は、就業規則に記載される給与に関する事項が、大まかな内容に留められるのが通例です。
なお、就業規則は、常時10人以上の従業員を働かせる場合は作成し、行政官庁に届け出なければいけません。もし給与規定を別に作成した場合は、それの提出も必要なので注意しましょう。
・絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項の内容
厚生労働省が公開しているリーフレットでは、次のように定められています。
絶対的必要記載事項 |
---|
①始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項 |
②賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項 |
③退職に関する事項(解雇の事由を含む。) |
相対的必要記載事項 |
---|
①退職手当に関する事項 |
②臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項 |
③食費、作業用品などの負担に関する事項 |
④安全衛生に関する事項 |
⑤職業訓練に関する事項 |
⑥災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項 |
⑦表彰、制裁に関する事項 |
⑧その他全労働者に適用される事項 |
(引用・厚生労働省・就業規則を作成しましょう)
③「賃金の支払」を定めた労働基準法第24条の理解
給与規定を考える上では、労働基準法第24条の理解も欠かせません。ここには、給与の支払い方法について、最も基本的なことが記載されているからです。
以下は、その内容を噛み砕いたものになります。
内容 | 補足 |
---|---|
給与は、直接現金で支払うこと | 従業員が同意していたら、口座振込も可 |
給与は、直接従業員に支払うこと | 配偶者、親族であっても受け取りは不可 |
給与は、支給額全てを支払うこと | 社会保険料控除の対象になっているなどの場合は、その分を引いた額を支払う |
給与は、毎月一回以上支払うこと | 臨時に支払われる賃金(賞与など)は別 |
給与は、毎月一定の日に支払うこと | 月によって日付が変わる設定(第4週の金曜日など)は不可 |
2.給与規定を作成しよう!9つの項目をひとつずつ解説
給与規定について必要な知識を身につけたら、いよいよ給与規定の作成です。
大元となるルールなので、ひとつひとつの項目に目を向けるだけでなく、全体を網羅するのも重要となります。
そこでここでは、厚生労働省の「モデル就業規則・第6章 賃金」を参考に、給与規定に載せるべき項目を、以下のようにピックアップしました。
この章では、各項目それぞれの中で、特に給与規定に記載しておきたい事項を解説します。
①賃金の構成に関して記載しておきたい事項
賃金の構成とは、給与が何で構成されているのかを示すものです。従業員側からすると、どんな名目でお金がもらえるのかが把握できるものと言えます。
記載するときは、基本給や手当(家族手当や通勤手当など)、割増賃金(時間外労働手当や休日出勤手当)などを図を使いながら並べるといいでしょう。
なお、構成の作り方や各構成要素の注意点については、「給与体系の重要性を徹底解説!構築するための2つのポイントも紹介」で紹介しているので、チェックしてみてください。
②基本給に関して記載しておきたい事項
基本給に関して給与明細に記載する事項は、給与額は各人によって決まる旨です。
基本給は業績や能力、職務態度、勤続年数、年齢などから総合的評価を行うため、人と異なるほうが一般的。そのため給与規定では、漠然とはしていますが、このような表現となります。
③手当に関して記載しておきたい事項
手当には、家族手当や配偶者手当、通勤手当、役付手当、技能・資格手当などがあります。
家族手当や配偶者であれば、扶養している家族や配偶者の条件と、1人につき支払う手当の賃金を記しましょう。役付手当なら該当する職位とその賃金、技能・資格手当ならその資格と賃金を記載します。
書き終わったら、「該当する条件が複雑すぎないか」「賃金の金額は妥当か」などをチェックするようにしてください。
④割増賃金に関して記載しておきたい事項
割増賃金は、従業員に時間外労働させたときや22時以降に働かせたときなどに、通常の賃金に上乗せして支給するお金です。
「モデル就業規則・第6章 賃金」を参考に、「どういった条件のときに賃金が割増されるのか」「その際の割増率はどのくらいか」「実際の計算はどのようにされるのか」といった点をおさえながら、わかりやすくまとめましょう。
このほか、変形労働時間制に関する賃金の精算方法や、代替休暇に関する賃金の計算方法もここに記載します。
⑤有給休暇に関して記載しておきたい事項
有給休暇に関して記載しておきたい事項は、2つあります。
1つは有給休暇中の賃金が、何を元に計算されるのかです。計算元の候補には平均賃金、所定労働時間で働いたときと同じ賃金、標準報酬月額の1/30に相当する額があります。
もう1つは、産前産後の休業期間や育児休業期間、休職期間などのときに、賃金が支払われるのかどうかです。もし支給されるのであれば、「通常と同じ」「基本給の○○%」などと具体的に表現します。
⑥欠勤などの扱い
「風邪で仕事を休んだ」「寝坊で遅刻した」ことで、実際の就業時間が本来の就業時間よりも短くなってしまった場合、企業はその分の賃金を減らすことができます。そうした処置を取る際は、減額の計算式などを記載するといいでしょう。
⑦「賃金の支払」や控除に関して記載しておきたい事項
「賃金の支払」は、労働基準法第24条の内容です。上記の表を参考にしながら、簡単な言葉で記載しましょう。
あわせて、事前に賃金から控除するものを列挙しておきます。住民税や所得税、健康保険料、厚生年金保険料など抜け漏れがないようにしてください。
⑧昇給に関して記載しておきたい事項
昇給に関する事項で、特に給与規定に記載しておきたいのは、昇給を行うタイミングと昇給額に関することです。
昇給を行うタイミングは、「毎年○月○日」と明確な日付にします。一方、昇給額については人によってバラバラなので、「昇給額は、労働者の業績や能力などを考慮して各人ごとに決定する」などと書いておきます。
⑨賞与に関して記載しておきたい事項
賞与に関して記載しておきたい事項は、賞与が支給される条件と支給日、賞与の額に関することなどです。
賞与が支給される条件には、「○月○日から○月○日まで在籍している」などと書いておきます。賞与額は昇給同様、人によるので、「賞与額は、労働者の業績や能力などを考慮して各人ごとに決定する」のように書くのが一般的です。
まとめ
- 給与規定は、給与に関するルール。就業規則と独立させて作るのが一般的。ちなみに給与には、守るべき5大原則がある。
- 給与規定を作成するときは、項目だけでなく全体を意識することが大事。
おわりに
給与規定は、従業員が理解し、安心して働いてもらうことに意義があります。
曖昧な表現はできるだけ用いず、数字を使って具体的にする工夫をしてください。
また、とりあえず作成の仕方を気軽に聞いてみたい、作ってみたけどこれで大丈夫なのか不安…という方は、KnowHowsの「みんなで事業相談」もぜひ、ご活用ください。
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